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紅ノ月ガ沈ム迄 ーTHE TOWER OF PRINCESSー  作者: Sodius
第二章 ルヴェールの影
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6、後悔

「ねえ、お姉ちゃん……」


 武器屋から帰宅する途中、ココルは姉に向かって口を開く。


「どうしました?」

「セトさんってさ……カッコいいよね……」


 突然の言葉に、ココロは顔を赤くして戸惑う。


「え……!?あ……ええ、そう、ですね……」

「どう思ってる……?」

「え……?」

「セトさんのこと、どう思ってる?」

「私が、ですか……?」

「うん」

「わ、私は……」


 ココロはそこからかなりの間を置いて、一度深呼吸をしてからようやくその問いに答える。


「……ステキな方だと、思います。優しくて、強くて、頼りになって……本当に、ステキな方です」

「そのステキな方っていうのはさ……セトさんを恋愛対象として見てるっていう、そういう意味?」

「え!?や、それは……その、やっぱり、同じ騎士同士ですし……恋愛対象として見るのは、セトさんにも失礼かなと……といっても理想の方ではあるというか……。ど、どうしてそんなことを聞くのですか?」

「いや、その、ね、私は、ちょっと本気で好きかもしれない」


 その時、その瞬間、ココロは先程の自分の発言を後悔した。後悔し、そして思った。


 先をこされてしまった、と。


 そこから暫く沈黙が流れた後、ココルが再び口を開く。


「お姉ちゃんがセトさんを恋愛対象として考えていないなら、私のこと応援してほしいの。ここまで本気になるのも、私人生で初めてかもしれないからさ」

「あ……あ……の、私……そ、の……」


 ……私も、好きなの……。


「ダメ?」

「ダメという……わけでは……ないです……。ただ、えっと……」


 ……私も、好きだから……だから、応援はできません……。


「何?」

「えっ、と……いえ……。そう、ですね……分かりました……」


 ……分からない……今は、何も分からない……。


 ココロのその言葉にココルは満面の笑みを浮かべ、喜んだ。


「本当!?やった!じゃあよろしくね、お姉ちゃん!まずは、そうだな……やっぱ舞踏会だよね!そこでちょっとアタックしてみようかな。というか、そもそもセトさん参加するかどうか聞いてみないとね」

「ハハハ……そう、ですね……」


 ココロの絶望の表情に、ココルが気づかない筈はなかった。ただ、彼女は姉に対する罪悪感を無理やり押さえ込み、笑顔で続ける。


「じゃあ、ちょっと私今からお城の方行ってくるね!お姉ちゃんは先に帰ってて」

「……わ、分かりました……」


 そしてココルは、一人ルヴェール城へと向かう。


 その途中、彼女は小さく「ごめんなさい」と、そう呟いていた。

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