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紅ノ月ガ沈ム迄 ーTHE TOWER OF PRINCESSー  作者: Sodius
第三章 ウォロペアーレの涙
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2、動揺

 セト、ココロ、ココルの三人はルヴェールを出て南へ。シェーンヴェントを抜け、悠遠の湿地帯アインストオーゼへと辿り着く。


「あの……どうしました?」


 既にルヴェールからかなり歩いてきたが、セトはここまで全く会話をしないココロとココルに違和感を感じていた。


「ど、どうって!?べべ別にどうもしないけど!?」


 セトの言葉に明らかな動揺を見せるココル。


「そうですか……?今日はいつもより会話が少ないと思うのですが……」

「ふ、普通だよ!普通!全然普通だから!ね、お姉ちゃん!」

「は、はい!ふ、普通、ですよね……!」


 普通といいながら普通でない二人だが、セトは前方からの魔物の接近に気づき一旦そちらに集中する。


「ライトジャロビーですね。援護をお願いします」


 現れたのは巨大な蜂型の魔物、ライトジャロビー。以前シェーンヴェントでも討伐している魔物だ。


 セトはいつも通り二人の前へ出て剣を一振り。これは素早く動く標的を捉えられず空振るが、立て続けに放った〈ディミニッシュブレイド〉による一撃で確実に標的を捉える。


 セトの一撃にライトジャロビーは怯み、そこへココルの矢が飛ぶが、しかし何故か矢は一直線にセトの背中へ。


「せせせせセトさん避けて!!!!!」


 ココルの声にセトの反応はギリギリ間に合い、背後からの矢を盾で弾く。


 しかしそこへ、体制を立て直したライトジャロビーの針による一撃がセトの肩を抉っていった。


「セトさん!」


 それを見てココロは即座に回復スキル〈クイックヒール〉を唱えるが、しかし癒えたのは何故か敵の方の傷だった。


「あ、あら?」


 明らかにセトの足を引っ張るココルとココロ。セトは肩を押さえながらも、一旦身を退いて彼女たちの元へ。


「あの、ここは自分一人でなんとかするので、二人は少しだけ見ていて頂けますか」

「「はい……ごめんなさい……」」


 それからセトは一度呼吸を整え、敵に向き直る。


 直後、再び針を振り抜く標的に、セトは完璧なタイミングで盾を合わせた。


 盾スキル〈カウンターシールド〉。


 敵の一撃に対し、ただ受けるのではなく押し返すことで怯ませるカウンター技だ。


 怯んだ敵にセトは通常攻撃、〈シャープスラッシュ〉、〈ウィールドスラッシュ〉と立て続けに剣を叩き込み、ライトジャロビーを瞬殺。すぐに二人の元へと戻る。


「あの、二人共今日はどうしたのですか?」


 セトの言葉に再び謝罪し頭を下げる二人。


「「ごめんなさい……」」

「調子が出ないのであれば、この先も魔物討伐は自分一人に任せてください」

「「はい……」」


 その会話を最後に、そこからはセトまで口を開かなくなってしまう。


 これ以上なく悪い空気のまま、三人は人魚姫ルーツィアの収める港町ウォロペアーレへ。

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