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魔法戦線異状なし!!  作者: かり助
少年時代編
5/8

4話 秘密と予告

今回の話には交通事故などに関する描写があります。


今回の話はできるだけ不思議なミステリアスな感じにしようと思いました。結構暗い話になったと思います。

馬でパカラッ、気持ちいね。チャリよりケツが痛いけど。

杖は付属の革製の鞘に入れてある。不思議なことにこんだけ揺れても落ちない。魔法でも使ってんのか?

「あ、アーノルド様。」屋敷の周りの農村の村人が挨拶をしてくる。(屋敷は意外と農村の中にあり、領都はここからちょっと離れてる。)

「あ、そうだ。最近困ってることありませんか?」

「うーんそうですね・・・あそこの岩ですかね。」村人が指差した方にあるのは、大きな岩だ。そういや先日『朝起きたら道のど真ん中に岩があった』とかいう噂を聞いたけど本当だったのか。

「こんなに大きな岩だったらどうしようもない。と皆で話して領主様には話してなかったのです。」

「ふむ、やって見ます。危ないので避難してください。」

「え、動かせるのですか?」

「動かす・・・わけではないですが。多分どかせると思います。」

「では、お願いします。」


俺は早速岩を見てみる。確かにでかいな直径5mぐらいだ。多分横の崖から転がって来たんだろう。

ここで岩をそのまま爆破したら破片が辺りに飛び散ってエラいことになるから岩を『魔法障壁』で包むか。あっでも魔法障壁だと自分が爆破魔法を使っても跳ね返されそうだな。どうしようか・・・

「でも、魔法だからなんとかなるんじゃね。集中すればなんとかなる(かも)」


「じゃ『魔法障壁』」

大きな岩がぼんやりとした膜に包まれる。俺の魔法障壁は集中すればなんとかなる。俺の魔法障壁は集中すればなんとかなる。俺の魔法障壁は集中すればなんとかなる。

「よしッ集中した。『爆破』ッ!!」

オレンジ色の細い光が岩に向かう。俺の魔法障壁を抜けてくれ・・・。



あっさり抜けた。そして障壁の中で岩は粉々。やったぜ!!!

村人はちょっと引いてるように見えるけど・・・・避難だな。

「あ・・・岩を消して(・・・)いただいてありがとうございます。」

「いえ、俺も杖が試したかっただけですしお礼なんていいですよ。」


村人と粉々になった岩(砂?)の片付けをして俺は家に帰った。

父と母に会ったことを話すと「そんなこともできるのか!?」と言われた。すごいことなんだろう。

それからも毎日領地に出かけて魔法を試した(水不足のため池を満杯にしたり、畑を一気に耕したり)さらに前世(?)の知識を使い、農業の改革を少しずつ進めて行った。そんなある日俺は父上に呼ばれた。


「一つ聞きたいことがある。」父上の顔は真剣だ。後ろには母上も立っている。

「チキュウを知っているか?」俺はその言葉を聞き一瞬意識が遠のく。チキュウ・・・地球。話そうとしても口がパクパクして何も声にならない。

「やはり知っているのか。アーノルド、お前はチキュウから来たんだな。」

俺はただ頷くことしかできない。なぜ父上は地球を知っている。

父上はそれに応えるように話を続ける。

「俺はなんとなくわかっていた。数ヶ月前から急に人格が変わったからな。別に俺はアーノルドのことをどうしようとかは思わない。だから一つ頼みを聞いてくれ。」

俺は頷く。身体中が震えている。とても、とても怖かった。そんな中父上は話を続ける。

「アーノルドが一番気になっているのかは『なんで俺がチキュウを知っているか?』だろう。俺の親父・・・・アーベント・ホーガンは、アーノルドと同じようにチキュウ出身というか前世がチキュウ人なんだ。いや、このホーガン家自体がチキュウ人が前世といってもいい。」

「で、では父上も・・・?」

「いや、俺は違う。ただ数世代に一人ぐらいの割合でチキュウ人が前世か途中から乗り移るんだ。まあホーガン家自体がそのチキュウの知識のおかげで興されたような家なんだがな。」

俺は非常に驚いた。多分何かの運命なんだろう。しかしそれと同時に懐かしさも感じる。

「俺の親父はチキュウについて少ししか教えてくれなかった。だから教えてくれ、親父が暮らして来たチキュウはどんな世界だったのかを。」

その後の会話でどうもアーベント・ホーガンつまり俺のお祖父さんは日本出身の高校生で多分だが2006年ごろ転移したのだろうということがわかった。(死ぬ間際に『任○堂の新しいゲームしたかったな・・・。リモコンが壊れたんだよな・・・。』と話していたらしい)

俺はできる限りのことを話した。アーベント・ホーガンがどのようなところで生活して来ていたのか、そして俺はどのような生活をして来ていたのかを。それを一通り話し終わった後父上は言った。

「アーノルド、いやモトヤマ ユウキ。俺は10歳まで育ててきたアーノルドではないとわかっている。さみしいことだが・・・俺は君をアーノルドとして育てる。」

父上はそういうと涙を流した。

「そんなに他人行儀にしないでください。俺はアーノルドですから。元山 結城はもう消えました。」

「ありがとう、アーノルド。」父上と母上は涙を流していた。





「元山さん。警察の者です。」事故から一週間息子は帰ってこない。帰って来てほしい。変わり果てた姿だったとしても。

「結城くんの事故に関してはお悔やみ申し上げます。」

スーツ姿の二人の警察官がそういう。

「そのようなことなら帰ってください・・・・。息子はまだ帰ってこないんですか?」

「それに関してのお話です。」

私はその時はただ、それの状況が酷すぎるため時間がかかったとでも言うのかと思っていた。しかしこの後の話に私は驚くことになる。

ひとまず二人を家に上げる。そして二人の話を聞いた。

「先日の息子さんの交通事故ですが交通事故であった(・・・)ことは間違いありません。運転手の方からも間違いなかったと証言していますし・・・非常に言いにくいことなのですが血痕なども残っていました。」

その時私は想像してしまう。息子の最期の瞬間を。信号無視の軽自動車にはねられて、若い命が消えたのだ。その時の光景は想像を絶する。しかしその想像は彼の言葉で消えていく。

「息子さんの遺体が・・・・なくなっていたのです。」

もちろん警察はその当時の状況を入念に捜査した。しかしどの目撃者も『誰も現場に立ち入ってはいない』という。

事故車も調べられた。だが痕跡はあるのだが結城が消えていたという。

「そしてこれが、息子さんのと同じようなケースです。」

一人の刑事が一枚のプリントをテーブルの上に差し出す。そこには事件の起きた日にちと被害者の年齢が記されていた。

「2001年 14歳、交通事故の痕跡はあるが行方不明。2006年 17歳、踏切での事故、行方不明。」

同じような事件が他にもいくつか書いてある。

「これは、本当の事故なんですか?そもそも事故って起こったんですか・・・?」

「それに関して今からお話することは非常に機密性の高い話です。これを聞くに当たってこの誓約書にサインをしてください。もちろん拒否されても結構です。」

私は迷わずペンを取る。

「ではまずこの動画をご覧ください。事故の瞬間の動画になりますので覚悟をしてください。」

そう刑事が言うと手元のタブレット端末に防犯カメラのものであろう動画を写した。


男子生徒が自転車に乗っている。高校生だろうか?彼が横断歩道を渡った瞬間、猛スピードで車が進入してくる。思わず目を背けたくなるその瞬間、男子生徒が立っていた場所に、ポッカリと黒い穴が空いて、消えた。

「なんなんですかこれは?」

「私どもも調査中です。息子さんの事故を写した防犯カメラにも同じようなものが写り込んでいました。そしてこれは事故を起こした側の証言ですが皆一様に『そもそもあの時車になぜ乗っていたのかわからない』や『あの時電車を運転していなかった』などの証言を繰り返しています。さらには多くの場合アリバイもあります。」

「じゃあ、本当にこれはなんなんですか?」

「事実を持って捜査に当たる者として言いにくいのですが、超自然的な何かと。もちろんこれは公式の研究に基づいたものではありませんし私個人の感想です。いきなり言われても信じにくいでしょうが、これから何か気づいたことがあればここに電話をしてください。」

彼らは1枚の紙を差し出すと帰っていった。



「あら?私何をしていたのかしら?」一人座っていたテーブルには2つの湯のみに見知らぬ電話番号が書かれた紙が1枚。

「そろそろ結城が帰ってくる時間かしらねぇ。」

その時警察から電話がかかってきた。息子が交通事故にあって亡くなったという。





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