(142)遭遇
今回は少し短いです
~紗彩目線~
この時、私は思わず思ってしまった。
私、一度でいいからお祓いに行くべきだろうか?
「大丈夫、サーヤ?」
「な、なんとか……」
ハーハーと深呼吸を繰り返しながら、物陰に隠れる私とジャックさん。
緊迫した空気。
私達は、再び最悪な状況に陥っていた。
本部から出た私達は、その出先で再び切り裂きジャックと遭遇してしまった。
何とか逃げ切ったけれど、いまだ彼が私たちを探す音が聞こえてくるとジャックさんが言う。
一か月前と同じ、最悪な状況。
まだ怪我人がいないのと、隠れられているだけマシなのだろう。
まったくもってうれしくないけど。
…………あれ、いつの間にこんなフラグたったんだ?
どうせなら、立つ前に破壊したかった。
爆散札で爆破して燃やしたかった。
母さんの話だと、フラグは回収する物ではなく破壊する物らしいからな。
「サーヤ、道具は」
「一応、ある程度の物は持ってきています」
緊張で強張った表情を浮かべるジャックさんに、私はそう返す。
この世界に来てから、どんな用事であろうとある程度の道具は持ち歩くようになった。
何故かって?
だいたい大丈夫って思っている時ほど、何かしらの事件に巻き込まれるからだよ!!
…………この世界って、神社あるかな?
お祓いできないかな?
まあ、まずはなんとかこの状況の打開方法を考えることだね。
私とジャックさんは、今は廃墟の二階の奥の部屋に隠れている。
一階に続く階段の前には、切り裂きジャックがいるらしい。
…………隠れる場所間違えたなと思ってしまう。
明らかに物が多くて隠れるのには適していても、逃げるのには全く適さない。
私が持っている道具は、新作の道具がいくつかと爆散札と結界石がいくつか。
防御も攻撃も補助もできる。
でも、ジャックさんと二人で使うには数が少ない。
「サーヤ、このあたりの地図は頭の中に入ってる?」
「大丈夫です」
ジャックさんの言葉に、私は頷く。
セレスさんとはぐれた時も思ったけど、地図を暗記しておけば何とかなる時もある。
だからこそ、英語のテストに出る単語の暗記以上に必死で覚えた。
…………なんだか、年齢を感じてしまったけれどね。
あれ、暗記ってもっと簡単じゃなかったっけ?
そういえば私、地理は嫌いだったんだ。
そう思いながら遠い目をしていると、ジャックさんが驚きの言葉を言った。
「じゃあ、ここで別行動を取ろう。俺はあいつの意識をサーヤから離すから、サーヤはその間に本部に行って皆に知らせてきて」
「え!?」
待って。
それって、あれ?
小説で言う、死亡フラグ的なもの?
次回予告:入れ替わる二人




