表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/11

3.ゴブリントラップ!







 言語能力のあるゴブリンは、どうやら俺たちの存在に気付くことはなかったようだ。なにかを話しながら、ダンジョンの奥へと潜って行ってしまう。

 そんな奴らを追いかけようかとも思った。

 だが、今はそんなリスクを取るよりも状況整理が一番。


「アレって、神が知識を与えるとか――そんな神話的なことと同じなの?」

「たぶん、考えられます。かつて神々は、人間に多くの知識を与えたと文献にも残っていましたから。堕ちた神が、魔物に力を与える可能性は大いに……」

「……と、なると。やっぱりこれは神様案件、ってことか」


 俺はエリミナと意見交換をして、慎重に歩を進めることにした。

 息を殺して、普段ならば入ろうとも思わない場所へ。そもそもゴブリンがこんなダンジョンの中に生息する時点で、それはおかしな話だった。

 基本的にダンジョンの中に住まう魔物は強力なモノが多い。

 だから、普通なら奴らはこんな場所にはやってこないのであった。


「でも、そんなこと気にしてる場合じゃないよな。エリミナ、足元気をつけてね?」

「はい。それにしても――」


 と、そんなことを考えていると。

 エリミナは唐突に周囲を見渡し、何かを考え込んだ。そして、


「――さっきからしてる、キィキィ、って音はなんですか?」


 そう、訊いてきた。

 俺はそれを受けてよく耳を澄ませてみる。

 するとたしかに、彼女の言う通りどこかで縄が軋むような音がした。


「もしかして……!」


 それを確認して、俺はとっさにエリミナの手を握る。

 彼女は目を丸くしたが、無理矢理に抱きしめた。瞬間――。


「きゃっ!?」

「あぶな――!」


 ――先ほどまで少女が立っていた場所に、大きな岩が降ってきた。

 鈍い音を立てて崩れるそれ。俺たちは冷や汗をかきながら、見つめるのであった。これは、どう考えてもトラップだ。しかも、結構高度な。

 起動するためのスイッチになるモノも見当たらない。

 それなのに、それは非常にタイミングよく落ちてきた。


「これも、神に与えられた知識――ってやつか?」


 苦笑いしつつ、俺はエリミナを解放する。

 少女は若干だが名残惜しそうに、そっと離れるのであった。


「分かりません。でも、その可能性が高いかと……」

「なら、気をつけて進もう。ゴブリンだって舐めてたら、痛い目を見る」


 俺の言葉に、頷くエリミナ。

 一つ大きく深呼吸をして、気持ちを切り替えるのであった。



◆◇◆



「もの凄い、トラップのオンパレードだったね……」

「は、はい……。危うく、なところもありました」


 俺たちは肩で大きく息をしながら、どうにか呼吸を整える。

 ここまで多くのトラップを潜り抜けてきた。丸い鉄球が転がってきたり、いきなり地面に穴が開いたり、その中に剣が無数に仕掛けられていたり。

 そんな道中をエリミナと共に協力して進んできたのだが、今回はひとまず割愛だった。というかピンチにピンチの連続過ぎて、話が長くなってしまう。


「でも、なんとかここまでやってきたな……」


 そう言って俺は前を向いた。

 なかなかに奥まできたと思うのだが、そこにあったのは闘技場のような空間。

 半円状の天井に、不思議と明るいのは所々に設置されている松明のお陰だろう。半径五十メイルはある大空間に足を踏み入れつつも、警戒は怠らなかった。


 何故なら、その場は殺気に満ちていたから。


「なんでしょう。ここ……」


 不安げにエリミナは呟く。

 俺はそれに応えずに、意識を集中させた。

 すると一つ、後方から魔法を詠唱するような声――!


「エリミナ、下がって!」

「レオンさん!?」


 剣を引き抜いて、少女と体勢を入れ替えた。

 直後に目の前に迫っていたのは、炎の塊――初歩魔法の【火弾フォイア】だ。


「【付加魔法エンチャントコールド】――っ!」


 即座に俺はそれを唱えた。

 すると冷気をまとった剣に姿を変えた俺のそれは、炎と力を相殺する。

 蒸気が湧き上がり、視界が一瞬だけ奪われる。だが、その隙を狙った攻撃はない。そのことをやや疑問に思いながら、しかし注意を払って時間が経つのを待つ。


「けけけけっ! カモがやってきた!」

「身ぐるみ剥いで、リーダーに報告だ!!」


 そして、周囲の状況が確認できるようになった時。

 そこに広がっていたのは、


「最初から、誘き寄せられてた……ってことか」


 見渡す限りのゴブリンの群れ。

 その数は、軽く百を超えるといったところか。

 人語を介するそいつらは、ぐるりとこちらを取り囲んで笑った。


「レオンさんっ……!」


 不安気な声を発するエリミナ。

 しかし、そんな彼女に俺は一言こう告げた。


「安心して、大丈夫」――と。


 少女の手を握る。

 するとまた、あの時のように不思議な光が生まれた。

 以前のようにすべての力を受け取るのではなく、一部分だけ。だけど、それだけでも俺にとっては十分だった。何故なら――。


「――伊達に【ゴブリン狩りのレオン】とは、呼ばれてないからさ」


 今ばかりは、少女を勇気づけるモノに変わる蔑称。

 それを口にして、俺はエリミナに笑いかけた。



「…………はいっ!」



 少女は満面の笑みを浮かべて、そう答える。

 さぁ、ここからが本番だ。




 最弱の冒険者の底意地、見せてやる――!




 


次回の更新は明日の20時頃。

※すみません。ちょっと体調を崩してしまいました(^_^;)


もしよろしければブクマ、下記のフォームから評価など。

応援よろしくお願い致します!!


<(_ _)>

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ