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(179)小犬にとっての小竜

勘違いって恐ろしい(二重の意味で)

~ジャック目線~



 俺にとってのあいつ__イアンは、よくわかんないけどなんとなくムカつく奴だった。

 理由はわからない。

 ただいけ好かなくて、あいつと会話するのが苦痛に感じた。


 あいつは、たぶん天然って奴なんだと思う。

 時々、変な答えを出す。

 その答えに、俺がイラつく。


 何度もあいつの良い方に目を向けようとした。


 でも、ダメだった。


 だから、竜人騎士団との合同鍛練の時はできる限りあいつと関わらないようにした。

 あいつのことは嫌いだけど、そのせいで雰囲気が嫌な感じになるのは団長や他の騎士たちに悪いし。


 

 でも、今年はそんな簡単な話にならないと思った。


 サーヤは、俺の大切な妹分。

 俺が母親からのトラウマに勝つ手助けをしてくれた、大切な妹分。


 正直に言えば、サーヤがあいつと関わるのは嫌だと思う。

 でも誰と関わるのかはサーヤの自由だし、もしそんなことを言ってサーヤに嫌われる方が嫌だ。



「その子は、ロルフ。副団長だ」

「…………ロルフだ」

「それで、この子はイアン。うちの騎士団の技師兼見習い騎士だよ」

「…………よろしく」



 竜人騎士団のキキョウ団長が、ロルフ副団長とあいつのことを紹介している。


 …………ロルフ副団長は、サーヤのことがあまり好きではないのだろうか?

 サーヤのことを赤ちゃん扱いして、ここにいるのがおかしいって言っているし。


 確かに、サーヤの年齢なら本来は親の庇護を受けて過ごしている。

 サーヤの今までいた環境はかなり悪い環境だし、確かに愛情という面では不足していたのかも。

 でも今までのサーヤの反応からすれば、逆に子供扱いするのはサーヤに対してストレスがかかるってジョゼフ先生が言っていた。


 だから、みんなわかりやすい子供扱いはしないまでもサーヤのことを気遣ってるんだけどな……。


 そう思っていると、あいつがサーヤから目線を外しながら挨拶をしていることに気づいた。


 …………意味わかんない。

 相手と話す時はちゃんと目を見なきゃいけないって、昔ジョゼフ先生が言っていた。

 それが最低限の礼儀で、やらなきゃ相手に失礼だし不誠実だって。


 なのに、なんであいつはサーヤの目を見て挨拶をしないの?

 サーヤも困っているし。



「なんで、サーヤが挨拶してるのに無視してるわけ?」

「…………無視なんてしていない」

「は? 無視だろ。言葉を交わす時は、相手の目を見ながらするのが礼儀だろ。それともなんだよ。遠回しに、サーヤと話したくないとでも言いたいわけ?」

「…………そう言う意味ではない」



 俺があいつにそう言えば、あいつは不思議そうな表情を浮かべながらもそう反論してきた。

 その答えに納得できず、だんだん腹が立ってくる。


 他の竜人の騎士も、サーヤのことじろじろ見てるし。

 サーヤは見世物じゃないんだけど。


 サーヤに失礼だと思わないわけ?



「じゃあ、どういう意味なんだよ? 目を見て話さないし、他の竜人騎士団の方の騎士もサーヤの事ジロジロ見てるし。サーヤは、騎士団の仲間であって見世物じゃないんだけど」

「…………どうやら、うちの騎士たちが君に失礼なことをしたようだね。すまない」

「いえ……」



 俺がそう言えば、キキョウ団長がサーヤに謝罪した。

 他の竜人の騎士も気まずげにサーヤから視線を外した。


 でもあいつは、サーヤに謝らなかった。




 …………やっぱり、こいつのこと嫌いだ。


次回予告:サーヤと異変

     サーヤ「胃薬って、何処に行けば貰えるかな?」

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