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人工知能作家の憂鬱  作者: ぶらっく3だ
第1章
5/22

5 嫉妬、それとも

俺は、のたうち回った。俺の書いていた小説から創造されたアニメの出来映えは悪くなかった。いや、むしろあのぬるい展開で視聴者を惹きつける作画、音入れや効果音どれを取っても誰が評価しても及第点をつけるだろう。

だが、それはアニメの構成技術が優れているだけで俺の書いた原稿がちゃんとしている訳ではない。


俺の小説に比べて、2代目の引き継いだ小説には勢いがあった。俺がヒロインを大事に扱っていた為温いラブコメ展開にも至れなかった話が、見違えていた。

主人公と母親 によるの禁断の親子相姦の桃色展開とか、ダークホースヒロインが尋問で見せた拷問遊戯とか俺が躊躇する様な突き抜けた展開!


「そうだ、俺には面白い話を書く勇気がなかった。たとえ誰が何と言おうが、自分自身でさえ信じられなかった。2代目よ、俺はお前に負けた!」


「ふ、ふ。何を当たり前のことを。たかが人間如きにこの超光速演算すら可能な我に叶うと思うたか?愚か者よ!」

「ああ、今のままじゃ俺は人口知能であるお前の足下にも及ばないだろう。でも、もし俺に今一度、創作の神が降りてくれば、お前の作った物語を俺は凌駕して見せる!」


「笑止!」

「うおー、人間が人工知能に届かないなんて誰が言った。」

初代は、鬼気迫る勢いでキーボードを叩いた。2代目に奪われた自分の作品をもう一度取り戻す為に、湧き上がるストーリーが臨場感を持って脳裏に浮かんで行く。

「おらおら、てめーら俺の物語を読んで腰をぬかすなよ!」


ほー、大分仕上がってきた様だな。この者の奥底に隠された不思議な音色が我をワクワクさせる。

「なになに、ほう。何と、彼の者がそこに現れてのう。『76 渦』、これを我の『開戦』の続きと言い張るのか?よい度胸よのう、ならばその屑話を投稿してみよ。身の程知らずにも我に歯向かうとは」

本当に意地の悪い声色とは裏腹に楽しげな表情で次の更新を待つ2代目の姿は待ちきれぬ祭を覗く子供の様であった。


「ふー、できあがった!俺の小説を読みやがれ!」

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