スクープ!?2
それから数日後。聡は桃花の言葉の意味を知ることとなった。
聡が廊下を通っているとそこには新たなポスターが貼られていた。そしてそのポスターの内容に驚愕するのであった。
『神宮寺桃花、今度のお相手は年下の女の子!?複雑化する四角関係』
やられた。
今度はバッチリ綾が部室に入る瞬間まで撮られていた。そしてポスターにはご丁寧に
『あなたの恋愛予想図を完成させよう』
相沢聡 相沢綾
神宮寺桃花 西野雫
↑を使って恋愛関係を予想しちゃおう♪
と書かれていた。
先日の聡1人の写真はいわゆる撒き餌だった。2人の熱愛を特集して周りの興味を引き今度は綾まで利用して更に注目を集めることとなった。
この日、聡と綾がクラスで注目の的になるのはいうまでもなかった。
「聡、前よりことが大きくなっているな」
そう言って金田は聡に話しかけてきた。
「お前もどうせこの状況を楽しんでいるんだろ?」
「まぁな」
「そもそもなんで四角関係なんだよ!?」
まず、前提がおかしい。4人のうち男は聡だけで更に聡と綾は兄妹だ。そう考えれば仮にあったとしても桃花先輩と雫の三角関係までだ。
「お前知らなかったのか?あの先輩にはもう1つ噂があるのを」
「噂って?」
噂とはなんだろうか?心当たりがあり過ぎて逆に検討がつかない。少なくともあの先輩が変態なことはまだ他には知られていないはずた。ああ見えて外面はいい。そして部活以外ではあまり人口を聞かないらしい。
「男よりも女の方が好きらしい」
「はあ~」
「確証はないが今まで全ての男の告白を断っている。もちろん入部も含めてだ。そして側にいるのは西野1人だけだ」
今まで男子を遠ざけていたことでこのような噂が出来ていた。実際にはただ自分の興味を引かれる人を探していただけなのだ。
事情を知っている聡からすれば先輩がそんなことないと言え……
その時聡は以前雫の体に乗り移った先輩のことを思い出した。さらに部室に聡1人で行けばいいところをわざわざ綾と2人で来させていること考えるとあながちそうなのかもしれない。
綾の体をあの先輩に近づけるのはやめよう。
「それでお前が入部したって聞いて男子はもちろん女子までもショックを受けている」
神宮寺桃花にはファンクラブが存在する。
その規模は校内にとどまらず他校にまでおよぶ。これまでは雫が桃花の側にいても恋愛を想起させるものは少なかった。それは雫の容姿が幼く、側に置いておくことでよりいっそう桃花の容姿が際立つからだ。そのような人たちからすれば桃花に男がつくことなど言語道断である。
しかしそこに綾が絡んでくることで話しは変わった。
綾の容姿は桃花とは違うベクトルだが可愛い。さらにスポーツで引き締まった体は無駄のないフォルムをしている。
桃花ファンクラブの女子の間では意見は2分化した。男子はむしろ綾の方が本命だと思うものが多い。
「お前はただのお飾りだったんだな。本命は妹の方だったんだな」
金田は憐れるように肩を叩いた。
いやそれも間違っているからな。
そんな時、聡は金田が持っていたあるものに気がついた。
「なんだそれは?」
「これか?これはまぁ馬券みたいなものかな。今お前たちの関係を予想する賭け事が行われている」
いつからそんな大事になっていたのか。それもこれも神宮寺桃花のカリスマ性がなせる業であろう。この際もう賭け事が禁止とかはどうでもいい気になるのは。
「ちなみに一番人気は……」
「そうだな一番人気は神宮寺先輩とお前の妹の組み合わせだな」
この場合マークは神宮寺桃花↔相沢綾となる。
もちろん矢印は→、↔の場合あり、更に1人から矢印が複数出ることも考えれば組み合わせは30を超える。
「ちょっと待って、お前何にマークしてんだ!」
聡が金田の予想図を見たとき丁度このようにマークされていた。
神宮寺桃花→相沢綾→相沢聡→西野雫
いやこれはおかしいだろ。先輩の趣向はこの際置いておく。僕から雫に向けての矢印も見逃してやる。ただ綾から僕への矢印これはどう考えてもおかしい。
「おかしいだろ、僕と綾は兄妹だぞ!」
「いや、お前たち兄妹の組み合わせは意外と多いぞ。どちらから矢印が向くかが争点になっている」
金田は平然とした顔でそう言うのである。
校内において綾が事故で記憶喪失なのは周知の事実である。1つ屋根下で暮らす聡と綾の関係を邪推する者も少なくなかった。
僕がおかしいのか?僕が間違っているのか?聡は何がなんだかわからなくなった。
今回のポスターによる被害は聡だけではなく綾にも及んだ。
その具体的な内容は。
「あなたのような方は神宮寺様にはふさわしくないわ。とっと消えてくださる」
と桃花先輩との仲を妬む者や。
「私、応援していますから」
と桃花と聡かまではわからないが恋愛を応援してくれる者。
そしてしまいには。
「これ受け取って下さい」
と女の子からのラブレターまで貰ってしまった。
もうめちゃくちゃだ。
桃花に誰も近づけたくない者、桃花と綾の百合を期待している者、聡との近親相姦など数を挙げればきりがない。
そんな奇異の目で見られる苦痛に耐えなければならなかった。
人の噂も七十五日と言われているがこのままでは一向に静まる様子はない。
聡はこの前から常に机に突っ伏してできるだけヒトト関わらない様にしていたが、この日は綾までもそれをしなくてはならなかった。
「ごめん綾、変な噂を立ててしまって」
綾は小さな声でそう呟いた。
綾の体を無事に綾に返せるよう日々努力している聡だったがこのままでは変態の烙印を押されたままでの返却になってしまう。
それだけはなんとしても阻止しなくては。
遥「綾~大変だね。大丈夫?」
望「綾、その私は信じてるから兄妹でそういうのはよくないと思うから」
恵子「綾さんそのおきを確かに」
いつものメンバーが綾を慰めに来てくれた。
やっぱり持つべき物は友達だちだ。金田とは大違いだ。
綾「その誤解ですから、私はそんな気はありませんから信じて下さい」
このメンバーなら正直に言えばきっと信じて貰える。
恵子「そうですよね何かの間違えですよね」
望「そうよね、綾に限ってそんなことはないわ。安心した」
遥「でもなんであの部活入ったの?」
遥の質問はとても答えにくいものだった。もちろん正直にいうことはできない。仕方なく当たり障りのないことを言うしかなかった。
綾「それは…そう前々からそういう超常現象に興味があったのですよ」
望「意外ね。少なくとも記憶喪失になる前の綾はそんなものに興味を示さなかったのに」
しまった。もちろん聡もその事は知っていた。綾はそういうものをむしろ怖がっており、その手の映画などは怖くて1人で見れないと聡も付き合わされていた。記憶喪失だと言ってあるにしろ望に前とは別人であることを深く印象付けてしまった。
綾「その…大人になると味覚が変わるって言うじゃないですか!その趣味もかわって…」
苦しく紛れの言い訳だ。取り敢えずこの場は全員を納得させさえすればいい。
恵子「でも綾さんのお部屋を拝見した時、そのような物は特になかったような」
迂闊だった。そういえばこの前3人には綾の部屋に招待していた。その時の綾の部屋はファンシーなぬいぐるみなどが置いてあるだけで超常現象またそれを想起させるものなど一切置いていなかった。
やっぱり急ごしらえでは無理があったのか。綾の手には嫌な汗が滲んでいた。そんな時。
遥「もうどうしてみんな綾を信じてあげられないの?大丈夫、どんなことがあっても私は綾の味方だからね!」
意外にも遥が助け船を出してくれた。遥のことだから逆にもっと意地悪な質問をしてくると思っていたが勘繰り過ぎただろうか?
でもそれは有難いことだった。
綾が遥に目を向けたとき遥の胸ポケットには紙が入っていた。それは金田が持っていたのと同じものだった。
遥も賭けをしているのだろうか?
どれにマークしたかは流石に聞くことは出来なかった。
望「私たちも別に綾を疑っていたわけじゃないわよ」
綾「皆さんありがとうごさいます」
なんとか凌げたであろうか?
しかしこのままでは体が持たない。気乗りはしないがやはりあの先輩に助けてもらおう。
聡はそう決めたのであった。




