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紅ノ月ガ沈ム迄 ーTHE TOWER OF PRINCESSー  作者: Sodius
第六章・真 ロゼシュタッヘルの紅龍
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1、帰還#

 セト、ココルの二人は、月が沈む前にはルヴェールへと戻っていた。


「こ、ココル!?無事だったか!」


 ルヴェール城内へ入ると、夜遅いにもかかわらずシンデレラが二人を出迎える。


「し、シンデレラさん……あの──」

「シンデレラ様、ココルさんに部屋を一室貸していたたげませんか。お顔の怪我が酷く、治療も必要です」


 ココルの言葉を遮ってそう言うセトに、シンデレラは頷く。


「ココルさん、シンデレラ様には自分から伝えておきます。貴女は部屋で休んでいてください」

「う、うん……ごめんなさい……」


 そしてココルは城内の一室へと向かい、セトはシンデレラに事情を説明していった。


「そうか……」


 セトから事情を聞き、深刻な表情を見せるシンデレラ。深刻な顔をしながらも、彼女は続けて口を開く。


「恐らく、今のお前が一番ココルの気持ちを分かってやれる筈だ。私は……私からは、とにかく前を向いてほしいと、それくらいしか今は言えない。明日になったら、私も一度ココルと話をしてみようとは思うが……やはり今のココルを一番支えてやれるのは、確実にお前だろうな」

「はい……」


 シンデレラの言葉にセトはただ一度頷くだけで、それ以上は何も言わなかった。いや、言えなかったのだ。


 自分にとって、明日はもうないなどとは。




 翌日、昼頃にセトは一人ハナの元へと向かった。


「こんにちは。お店の準備、かなり進んでいますね」


 突然のセトの訪問に、ハナは慌ててその場に跪く。


「せ、セト様……!あ、明日あたりにはお店を開けたらと思っております」

「そうですか。それはとても順調みたいですね。あ、あの……どうかお顔をあげて下さい」

「は、はい……」


 セトの言葉にハナはゆっくりと立ち上がり顔を上げるが、セトと目が合うと慌ててまた下を向いた。


「ところでハナさん。一つ、お聞きしたいことがあるのですが……」

「はい、なんでしょうか……」

「クリムゾン・サイスのことです。彼には、その……お気に入りの場所、といいますか……よく訪れるような場所はありましたか?」

「え……?なぜ、ですか?」

「あ、いえ……シンデレラ様から、聞いてくるようにと言われまして……」

「ああ、そうでしか。クリムゾン・サイスのよく向かう場所と言われると……そうですね、いばらの森ロゼシュタッヘルでしょうか。確か墓参りと言って、よくその場所を訪れていたような気がします」


 ロゼシュタッヘル……墓参り……。


「ロゼシュタッヘル……分かりました。シンデレラ様に伝えておきます。ありがとうございました」

「いえ、また力になれることがありましたらなんでも聞いて下さい」

「はい。それでは」


 墓参り、か……。


 それからセトはすぐにルヴェール城へと向かったが、しかしハナから聞いた情報をシンデレラに伝えることはなく、ただ自分の部屋へと戻るのだった。

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