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1人2役、ではなく1人2者  作者: 秋ルル
本編
30/71

スクープ!?3

「そんな顔でこっちをみるなよ」


聡と綾が部室に入った時、桃花と雫はチェスをしていた。盤面を見る限り雫はそうとう苦戦している。もともと桃花の方が強いのだろう。敢えて悪手を打つことによってなかなか負けさせないいやらしい手だ。


聡は桃花に今朝のポスターのことを問い詰めた。

「だいたいの事情はわかっているつもりだ、まさかここまで大事になるとは思わなかったがな」

そう言う桃花に焦りはない。周りのことを気にしない人だが妙に落ち着き払っていた。


「ずいぶんと余裕ですね。最初からわかっていたんですね」


「まぁ最初のポスターを見たときから、あらかたな」

やはりあの時推理した段階で桃花はこうなることはわかっていたのだ。そしてそのまま何も手を打たず放置した。


「どうして止めてくれなかったんですか?」

聡は桃花に言い寄った。桃花なら何か対策を考えれたはずだ。そうしてくれれば今日のように周りから奇異のめで見られることはなかった。今回は自分だけではなく綾まで巻き込んでしまった分余計に苛立っていた。


「だって面白そうじゃないか?」

と桃花は何も悪びれる様子もなくそう言った。

面白い?やはりこの先輩はそうなのだ。理屈どうこうよりも自分の感情を優先して行動するのだ。


それなら。

「まっ何をする!?」

聡はチェス盤から桃花のナイトを奪い捕った。


「チェックメイト」

その時雫の顔が一気に明るくなるのがわかった。このナイトのせいで雫が身動きが取れないのは分かっていた。こんないたいけな少女までいじめるとは性格が悪い。


「あ゛ーー」

桃花の叫びが教室に響いた。


「「いぇ~い」」

雫とハイタッチ。この先輩にはこのぐらいしても許されるはずだ。



悪いが3対1で形勢はこちらが有利だ。


桃花は観念したのか聡の聞いてきた。

「で、君は私にどうしてほしいのだ?」


「この事態を収束させて下さい」


「無理だ!」

なんでこの人は「無理だ」と言うときでも自信満々なのだろうか?それならこちらもそれなりの手を打たせてもらうまでだ。


「雫先輩~あっちで私とトランプで遊びませんか?」


「いいよ」

ひとまず綾と雫には席を外してもらう。雫のことだから先輩と呼べばたいていのことは断らない。申し訳ないが雫、今回は許してくれ。


「なんのまねだ?」


聡は桃花の正面に座りまるで取り調べるように質問した。

「部長にはこの件とは他に別の容疑がかけられていますので」


「なんのことだ?」


これは今日聡が金田から聞いたことだ。この疑惑がある限り今後この先輩に綾を近づけさせる訳にはいかない。さらに言えば雫も隔離する必要がある。


「部長はその…男性より女性に興味のある方ですか?」


「なんだ私がレ○だとでも?」

こちらが気をきかせてやんわりと質問したのにこの先輩は直球で返してくる。羞恥心を持ち合わせていないのだろうか?


「誤魔化さないで下さい」


「はっははははっは、ごめんごめん真面目な顔をして聞くものだからどんなことかと思ってな」

桃花はそう笑うのであった。


「私か?私もこう見えて年頃の女の子なんだぞ!もちろん男の子の体に興味津々だ!」

と急に照れだしてそう言うのである。

年頃の女の子体絶対にそんなこと言わない。聡はその言葉をぐっと我慢した。でもこれで容疑は晴れた。


「でも……最近」


なんだこの不穏な空気は、やめてくれもう口を開かないでくれ。聡の思いとは裏腹に桃花は続けるのであった。


「女の体を知った君にその体の神秘を教え込むのも悪くないと思っている」


緊急危険信号発令!綾の体を直ちにこのものから遠ざけろ!後は雫の身の安全を確保しつつ速やかにこの場から退避せよ!


黒だったよ。それもグレーとか生易しいものなんかじゃない。墨汁以上に真っ黒だ。


「誤解だ!別に誰とでもいいという訳ではない。だから君と3人で…」


「言わせねーよ」


甘かったよ。レ○なんて可愛いもんじゃなかったよ。やはりこの先輩、正真正銘の変態だ。


「冗談だ」


「全く冗談に聞こえませんでしたけど」

嘘か誠か、本当のところはわからない。しかし隙を見せれば容赦なく襲ってくる。この人はそういう人なのだ。


「話がそれてしまったな。問題はこのポスターについてではなかったかな?」


「部長のせいですからね。後まだ僕は部長のこと疑ってますからね」

先輩の性癖についてはひとまず保留にしておこう。どうやら噂されているものではなかった。それ以上にヤバイものだったわけだが。そして僕が狙われていることに変わりはない。それがただの好奇心なのかはまだ判断できない。


「結論から言えばこの事態の収束させる方法何てものはない」

それが桃花の答えだ。


「そんな、せめて犯人を特定して訂正文を書かせたりするとか」

聡も食い下がった。少なくともこのままでよいはずはない。


「そんなことして何になる?それで君の気持ちはいくぶんかはマシになるかも知れないが根本的な解決策ではない」

桃花の意見は最もだった。ここまで大きくなってしまったものをあとから「間違えでした」と訂正させたところで焼石に水である。

しかし、頭では分かってもいても心情的に許せることではない。聡としてはどうしても製作者に謝罪してもらいたいのだ。


「そんな」

結局先輩でも無理なのか?聡はやり場のない憤りを感じた。


「それに犯人なら目星はついている。むしろ大変なのはあちらさんの方だ」


「どういう意味ですか?」

桃花には犯人が分かっているのだろうか?犯人を見つけたところで解決はしないだろうが大変とはどういう意味なのだろうか?


「これだけ大事になるとは向こうも思っていないだろうよ。しかし記事にしたからにはそれなりのジャーナリズムがあるのだろう」


言いたいことは何となくわかるがそれがなんだというのだろうか?聡にはまだ桃花の考えの全貌が見えてこなかった。


「まだ分からないか?今このような物が出回っているそうだな」

そう言って桃花は例の紙を取り出した。それは聡が今朝見たこの部活の相関図を予想するものだ。


「先輩も知っていたんですか」


「もちろん、なかなか興味深いものだったからね。聡君、賭けをするのは勝手だが、では誰がそれを判断すると思うかね?」


「あっ」


そうだ、これが犯人の意図しないことだった。

ポスターにご丁寧に相関図を載せはしたがそれはあくまで読者の想像に任せるものだ。

しかし事情が変わった。このような紙まで作られた。つまり読者は答えを知りたがっているのだ。

イタズラならこれ以上のことはしないだろう。しかし犯人にジャーナリズムがあるならば必ず。


「そうだ!おそらく今後も我々を監視し続けるだろうな。我々の関係が確認できるまでは」


そう言われて聡は急いで辺りを見回した。


「大丈夫だこの部屋に隠しカメラや盗聴器を仕掛ける隙はない。鍵は常に私が管理してるからな」


この先輩がそう言うならこの部屋は大丈夫なのだろう。聡は取り敢えず落ち着いた。


「でも目星がついているなら捕まえるとかできないんですか?」


「はっははは」

桃花は突然笑いだした。


「何がおかしいんですか?」


「いやー失礼、捕まえる?なんで?せっかく向こうが頑張っているだからそれに答えてあげないとな」

この人はいったい何を考えているのだろうか?いやもう考えるのはよそう。きっと何かの策があるのだろう。


そう言って桃花は小さな黒い物体を取り出した。

「これが何かわかるか?」


「小型のカメラの様に見えますが」


「そうだな小型のビデオカメラだ。前回君の写真が隠し撮りされた位置から犯人の位置を割り出し向こうからは見えない位置に置いておいた」

やはり、先手を打っていたのか。おそらくそこに犯人の姿は映っているのだろう。しかしそれでは先ほどの話と矛盾してしまう。


「それを何に使うんですか?犯人は捕まえないと言いませんでしたか?」

また何かよからぬことを企んでいるのだろうか。聡はそう感じた。


「ああ、捕まえるつもりはないだが、ここまで好き放題やられてるんだそれなり遊んでやらないとな」

桃花はそう笑った。

しかし、ここまで付き合っている聡にはわかる。桃花は怒ってる。

桃花は基本的におもしろいことは好きだがそれは全て主導権が自分にある場合に限る。

そしてこの先輩ほど敵に回すと恐ろしいものはないのである。

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