天狗橋の偽恋物語
山の上にある神社とか神秘的ですよね。
そんなことを思っていたらできたものです。
よくある狐と狸の化かし合いとかいいですよね。
ついでに天狗とか出してみましょう。
ってな具合に出来上がりました。
この物語はフィクションです。
感想・評価お待ちしております。
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山の上には神社が立っている。
神社の池には詩があった。
『手負いの天狗が落下して
山に当たってふらふらり
山は大泣き泣き疲れ
涙の後は川になる
川が土地を分かつなら
涙なしには語れない
出会いと別れの天狗橋』
山の麓には西の都と東の村がある。
元々一つの集落だったが、土地を隔ててからは行き来が減っていた。
西には商業区、東には農業区で、主に出稼ぎに東から西へ人は流れる。
今はこの川にも橋が架かっており、『天狗川』と『天狗橋』と名付けている。
天狗橋は天狗が渡したと言われているが定かではない。
天狗川の流れる山の麓の森には、一匹の狐と一匹の狸がいた。
狐と狸は毎日毎日飽きもせずに化かし合いをしており、
お互いに上手さを競い合っているのだ。
狐が言う。「俺の方が化かすのが上手いんだ!」
狸が言う。「僕は君より上手く化かせるよ!」
狐は女に化けて、旅の人を引っかけた。
かかった旅人は素っ裸で森の中。
狸は男に化けて、川で洗濯中の女を引っかけた。
かかった女は旦那を捨てて川沿いをうろうろ。
二匹は指さし笑うもいがみ合う。
仲が良いのか悪いのか。
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一方、都では惚れた腫れたの馬鹿し合い。
村では離れ離れで稼ぎ時。
村男が都女に声をかけた。
調子の良さに絆されて、都の女が寄りかかる。
似合いの二人は指さされ、照れながらも幸福に。
時が合わさる二人には、当然壁が出るもんで。
娘の相手が出稼ぎ人だと、女の親が激怒する。
男は罵倒に暴力に、堪えているのも限界か。
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そのころ、森の中では狸と狐の化かし合い。
狐は鳥に化けて、女の着物を上から汚す。
汚れた女は鳥を見て怒鳴り散らかす。
狸はモグラに化けて、男の足元を土に埋める。
埋まった男はモグラを見て暴れまわる。
二匹は指さし笑うもいがみ合う。
仲が良いのか悪いのか。
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都の女は恋煩い。
親は眉をハの字にしたまま腕を組む。
どうしたものかと悩んでいると、
親類からの提案が。
「稼ぎが欲けりゃくれてやれ。」
村の男は都で働くことになる。
激務になるのは見えていた。
都の女はそれを知り、男に別れを話し出す。
意気込む男は聞きやしない。
「おらが仕事で見返すだ!」
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決着つかず二匹は山へと赴いた。
山の上の天狗にどちらが上手いか見てもらおうと考えた。
天狗は知っていたようで、こつんと叱る。
「人がいることで土産が来る。山の神への土産には我らの分も入っとる。
どうしてもというなら見てやろう。
狐は西から東へ化かしなさい。
狸は東から西へ化かしなさい。」
狐と狸は、よし来たと言わんばかりにそれぞれへ。
カラスは何を知ってか知らずか、カーと鳴く。
天狗は微笑み「見てなさい。」とカラスを撫でた。
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辛い仕事を与えられ、それでもめげずに働いた。
隠れて会っては話し合い、二人の話は交差する。
男は夫婦になるために、女は夫婦にならぬため。
女の親から呼び出しだ。
どうやら村の男の家を調べたようで、結果と金を見せてきた。
男の母が病気らしい。金を受け取り考える。
都の女は引き留めようにも仕方なし。
男の親は何も知らず、女の親は許さんと。
別れる二人の時が迫っていた。
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狐は川を隔てて西を目指す。
狸との化かし合いに勝つことを胸に。
西には都があり、人集りができていた。
狐が人に化けて覗いてみると、鍋の集いであった。
ぐつぐつと煮立った鍋に野菜やきのこ、そして肉が放り込まれる。
上手そうな匂いではあるが、なんとも言えない気持ちになった。
鍋を見ている男が声をかける。
「おう、姉さん!狸鍋でも食ってくか?」
ポン!
狐は肉が狸のものだと知って驚いた!
狐の耳と尻尾が露わになって、都の民が悲鳴を上げる!
いつの間にか鉄砲を持った猟師が現れ大参事!
狐は堪らず逃げ出した。
狸は川を隔てて東を目指す。
狐との化かし合いに勝つことを胸に。
東には村があり、民芸品が盛んなようだ。
狸が人に化けて覗いてみると、毛皮が飾ってあった。
ふさふさの毛並みの良い毛皮が、丁寧に手入れをされている。
芸術的ではあるが、なんとも言えない気持ちになった。
手入れをしている女が声をかける。
「あら、お兄さん!いい狐の毛皮が入ったよ!」
ポン!
狸は毛皮が狐のものだと知って驚いた!
狸の髭と尻尾が露わになって村の民が悲鳴を上げる!
いつの間にか鉄砲を持った猟師が現れ大参事!
狸は堪らず逃げ出した。
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天狗橋には村男と都女。
朝というのに湿っぽい。
互いに顔を見合わせる。
離れる様は、見ちゃ居れん。
野次馬涙で時が来る。
二人は俯き振り返る。
同時に離れる間には、悲しい風が吹いたとさ。
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二匹はそれぞれ走りだし、川にかかる天狗橋にたどり着いた。
とっぷり暮れて月明かり。
女に化けた狐は狸の無事を知って、
男に化けた狸は狐の無事を知って、
橋の真ん中でわんわん泣きながら抱きしめ合うのであった。
天狗橋の男女の影を遠くで見ていた野次馬達は、
首を縦に振りながら恋路を浮かべて泣く者もあり、微笑む者もありで哀愁に浸ったのだろう。
翌日には都で一番の話題となった。
天狗の前に二匹が座り込んでいる。
天狗は笑いをこらえるように口を開く。
「どうした、どうした?何を膨れっ面になっておる?」
どうやら狐と狸はあの後からお互いに口をきいてないらしい。
「都や村ではお前達の話でいっぱいだ。満足だろう!」
堪えきれずに笑う天狗を睨み付け、
狐と狸は天狗に頼んだことが間違いであったと、
意見が一致したという。
仲が良いのか悪いのか。
読破、お疲れさまでした。
作ってみたはいいけれど納得の出来にはならなくて、付け足していったらわけがわからなくなってしまったものを、何とか整理したものになります。
去年の10月から温めていたので、もう腐ってんじゃないかと心配でしたが、
まぁ大丈夫でしょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。