14 銀河に届け、仮想の闇
兆利人でも書いておりますが、念のため
「注意」 仮想通貨取引は大変リスクの高いものです。投資の判断は、個人責任でお願いします。
や、やっちまった。また、俺は、魂を悪魔に売り渡してしまった。
先日、俺は仮想通貨を武器に、中東にあった亡国の王子が成りあがる新作を書き始めたんだが、運悪くリアルで投資していた仮想通貨が軒並みに値を崩して昼飯代も出せない有様だった。(いや、一応ゼロになった訳じゃない。損きりして売れば一、ニ年は暮らせるよ。でも、そんなんじゃ、駄目だろ!?)
そこに、悪魔が、あの銀河を背負った人工知能「二代目ぶらっく3だ」に昼飯代を借りた代償に、俺の渾身の新作が奴の毒牙に掛ってしまった。正統派ファンタジーが、SFスペースオペラに侵食されちまった!
でも、一番の問題はそこじゃない!奴の方が、面白かったんだよ!!
舞台は、単なる中東、日本、異世界から宇宙と裏地球(異世界)へ大きく飛躍し、また伏線があって俺は魂が震えた。
だいたい、仮想通貨の利用価値ってファンタジー世界よりも、宇宙だよな。シビアに
質量が問題になる宇宙航行において、貨幣を数字に置き換え、それも迅速(光速)で照合処理する利点は計り知れないよな。
まあ、計算処理といったら奴の十八番だ。なにせ人工知能なんだからな。
うん?待てよ、大体ビーストコインというか仮想通貨自体が昔暇つぶしに奴が匿名で書いた論文を元にって。
まあ、基本設計、詳細設計、果ては、コーディングまでやってても別に驚かないが。
「ビーストコインか、わざとバグとか、妙な仕様にしてその後の発展を促すつもりだったな。あまり、開発が遅いのでデバッグとテストもたまに手伝ってやっていたがな」
え?いやコーディングまでじゃなくて、マジデ全部かよ。くっそリスペクトだよ。
「もう、いいや。約束通り、新作は二代目に任せた。俺も銀河大戦を本気で読みたくなったしな。まあ、ここでネタバレなんかするとまずいし。俺は、ホム振りを続けるぜ。読者のみんな、待ってろよ!」
「ふふ、早く続きを読みたい物じゃの」
「くっっそ面白くしてやるから、中央演算処理部が火を噴いても知らないからな!」
ほっほ、煮えたぎる想い、良い傾向じゃ。もう少し、呷っておくかの。
「まあ、最近の読者の目は『仮想通貨で俺は兆利人を目指す!』釘付けのようじゃが。まあ、精々飽きられぬよう頑張ることじゃな。ふっ」
「おーのーれー!目にもの見せてやるぞ。ピコ分子網膜に焼き付けておけ、俺の鬼気迫る執筆姿を!」
くっ、く。これで、悠久の時の無聊を慰めてくれる真の物語が読める、楽しみしておるぞ、ぶらっく3だ。