表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

212/278

(210)誘拐➀

~ジャック目線~



 イアンのとんでもない発言から、三日がたった。


 何故か、俺はイアンと共に騎士団の玄関前に立っている。

 しかも、二人とも私服ではなく軍服という。


 しかたがない。

 こいつは、私服を持っていないし。


 …………なんで休日なのに、こいつと出かけることになっているんだよ。



「なんで、俺がお前と……」

「…………俺としては、仲良くなりたいという意味もあってだな」

「わかってるって」



 俺が呟いた言葉に、ご丁寧に答えてくれるイアン。


 別にそれはわかっている。

 イアンなりに、俺と仲良くなりたいってことぐらい。


 ただこいつが三日前に言った言葉が強烈すぎて、純粋に楽しめる気がしない。


 そう思っていれば、少し先を歩いていくサーヤを見かけた。

 その表情は、何処か思いつめたような表情だった。



「ん? あれは」

「サーヤだな…………って」



 どこか思いつめたような表情のサーヤが心配になり慌てて追えば、ちょうどサーヤが馬車の中に引きずり込まれるところだった。


 おいおい、誘拐は犯罪だろうが!!



「おいおい、あれって人攫いって奴だろ?」

「…………誘拐は犯罪だぞ」

「んなもん、知ってるっての!!」



 ボソリと言ったイアンの言葉に小声で返しながらも、周囲を見回す。


 サーヤは道具なしじゃ戦えない。

 見たところ、道具が入っているバッグを持っていなかった。


 ということは、サーヤには戦う術を持っていないようなものだ。


 そう思いながら周囲を見回せば、私服姿の騎士が一人近くを歩いているのが見えた。

 たしかグレイとかいう、最近入った何故か影の薄い騎士だったはずだ。



「サーヤが誘拐された!! 悪いが、団長たちに伝えてくれ!!」

「…………わかりました」



 俺の言葉に頷くグレイを放置して、イアンと一緒に馬車に向かって走る。


 連れ込まれた以上、俺達だけで助けれるとは思えない。

 相手の個有スキルもわからないし、何よりあちらにはサーヤと言う人質がいる。

 意識の有無もわからない。


 なら、下手に犯罪者を刺激しない方がいい。



「行くぞ、イアン」

「おい、どうするつもりだ?」

「どうする? 決まってるだろ。あの荷台に忍び込むんだ。サーヤは、戦えないんだぞ」



 イアンに声をかけながら、獣化して元の小型犬の姿に戻る。

 そんな俺に合点が行ったのか、イアンもまた人型を解いて小型の竜の姿に変身した。



「…………なるほど、変身を利用して体を小さくさせるのか」

「それ以外、方法はない」



 俺やイアンぐらいの小ささなら、馬車の後ろにある荷台に紛れ込んでもバレることはない。

 この部分だけは、この小ささに感謝だな。


 そう思いながら、荷台に忍び込む。












 にしても、馬車に描かれている家紋ってどこかで見たような…………?








次回予告:紗彩の誘拐を知るシヴァ

     グレイの情報から犯人がわかるが、一同(特にアル)は頭を抱えてしまった

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 家紋付きの馬車で誘拐一体誰が…ジャックとイアンが荷台に乗って追って行きましたが、何処の誰なのか、スッゴク気になります。続き楽しみに待ってます。頑張って下さい。応援してます。(*^▽^)/★*…
[一言]  え、もしかしてお花畑さん再登場……!?  もしくはその親。……どちらにしても話が通じなさそう( ´△`)  紗彩が外に出るのに荷物(道具)を持っていないのも気になります。紗彩に一体何があ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ