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 着替えるクロに見送られて俺もトイレで着替える。

 男の着替えなんてすぐに終わる。

 30秒くらいだ。

 ちょっと待って部屋に戻る。

 クロも着替え終わっていた。


「ちょっと大きいけど大丈夫にゃ」

「お腹の分ゆったりのほうがいいと思って」

「ありがとにゃ。ほんとにアキラは優しいにゃ」

「はいよ。あとは上着かな」

 

 長袖Tシャツに幅広で尻尾の穴あき長ズボンに真っ白な靴下、その恰好のクロに大きめのパーカーを渡す。


「どうにゃ?」


 すっぽりとパーカーを着たクロはやはりコスプレ外国人にしか見えない。

 問題ないだろう。


「いいんじゃない?」

「じゃあ外行くにゃ」


 俺は腕時計を付けて、スマホと小銭入れをズボンのポケットに入れる。

 リビングのじいちゃんにクロと出かける旨を伝えてから玄関へ行く。


「そういえば出る用の靴がないな、その辺回るだけならサンダルでもいいか?」


 と俺はサンダルを指さす。

 そう言った直後に妊婦には危険かなと思い直す。


「それで平気にゃ。にゃんかあってもアキラがいるにゃ」


 クロがいいならいいか。

 玄関を開けて2人で家から出る。

 外に出た瞬間にクロが言う。


「すっごい大きいにゃ~、アレ全部に人が住んでるにゃ? どうやって建ってるんにゃ?」

「うん。この辺はあのくらいの建物がいっぱいある」

「とんでもない数の人がいるんにゃ! あの建物何個かでテブルの街の人口くらいじゃにゃいか?」

「いや流石にそんなにはいないと思う」


 クロはマンションを見てそう言った。

 俺の家は一応住宅街にあたる。

 10分も歩けば川があるし、なんなら駅も終点がほど近い。

 クロと繁華街へ行ったら大変そうだ。

 あっという間に人酔いしてしまうんではなかろうか。


「初めて見るものばかりだろうしゆっくりいこう」


 ゆっくりと左回りに家の付近を歩くことにした。

 目に付くすべてが新鮮なんだろう。

 クロの目は輝いているように見えた。


「基本的に道路は両端を歩くこと、ど真ん中は危ない」


 ちょうど車が徐行してやってくる。


「中に人がいたにゃ。アレがこの世界の移動手段にゃのか?」

「そう、自動車。だいたい車で通じる。自転車っていう基本1人で乗る乗り物とかいろいろある」

「アキラも使えるのかにゃ?」

「一応使える、けどしばらく乗ってないから今は無理かな」

「なんにゃ、乗ってみたかったのに」


 仕事を辞めてから何年か乗っていない。ペーパードライバー用の実技講習でも受けたほうがいいだろう。


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