悪い場合
今回は少し過激かな
「悪い方からお願いします」
聡はそう答えた。
「ほう、君もなかなか挑戦的だね。」
「いいも、悪いも結局は部長の推理じゃないですか、だったら希望を残しておきたいです」
桃花はそう言われると、人差し指で雫指した。
雫には聞かせられないほどのことなのだろうか?
聡は先に悪い場合を選んだことに後悔しはじめた。
ここは綾を使って雫を部屋の外に出すことしよう。
「雫先輩~そのお花つみに付き合って下さい。ちょっとここからだと場合がわからなくて」
「いいよ」
先輩と呼ばれると雫は機嫌がよさそうにそう答えた。お姉さんのつもりだろうか?わざわざ綾の手を引いてトイレまで案内してくれる。
しかし、はたから見ている分にはどうみても手を引っ張られている綾の方がお姉さんに見える。綾の身長はそこまで高くはないが雫と並べるとその差はよりいっそう目立っていた。
「これで心おきなく話せるな」
そう言って桃花は聡の前に立った。これでこの部屋は完全に2人きりだ。
2人きり?
「そう言えば黒猫の姿が見えませんが?」
そう言えばあいつはどこにいるんだてっきり部室にいるものと思っていたが見たかんじいないようだ。
「あいつは神出鬼没だからな、常にいるとは限らない」
猫らしいといえばらしいが、あいつにも用事があるのだろうか?
猫のくせに。
「まぁそんなことはどうでもいいじゃないか?」
「覚悟しています」
そうだ。やっとこのときが来たんだ。さんざん待たされたがいよいよ部長の推理が聞ける。
聡はいつの間にかかいていた手汗をズボンでぬぐった。
「まず、最も最悪なケースは綾の魂がもうこの世にないという場合だ。私たちが今後なにをしようと全て意味のないことだな」
そうだ。この推理は綾の魂がまだこの世にあることを前提にして行われる。その前提が崩れてしまえばもともこもない。
「もちろんその可能性も考えています。それがゼロでないことも、それでも生きてさえいれば…」
ひとまずその可能性は捨てよう。でなければ話が先へ進まない。
「その事なんだか、本当にそう思うか?生きているということは昨日の私のように誰かの体に寄生するということだ」
「人の体に寄生するといった行為に対する綾の良心を心配しているのですか?」
綾は優しいこだ。宿主のことをまず優先して考えるだろう。宿主が拒絶したら?もしかしたら自ら成仏?してしまうのでは?
そう考えたら、一刻の有余もない。既に綾はいなくなっているかも知れない。
「それもあるが、私の考えは別のことだ」
これより先の寸劇は主演、脚本、監督全て神宮寺桃花1人によって行われます。苦手な方はブラウザバックをオススメします。
神宮寺桃花による一人芝居第1目
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「いや、駄目やめて」
「やめてといわれても嬢ちゃんこれは元々俺の体なんだぜ!ぐへへ」
「そんな!いや」
「言ってみろよ、どこがいいんだ、ここか?」
「あっ」
「ここか!」
「あっだめぇ~、何かきちゃうの~」
「やっぱりJKの反応はたまんないぜー」
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自分は一体何を見せられているのだろうか?
神宮寺桃花による一人芝居第2目
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「なんの真似だ」
「あなたがいけないんですよ、駄目って言ったのに」
「まて、早まるな、クソ、体が言うことを聞かない?」
「そうですよ、だって支配権は今私にあるんですからね、ふふふ」
「やめろ、やめてくれ」
「いつも言ってたじゃないですか、いくときは一緒だったて、さようなら」
「ぎゃーーー」
「本日未明、男の死体が河川敷前から発見されました。警察では自殺と他殺両方の面で捜索を行っています。
次のニュースです」
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「どうだ!!」
桃花はやりきったぞ、といわんばかりにこちらを見てくる
雫をこの部屋から遠ざけた理由がやっとわかった。
「どうだと言われましても」
頭が追い付かないそんなことあるはずがない。あってたまるか。ないはずだ。ないんじゃないだろうか。お願い神さまどうかそれだけは。聡の自信はだんだん弱くなる
「仮の話だが、そうなっていたらどうする」
「探さないでください。その男を殺した後、富士の樹海に消えることにします」
「おいおい、だいぶ憔悴してるな。あくまで可能性の1つだ。それにまだ、君にとって都合のいい推理も残っているぞ」
そうだ。まだ希望はあるのだ。
「部長!次よろしくお願いします」
「ふふふ、いい顔だ」
今回も部長は楽しそうだった。
本日3回目の更新になります。
来週は用事で更新できないかもしれませんので、多めに上げときます。
最近少しずつですが評価されて嬉しいです。
今後も応援よろしくお願いします。