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コーヒー牛乳が取られた。2本同じでよかったかな。
風呂上がりのイチゴ牛乳、久々に飲んだけど甘いし、すごい作られた香りがする。
「甘いけど苦くてうまいにゃ」
クロもご満悦そうでなにより。
部屋のドアがノックされて、母が布団一式と枕を持ってくる。
「ありがとう」
「ごゆっくり~ 無茶はしちゃだめよ~」
いらん気を回されている。
そうだ、クロの髪を乾かしてやろう。
脱衣所からドライヤーとタオルを持ってきて、クロの髪を乾かしてやる。
「にゃあ? うるさいにゃ」
「じっとしててくれ、髪を乾かしてるんだよ」
温風になったのを確認して、タオルを首元にかけて風をあててやる。
つやつやのグレーの髪が出来上がっていく。
「髪の毛が乾いてるにゃ。ホントに魔法のない世界とは思えにゃいにゃ」
「俺はこれに慣れてるから、あっちの生活に驚いてたよ」
あとは歯を磨けば寝ていいか。
クロの髪を乾かし終えて、タオルとドライヤーをもち2人で脱衣所兼洗面所へ降りる。
お客用の新しい歯ブラシを出してやる。
「ほい、歯ブラシ」
クロは渡した歯ブラシの毛をつついて、
「すごい量の毛にゃ、しかも固いにゃ。これにゃんの毛にゃあ?」
たぶんこの毛、プラスチックだよな?
「たぶん作られたやつ。ここでは本物より安いんだよ」
「はあ。もうにゃにも気にしにゃいにゃ。使えるものは使うでいくのにゃあ」
「そうしたほうがいいな」
俺はブラシに歯磨き粉をつける。
クロのにもつけてやる。
シャコシャコ、クロも真似してシャコシャコ。
目を丸くしている。
何か言おうとしているが、口が泡でいっぱいでやめたようだ。
コップに水を入れて渡してやる。
「息ができにゃくにゃるかと思ったにゃ」
「慣れてくれ、すっきりしたろう?」
「スースーするにゃあ」
よし、これで寝る準備ができた。
「あとは寝ればいい。1日の流れはこんな感じだ。大丈夫そうか?」
「わからにゃくにゃったら聞くにゃあ」
部屋へ戻るときに廊下でちょうど弟に会った。
「しばらく彼女が来てるから」
「俺は昼間寝てるんだから静かにしてくれ、これから仕事だ」
「善処する」
短いやり取りだけする。
ロン毛に切れ長の目に無精ひげ、そんな見た目の険しい弟だ。
俺たちは部屋へ戻り寝る準備をする。
今日はもう何もしなくていいだろう。
「ベッドを使っていいよ」
「そうするにゃあ」
俺がいつも寝ている高級マットレス付きのベッドだ、そこにクロは寝る。
異世界の藁でできたベッドよりはるかに快適だと思う。
俺は適当に床に敷き布団を敷いて枕を設置する。
手元のリモコンで電気を消す。
とりあえず明日のことは明日考えればいい、少なくとも出産までには家はなんとかしよう。
「おやすみ」
もうクロは寝たらしい、規則正しい寝息が聞こえる。
まだ21時と早いが、初めての世界は疲れるものだ。
これからクロとの生活が始まる。
なるようになる、異世界でもそうしてきた。
ぼんやりと先を考えながら眠りに落ちた。




