究極の…
「つまり聡の時は女が好きで、綾での時は男が好きなのだな」
「そうなります」
「やはりバ○…」
「違います」
神宮寺桃花に連れられた部屋で相沢聡と綾の2人は取り調べの真っ最中だ。本来ならこんなことまで話すつもりはなかった。しかしここまで話してしまったのならしょうがない。聡は心のどこかで誰かに話して楽になりたいという気持ちもあったのだ。
「つまり、綾。君では私の体には興奮しないと」
「先ほどからそう言っているでしょ」
「そうかではこうするとどうなる?」
桃花は綾の腕を掴むと再び自分の胸に当ててみせた。
「反応なしか。しかし、あちらは」
綾に反応はなかった。しかし、聡はまた顔を真っ赤にしていた。
「やっぱり面白いものだな」
綾の体で行った感覚はダイレクトに聡にも伝わっている。勿論五感全てだ。つまり、今の行為は聡が桃花の胸を直接さわったのと同じことだ。
「よく、それで生活できているな」
「特定の人と一定以上の関係にならないようにしてきましたので」
聡はもともと友達の多い方ではない。人との接触も多くなく。その結果、それが綾の方へ影響を及ぼすことはほとんどなかった。しかし、綾はクラスでも人気ものだ。友達も多い。女の子同士のスキンシップを極力避けてはいるが、遊んでいれば急に抱きついてきたり、顔をよせたりする子もいる。同性なら問題ないが、どうしても聡の方に影響が出てしまう。
また、見知らぬ男子に告白も何回かされたことがある。この時、聡は綾でいる自分の中に男性への興味が生まれていることに気づいた。もちろんすべての告白は断った。それは綾の体であることもそうだが、自分の自我が女の子の方へ移っていくのを恐れたからでもある。
「こんなことまで話したんです。あなたは私たちにどんな協力をしてくれるのですか?」
「そうだな、まぁ魂なんて実体のないものを捕まえることはできんよ。ただ、どこにいるかは推測できる」
「なんですって!」「どういうことですか!」
「おいおい2人同時に話すなと言っただろ」
桃花は1つ咳払いをすると自分の推理を語った。
「事故現場の状況は君から話を聞いてだいたい把握した。まず、魂が生きてる人間にも乗り移れるかの検証からだ」
「そんなことどうやって?」
「そのための猫だろ」
黒猫は急に呼ばれて驚いた様子だった。
「本気かにゃ!どうにゃるかわからないにゃ」
「そうですよ!それに誰が実験役をやるのですか」
「まぁ私だな」
桃花はためらいなくそう言った。
この人はそういう人なのだ。自分の欲求に正直なのだ。おそらく、綾の魂と関係なく今の状態を楽しんでいる。
「実験は1人では出来ませんし、今の僕は既に特殊な状態なので、役にたちませんよ」
僕1人の問題ならそれでいい。しかし今は綾の体を預かる身としておいそれと綾の体を危険にさらすわけにはいかない。
「君には頼むつもりはないよ」
桃花の答えは意外なものたった。
「じゃあ誰に」
桃花はある人物を指差した。聡がそれに目をむけると。
「承った」
どこから聞いていたのか?そもそも桃花の命令には絶対服従なのか、雫は被験者の役をかって出た。
「駄目だよ雫ちゃんそんな事しちゃいけない」
聡は雫の提案を断った。この実験には成功するという保証はどこにもない。もしかしたら死んでしまうかもしれない。桃花先輩は自分の意志で行動しているが雫が危険な目に合う必要はない。
「止めないで」
雫の意思は固くすぐに突き返されてしまった。
「聡君、残念ながら雫とはそういう契約なんだ」
この2人の間には何があるだろうか、それは会ったばかりの聡には知るよしもなかった。
「わかったにゃ」
黒猫は答えた。そしてなにやら怪しげな呪文を唱えた。
おい、魂の移動ってそんなに簡単にできるものだったのか!?
「成功?」
2人の体に異変はいない。失敗か?しかしすぐにそれが、誤りであると聡は悟った。桃花の体が糸の切れた人形のようにその場に倒れこんだだからた。それから静寂が支配した。
「成功だ」
その声は雫のものだった。しかしその表情と態度は間違えなく桃花のものだった。同じ人でもこうも雰囲気が変わるものなのか?おそらく聡が乗り移っている綾もこのように昔とは違って見えているのであろう。
「雫は?」
「ちゃんといるさこの中にな。ただ、体の支配件は私にある」
そう言って雫は自分の胸をおさえた。
実験は成功したらしい。これはまるで二重人格のようだ。しかし、本人の人格を差し置いて体の支配を奪うなんてなんて恐ろしい人なんだ。
あれ様子がおかしいぞ!
気のせいか雫の呼吸音が上がっている。まさか拒絶反応か何かか?そうだとしたらまずい。
雫の左手は胸を揉み始め、右手は自ずと下腹部に…
「早速なにをしようとしてるんだこの変態!!」
状況を察した聡は綾と2人ががりで雫を押さえつけた。雫ごめんよ。この先輩をこのままにしておくのはまずい。
「放せ、残念ながら私は雫自身だ問題ない!」
「おおありだ」
この先輩あろうことか雫の体を使って自○を行おうとしていた。
甘かった。なぜだか先に体を縛りつけておかなかったのだろうか。それはそれで問題ありな気もするがそんなこと言ってられる状況でもない。聡は反省した。
「君の方こそいたいけな少女を襲っているレイ○魔だ」
そう言われるのは想定済だ。聡が押さえつけているのは腕のみで体全体は綾が押さえている。
「あいにくと綾の体なら問題ないのでね」
「しまった」
「なにをしようとしたか簡潔に述べろ!」
観念したのか桃花は抵抗しなくなった。そしてゆっくりと語りだした。
「聡君、私は気づいてしまった。仮に今君たち2人がセッ○スをしてはたしてそれは本当にセッ○スであるのだろうか?否、中身が1人であるならそれはもはやオ○ニーではないのか?それもただのオ○ニーではない究極のオ○ニーだ!」
「仮の話でも仮すぎるだろ!」
「しかし私のオ○ニーは違う、今は雫と感覚がリンクしている。私が感じれば雫も感じる。つまりこれこそが究極のセッ○スではないだろうか?」
「いい加減にしろー」
その後すぐに黒猫に元に戻してもらった。
元に戻す前に桃花先輩の顔には一発打ち込んでおいた。
綾の体でのビンタなら問題ないよね。