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夢幻のまち 塵箱世界  作者: つかさ
第一部 了、編
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第十四話 了と菫

 了は菫の家に来ていた。彼女の家は人里の端に存在しており、家の外観はこの世界には似つかわしくない現代風である。菫が前に異世界からの者にリフォームを頼んだからだという。

 家の中は整理整頓が行き届いており清潔であった。椅子に座り昨夜のアサキシの屋敷でのやり取りを話した。話を聞いた菫はため息を吐いた。


「知ったのか」


「ああ、菫が秘密にしていたのはこれの事か」


「まあね」


 了は菫がアサキシ側なのか尋ねると首を振り、否定した。


「じゃあ、なぜお前はアサキシの下についている」


「前言ってなかったけ?、私はアサキシを止められなかった。それの償いとして世界を守るため管理所にいる」


「日記を読んだかぎり、お前が罪の意識を感じる必要はない」


「そうだな…そうだ。だけどなあ…知ってしまったんだ」


「…」


「それに大災害で死んだ親に対しての親孝行?みたいなものでもある」


 菫は腕を組みながら話す。その言葉に疑問を了は感じ尋ねる。


「どういことだ?」


「うーん、私と親は大して仲は良くなかった。私が記者として独り立ちするのが、気に入らなかったらしい。若いからという理由で私が外の村、いわゆる今の人里の元になった村に行くことを拒んだ。

 心配だったのかは分からん。で私は親の事を煩わしく思い何も言わず家を飛び出した。まあ家出だな」


「で、アサキシの村に行き、アカネの事を調べたと」


「ああ、アカネが作った兵器があると聞いてな。どんなものか調べるためしばらくの間その村に留まることにした」


「で大災害が起きた…」


「ああ、起きた。私は被害にあった所を調べたら私の村が被害にあっていた。村は影も形も無くなってたみんな死んでた」


「そうか…」


「…仲は良くなかったんだが、私の親だったんだ。私は生きてる間、親に何もしてやれなかった、守れなかった。その事実に気がついた時はどうにかなりそうだった。湧き出す負の感情を何とか処理するために、犠牲の上に成り立ってしまったこれからの世界を守ることが死んだ者・親のためになる。親孝行につながると思い込んだ」



 菫は乾いた笑顔を見せる。了は居た堪れなかった。


「結局は自己満足だ。でもいい事だろ世界を守るのは」


「…アサキシに思う所はないのか?」


「あるに決まってんだろ。奴は許せん。私が管理所にアサキシの下にいるのは世界を守るためとアサキシの動向を監視するためだ」


「監視してどうする。仇をとるのか」


「そうだ。奴を苦境に立たせ、命を奪う」


「どうやってだ、大災害やアカネの事でも広めるのか?」


「それは今の平和の世界に悪影響を及ぼすから出来ない。他に影響を与えず、奴だけを敵にしなければならない」


「難しいな」


「ああ、暗殺も考えたが奴は強い。逃げられてもすればそくアウトだ。こちら側が悪になる」


「あとじとの関わりもあるしな」


「おそらく最近会って、何か企んでるんじゃないか?両者の願いを叶えるために」


「あとじの奴はエルカードを不用意にばらまき混乱を起こし楽しむ。…アサキシは何だ」


「…奴が叶えたいのはおそらくだが自身の親に関することだろう。それに関しては奴は何でもするかもな。エルカードや危険物を手に入れようとするのはそれも含めてかもな」


 自信を持って言う。日記ではアサキシは親に対して深い思いがあった。それを考え了は納得した。


「あとじはそれに付けこみ、何かゲーム感覚で騒ぎを起こすな、これから」


「そしてアサキシはエルカードを求め事件を解決しようとする。…どんなものも利用して」


「…するのか」


「するさ。了お前はアサキシに対してどう思う?」


「アサキシは多くのもの奪った。それを考えれば許せない気持ちがある」

「でも奴はお前を保護し人間性を与えた」


「そうだ…だから何とか更生できないものかとも考えてしまう」


「お前がどう思おうが…私は何時かアサキシを倒す。邪魔はするなよ」


「わかってる、私もそこは覚悟する。私はあとじに関して何とかする。奴は…駄目だ不用意に混乱を起こしている」


「しかし、アサキシは自らの願い叶えるまで、あとじを消されるのは防ぐだろう」


「それを考え、アサキシに邪魔されぬ様管理所から離れる。それに今アサキシの下にいるのは精神的に嫌だ」


「そうか。今後何かあったら話し合うぜ」


「…<エンド>のカードを使えとは言わないんだな」


「嫌なんだろ。使うの」


「ああでも」


「<エンド>の力を使うことでお前の人間性が失われ厄介なことが起きる可能性が高い。それにあと何回持つのか分からないだろう?」



「ああ、わからない。あと何回持つのか…それとも次で全て失ってしまうのか…」


 じっと自分の手を見る。それを見た菫は何とか励ます。


「アサキシもあとじもその力を警戒して不用意な戦いはしかけないだろう」


「そうかなら、いいんだが」


「ま、今できることは特に無い。日々を過ごすだけさ」


「…私はこれからも事件を解決するよ。了として、個人でな」


「これから大変だぞ~」


 菫は笑いながら言う。


「大丈夫だ。…お前こそ大変だろう」


「…大災害からずっと大変だし構わない」


「…じゃあまたな菫。会えてよかった」


「ああ私もだ了…」


 了は別れの言葉を交わし菫の家を出た。



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