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紅ノ月ガ沈ム迄 ーTHE TOWER OF PRINCESSー  作者: Sodius
第四章 シュネーケンの真実
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5、覚悟

「本当……ですか……?」


 騎士を、辞めた……。ココロは本当に、騎士を辞めてしまったのか……。


「ああ……。ココロが一人でルヴェールへ戻ってきたときは流石に驚いたよ……。以前の傷口もまた開いてしまっていてな。一体何があった?」

「あの……ちょっと、喧嘩しちゃって……。お姉ちゃんは何か言ってましたか?」

「それがな……ココロの奴ここへ戻ってから一切口をきかないんだ……。今は城内の一室で休ませているが……」

「そう……ですか……。私、今からちょっと見てきます……」

「そうか。では、私もセトの元へ行ってくるよ」


 そして二人は、それぞれ別の部屋へと向かうのだった。




「セト、入るぞ」


 シンデレラはそう言って、セトの部屋へと入っていく。


「話は聞かせてもらったよ。剣が、振れないそうだな」


 部屋の中でただ佇んでいたセトは、入ってきたシンデレラに振り返り、しかしすぐに視線をそらす。


「はい……。なのでシュネーケンへは──」

「セト、お前はウォロペアーレで犯した罪を、どのようにして償うつもりだ?」

「え……?それは……」

「罪の償いのために、お前は一体何ができる?」

「自分は……」

「そんなに考えなくとも答えは出るはずだ。考え過ぎるのは、お前の悪い癖だ」

「……剣……」


 その呟きに、シンデレラは僅かな笑みを浮かべた。


「ああ……きっと、お前にはそれしかないよ。剣の罪は剣で拭い去ればいい。振り方を忘れたわけではないだろう。だから、また以前のように戦ってくれ……セト」

「いいのでしょうか……。また、剣を振っても……」

「振らなければダメなんだ。戦いから逃げるな。私の知っているお前は、どんな状況であろうと決して戦いから逃げ出すような奴じゃない。以前のルヴェール襲撃でもお前はこの私に見せただろう──」


 流れ落ちようとする涙を嚙み殺し、セトはただ黙って目を伏せる。


 ダメだな最近は……すぐに涙腺が緩んでしまう……。ルーツィア様も、ベアトリクスさんも、ココルさんも、シンデレラ様も……皆優しすぎるんだ……。人殺しであるはずの自分を……なぜ、そこまで励ましてくれるのか……。


「──私に仕える、騎士としての覚悟を」


 答えなければ。その励ましに、自分は精一杯答えなければならない。今の自分にできる償いなど、それくらいのものだ。


「シンデレラ様……ありがとうございます。危うく忘れてしまうところでした。この身は既に、貴女に捧げたものであることを」


 そしてセトは、その場に跪き心臓に拳を当てる。


「明日、シュネーケンへ行って参ります」

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