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1人2役、ではなく1人2者  作者: 秋ルル
Aya soul side
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あやによるあやの観察日記

私の名前は清水彩だ。

ひょんなことからもう1人の私と出会い二重人格になってしまった。でもこれってすごいことだよね。アニメで見たことあるけど闇の力とかきっとそんなかんじよね!


この度はもう1人のあやとの出会いによって変化した私の日常を記していこうと思う。


「彩~いつまで寝てるのご飯よー」

「はーい、今行く」


私の朝はお母さんのが毎朝起こしてくれるところから始まる。

顔を洗い、髪をとかし服に着替える。そんな変わらない毎日だったはずだ。

(もう早く、しないと小学校遅れてしまいますよ)

少し前までは。


もう1人のあやは私にうるさい。早く寝ましょうだとか、宿題忘れてませんかだとか、いちいち私に注意するのだ。まるでお母さんが2人に増えたみたいだ。


私には兄弟はいない。お父さんとお母さんとの3人暮らしだ。だけどお父さんさんは仕事ばっかりでなかなか私の相手をしてくれない。本当は弟か妹の兄弟が欲しがった。だってそうだったら素敵じゃない。少なくとも今のような寂しいは感じない。

そう友達だってもういない。


清水彩は父親の仕事の都合上今までに何回も引っ越しをしてきたいわゆる転勤族だ。この前の引っ越しもそうである。そのせいで友達が作れないのである。

あやとの出会いは彩にとって手に入れることの出来なかった兄弟ができたようなものであった。


(もう、私がお姉さんなんだからね)

あやは生後数ヶ月なのだ。彩にとってそこは譲れないのであった。


「彩、野菜残さないの!好き嫌いしない」

野菜炒めに入っていたピーマンをよけていたらお母さんに怒られた。ピーマン食べなくたって別に死ぬわけないのにどうしてお母さんは私の嫌いなもの出すのかしら?


(そうですよ。好き嫌いはよくないですよ)


あやにも怒られた。

どうして?私たちの味覚性格には五感すべては繋がっているのにあやはピーマン食べれるの?そんなことよりその上からの態度が許せない。


「お母さん、納豆ある?」


「冷蔵庫にあるけど食べるの?」


「うん」


(だめです!やめましょう。私が悪かったです)

今更謝ってももう遅いわ。彩は冷蔵庫から納豆を取り出すとゆっくりかき混ぜた。

ゆっくりと処刑執行を行う。まずは匂いを嗅いでからゆっくりと口に運ぶ。焦らず咀嚼したのちごっくんと喉を通す。


(ふふふ、苦しめ苦しめ)


(意地悪です)


(好き嫌いはよくないんですよーだ)


(はふー)


彩にも苦手なものはある。食べ物なら納豆、オクラ、とろろといったねばっとしたもの。生き物ならカエルが苦手だ。

でも、私もカエル苦手だからこれは使えないわね。


他の日

(待ってください!)


(まだ~私次のページいきたいんだけど)


(もう少しだけもう少しだけ)

本を読むだけでも一苦労である。視角は同じでも文字を読む速度は違うようだ。


(あーもう面倒くさい!後で自由に体使っていいから)

あやはその気になれば私の体を使うことができる。以前それで助けられたこともある。あのときは怖かったけど慣れてしまえばなんてことはない。今では許可制で体を貸すこともある。


(本当ですか?)


(ついでに宿題やっておいて)


(それはだめです)


(お風呂洗い)


(それならまぁ~)


(よし)

お母さんに頼まれたお手伝いもこのようにあやに押し付けることもできるのだ。

うんうん問題ないよ。だってあの子は私なんだから私がやったのと同じだよね。


体を奪われる感覚を疑問に思う人もいるかも知れないわね。一応説明しておくと金縛りのようなものなの。体が勝手に動くのを眺めている感じよ。後もうひとつあるわ。私たちは『眠る』と呼んでいるけど。これはさっきのとは違って使用者側でない方は完全に意識をなくすの。といっても意識的にできるものでもないの。あなただって「今すぐ寝なさい」って言われてできるかしら?だからもしかしたらあやは私の眠っている間にこの体を使っているかも知れないわ。でも私はあやはそんなことしないって信じてるから。だってあの子にそんな度胸ないし、それにほら私はお姉さんだから器が大きいのよ。


某日某時刻


(彩さーん起きていますか?)

呼び掛けてみても彩に返事はない。どうやら完全に眠ってしまってるようだ。


(本当なら私も眠らないと彩さんの体が休まらないのですが)


その日あやはなかなか眠れなかった。体を借りているあやに許されているのは考えるのをことだけだ。


(彩さんはとっていい人です。ちょっと意地悪なところもありますがなんだか可愛いです。普通ならもっと怖がられてもおかしくないんですよね)


そしてあやは考えることを続ける。


(私はいったい誰なんでしょうか?そしてこのまま彩さんの体に居続けてもいいんでしょうか)


そんなことを考えながらあやはゆっくりと眠りにつくのであった。

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