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1人2役、ではなく1人2者  作者: 秋ルル
本編
34/71

黒猫の秘密3

「さてと部長としての役目も果たしたしここからは私の個人的な質問だ」


「えっ部長?」


「どうした聡君そんな間の抜けた顔をして、まさか君は私はあの質問だけで満足するとでも思っていたのか?だとしたらあまりにも早計だぞ」


「いえ、そうですよね………」

部長としての威厳を感じた瞬間これである。結局自分も先輩の欲求を満たす存在の1つだということだろうか。ここまでくるといらだつというよりその器量の大きさに感心してしまう。


「面倒だから早くするにゃ、いくらいくつでも答えるといったからって飽きてきたにゃ」


「まあそう言うな、私の質問は後2つだけだ。」


そう言って桃花が黒猫にした質問は恐ろしいものだった。


「お前に人を殺せるだけの力はあるか?」

一瞬自分の聞き間違いのように思えた。しかしそう言った桃花の顔は真剣そのものだった。


「どういうことですか部長!」

聡はその質問を止めずにはいられなかった。人を殺せる力?果たしてそんなものが存在したとしてどうしてそれを問う必要があるのだろうか?まさか先輩はその力がほしいとでも言いだすのだろうか?聡は不安で仕方なかった。


「聡君少し静かにしてくれないか?」


「しかしですね………」


「でどうなんだ?」


「できるにゃ………と言ったらどうするかにゃ?残念ながらその質問には正確に答えられないにゃ。ご主人様は温厚なお方にゃ。その力をかりているだけのにゃーには直接人を殺せる力はないにゃ。でもにゃーも馬鹿じゃないにゃ。それらを駆使すれば間接に人を殺めることは可能かもしれないにゃ」

黒猫はそう答えた。


黒猫の力というものはひとまず直接人を殺せないと知って聡は安堵した。


「そうか、それならいい」

そう言った桃花の言葉は冷めていた。聡には桃花がとてもその力を利用したがっているようには見えなかった。


「部長どいうつもりですか?部長は誰かに恨みでも持っているんですか?」


「いや、()()ないな。仮にあったとしても私ならだれかに頼ったりはしない。私がこの手で直接やるだろうよ。そんな経験を誰かに渡してしまうなんてもったいないだろ?」


これは安心してよいことなのだろうか?確かに先輩は人に頼むより自分でやるような気はする。だから大丈夫だという発想はあまりに安易な気もした。


「冗談ですよね?」


「ああ、冗談だ」

桃花はそう言ってのけた。


「もういいかにゃそれを早く食べたいにゃ」

黒猫はもう待ちきれないようだった。


「ああ次で最後だ。そうだな、今まで共に過ごしてきてお前の使える力はだいたい把握しているつもりだが、何かまだ見せたことのない力を見せてはくれないか?」


「それは質問じゃないにゃ」


「それがどうかしたか?」

桃花のそれはお願いというよりかは脅迫に近かった。黒猫には人を殺せるほどの力がないとわかった途端この態度である。この場は桃花の気迫が勝った。


「最後の約束忘れるにゃよ」

そう言って黒猫は何やら怪しげな呪文を唱えた。そして白い煙が上がったと思うとポットという爆発音がした。そして次に黒猫を見た時その姿は劇的な変貌を遂げていた。


「ほう」


「どうにゃ」

そう言いはなった黒猫の姿は人の姿に変わっていた。そう黒猫が見せたのは黒猫の能力の一つ変身である。


その容姿は艶麗であり、肉体は見事な曲線美を描いていており、肌もきめ細やかだった。背も高く聡よりも高いのだから175はあるだろうか、そしてなにより特出すべきは発達した2つの胸である。大きさはグレープフルーツほどであり唯一違うのはその見た目の柔らかさである。そしてブロンドの髪がよりいっそう彼女の魅力を引き立てた。まあ一言ことで言ってしまえば美人である。


以前聡は桃花先輩のことを美少女だと思ったことがある。それは周囲の者も理解している紛れもない事実だ。しかし美少女というからには『少』の文字が外せない。黒猫のそれはすべてにおいて桃花を凌駕していた。


何はともあれ一番の問題はそんな人が全裸で仁王立ちしていることなのだが。


黒猫お前………変身できたのか?女だったのか?なぜ全裸なんだ?羞恥はないのか?

いきなりの変身にツッコミを数えればきりがない。


「にゃーこれはどういうことにゃ!」


黒猫が変身したことは百歩譲ってよしとする。それが意外なことに絶世の美女だったことも許そう。服を着ていないことは目のやり場に困るがそれが今一番重要なことではない。聡がどうしてもツッコミたかったのは、


「なんで変身したお前が一番驚いているんだよ!」

聡はそう叫んだ。


実はこの変身で誰より驚いていたのは黒猫自身なのだ。


「聡君」


「なんですか?」

黒猫の変身がそんなに意外だったのだろうか?そう思って振り返ってみると桃花の目は死んでいた。


「前に私は実験のためなら全裸にだってなる覚悟があると言ったことを覚えているだろうか?」


「言ってましたねー。忘れてた記憶です」


「なら訂正しておこう。やはり全裸になるのはよそう。この体を見せつけられた後に私が脱いだところであまりに滑稽だからな」


「そーすかよかったですねー」

桃花先輩は相変わらずずれていた。どうやら全裸になることの羞恥より黒猫に負けたという劣等感のほうが勝ったようだ。


「にゃー体が重いにゃー」

そんなことを言いながら黒猫は部室中を転がりまわっていた。


「いいから服を着ろー」

聡は再び叫んだ。

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