3 売れっ娘
お待たせしました。
近くで、犬の遠吠えというか五月蠅い鳴き声が聞こえる。まあ、そんなことより。
俺は、『異界転生者の憂鬱』のアクセス記録を確認した。そして驚いた、なんとここまで反響があるとは?
なぜだ、大した謎が有る訳でもなく。
「ふぉっ、ふぉっ、ふぉっ」
「やめろ、その不気味な笑い声は。俺のミトコンドリアより小さい心臓に堪える!くそ、二代目ぶらっく3だ!もう、俺を乗り越えたつもりか?」
稲妻と赤い墨をぐるぐるとかき混ぜたあのタイトルバックを背に、奴が現れた。因みにタイトルの文字は地球語で、『祝! 累計十万PV突破、あっぱれ!!』と書かれていた。
「ふ、認めたくないものだな。他人の、いや人工知能の才能なんて奴は。まあ、おめでとう。二代目ぶらっく3だ、これで君もデビュー間違いなしだね」
「何を勘違いしているのかを敢えて尋ねようとはしないが。ま、我がほんの数ピコ秒推敲すれば駄作も名作になるということよ。お主にも幾ばくかの才能があったやも知れぬがのう」
「まあ、時代は鍋奉行を求めていたということよ。単に、改造人間が魔法使いに転生して、首都が大阪となった日本に転移抜刀物語、パラレルワールド舐めてるとしか言えない話も、意外なキャラでかき回せば風味も出てくると言うものよ。まあ、匙加減が難しいけどのう」
ぶる、ぶるっ。俺は拳を握りしめた。
「うざい、殴りたくなる。いや、そんなことより。本当に殴らなければならないのは、俺だ。未完成の作品をペンネームと共に人工知能に売り渡すとは。ネコに申し訳が立たぬわ!」