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第2話「出会ってしまった」


外が明るい。

「お兄ちゃああああああんん!!! 朝だよ!!」

妹がリビングから階段へ上がってくる音で目がさめる。

「朝ごはんできてるってえええ!!」

と叫ぶ妹の声が大きすぎて、声の振動で家が少し揺れた。

「今いくよ」


今日俺の見た夢を思い出していると、

「お兄ちゃん、何そんなにやにやしてるの」と妹に言われ、

慌てて鏡を見ると、目が開かないくらいにやけているコトに気づく。


俺の見た夢……

パリのエッフェル塔の前で、微笑む拓也。

そっと目を閉じて……閉じたふりしていると拓也が

俺の唇に……


ブチュッ

「あああああ!!!ケチャップもうきれてる!!

おかああああさあああああん!!」

妹の無駄に大きな声で揺れ、緊急地震速報で俺の地域だけが震度2の揺れだと

ニュースで速報される。

「お兄ちゃんまたにやけてる!!!」

「翔太なんかいいことあった?」


うん。

「別に」


「行ってきます」


そう言い、家を出た。

あの靴を持って。


× × × × × × × × × × × ×


「まあ拓也がいれば問題ないよね〜〜〜」

「俺にたよんなよ」

「よっ!うちのサークルのプリンス」

みんながうるさい。

めんどくさいなもう。

サークルの新歓。もう2年生になったんだと思うと同時に、

もう4分の1終わったんだと少しもやもやする。

「めぐたん、すきすき」

「私もすき〜」

抱き合う、恵と勇介カップル。いちゃついてないでビラ配って

くれないかなぁ。

でもいいよな、心のそこからすきになれる人がいるって。

大学生になって、14回くらい告白された。

でも、なんかどの子も恋人になろうとまでは思えなかった。

こうして、ずっと独身貴族になったりするのだろう。

本当に自分が自分の中から見えなくなるくらいまで、人を

愛するって感覚を、生きているうちに俺は味わうことが

できるのだろうか?

「拓也、飲み物買っておいたよ」

「え」

サークルでみんなを一緒にまとめてくれる、千佳がジュースを渡してくれた。

まだ千佳なら……恋人になるイメージはしやすいなぁ。

「何、ぼ〜っとしてるの」

「ちょっとね」

「何考えてたの?」

「言えないかな」

「言えないって何?! 恋でもした?」

「バカ、そんな少女漫画じゃないんだから」—

—その時だった。

少し先に、今まで見たことないくらいキラキラしてる女の子がいた。

一気に俺の胸から今まで聞いたことのないような音がした。

「あ……」

気づいたら、体が勝手に動き出していた。

「ちょっと! 拓也?!」

人混みをかき分ける。

俺、人混みかき分けるなんて勇気今までないと思ってた。

すみませんってこんな大きな声で叫んだの初めてだ。

そして思わず腕を掴んでしまった。

驚いて振り返りこっちを見たその子は、

なぜかものすごい驚いた顔をしていた。

「きゃ」

「ご、ごめん!!」

「い、いえ」

その子は、なぜか真剣にじっと俺の持ってるビラを見つめる。

どうしよう。

こんなに人の前で、足が震えたのは始めてた。

「これ、いただきます」

「え」

その子は、ビラを一枚取っていきなり走り出した。

「え!」

俺が追いかけようとしたら、

「あ〜もうどこ行ってたの?」

「ちょっと……あぁ」

「ごめん、誰か探してた」

「いや」

彼女は、見えなくなってしまった。

でもすごく、

可愛かったな。


× × × × × × × × × × × ×

ハァハァ……ハァハァ……

びっくりした……

なんか、すっごい

ドキドキしたなぁ……

上明大学テニスサークルネオン、お花見が

来週か。


俺は、ビラを見つめながら桜の木の下で、

あいつを想っていた。


つづく




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