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エピローグ
後から知ったことだが、僕はうわごとで「いい加減死なせてくれ」「眠りたいんだ」と繰り返していたらしい。
腕には幾つもの深い切り傷の跡があり、僕自身に覚えはないものの、この事故を機に発覚したその傷とも向き合わされることになった。
死なないでよと怒られても、僕自身死ぬつもりなど毛頭無い上、何故そんなうわごとを言ったのかも皆目わからなかった。
夢も希望もまだまだたくさんあるからだ。
事故の前の記憶はあるのに、この件だけは戸惑うばかり。
ただ、目の前にある実在する腕の傷や、あの奇妙な夢があるだけに、多少揺らいでもいた。
もしかしたらあの街は、生と死ではなく…もっと違う何かを示すのだろうか。
あの街での、僕の異様な感覚、それは語ることは無いだろう。
ただひとつ。
「橋」は――
見つかったような、気がした。
*おわり*