(217)【神人族】の真実②
~シヴァ目線~
「彼女は、神人族となる基準を満たしていない」
そんなキキョウ団長の言葉に、俺達は思わず固まってしまった。
「そもそも、神人族はなぜ【神人族】と呼ばれているか知っているかい?」
「…………神に愛されているのでしょう?」
キキョウ団長の言葉に、アルがそう答える。
確か、一般的に言われているのがその言葉だ。
神に好かれた種族で、神と共にこの世界に分かと技術を取り入れた種族。
そう言われている。
だが、アルの言葉を聞いたキキョウ団長は首を横に振った。
「違うよ。…………いや、公にはそう言われているね。神人族の正しい意味は、【神によって作られた人間】という意味だよ」
「作られた?」
「【神人族】とはね、元居た世界ですでに亡くなりその後に神の手を借りて蘇生しこの世界にやって来た種族のことを意味しているのだよ。…………彼らが元の世界での姿をしているからこそ、彼らは【神人族】なのだよ」
キキョウ団長の言葉に俺が聞き返せば、そんな説明が返ってくる。
なんとなくだが、理解できたと思う。
神人族は、一度死んだ。
そして、神の能力で生き返ってこの世界に来た。
ようは俺の両親が魔族と獣人のように、神人族にとっての両親は神自身なのだろう。
だからこそ、キキョウ団長は女の言葉を否定した。
女の親は、アルの親でもあるからだ。
「…………それなら、私だって神人族よ!! それって、転生と同じってことでしょ!!」
「転生というのはね、寿命を終えた者だけに与えられる権利だ。君の姿が精霊族の姿なのは、君が寿命を終えて転生したからだ」
「それなら、おかしいじゃない!! どうして、神人族は個有スキルを使えるのよ!!」
「【神人族】が前の世界での姿のままで個有スキルを使えるのは…………彼らの体が神によって作られたからだ」
怒り狂う女に、キキョウ団長は真剣に説明した。
神人族の体を神が作った理由は、死んだ際に何らかの理由が体が修復不可能なまでに破壊されてしまったかららしい。
体が再起不能なまでに破壊された際、神は元の姿を元に個有スキルを与えながら作る。
だから、神人族は個有スキルを使うことができる。
あと神人族であるかは、死亡原因が人為的なものか事故かによるらしい。
神人族として生きるのは、しっかりと寿命を終えていない者たち。
事故であれば寿命がそこで止まっている__つまり運命だからで、人為的の場合は寿命を終えずに他者の手によって無理矢理終えさせられたかららしい。
神人族は寿命を終えていないからこそ、転生することができない。
だから、神はこの世界に連れてきたらしい。
そこで、キキョウ団長の説明は終わった。
女の顔色は、真っ青だった。
…………正直、凄い背景を知ってしまった気分だ。
アルもセレスもノーヴァも、どこか複雑そうにしている。
人為的…………つまり、過去にやって来た神人族は誰かに殺されたということなのだろう。
しかも、遺体を元に戻せないほど…………。
「うそよ…………うそよ。私は特別な存在で…………」
そうブツブツ言っている女に対して、正直どうなんだとも思った。
特別とか、今は関係あるのだろうか?
正直、遺体が戻ってこない遺族側が哀れでならない。
空っぽの墓ほど、惨い物はない。
__待てよ?
「待ってくれ」
神人族は、元の世界では亡くなっている。
それも遺体が元の戻らないほど、惨い死に方をしている。
…………神人族だと言われたサーヤもそうなのか?
「それが本当なら…………サーヤは元の世界とやらで死んでいるのか?」
「…………悲しい事だが、そういうことになる」
俺の言葉に、キキョウ団長は悲し気な表情で頷いた。
次回予告:サーヤは、元の世界での自分の立場を知る
それと同時に、かつての神人族と出会う




