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「驚いたにゃ。急に暗くにゃるし、明るくにゃるし」
「魔石って一般的じゃないのか?」
「たぶんにゃあが世間には疎いのにゃ」
貧しい普通の生活はもっと不便らしい。
俺はまだ不便なりにマシだったのだ。
本当に親切なギルドからのスタートで助かった。
「よくわからんからアキラのオススメでいいにゃ」
メニューをこちらに渡しながら言う。
「ならウインナーがいいかな」
懐かしい、忘れもしない異世界初めての朝食はウインナーだったと思う。
俺もこんな感じでマレインと食事をした気がする。
注文してほどなく料理が運ばれてくる。
「うまいにゃ。・・・・・・アキラはいつもこれ食べてるにゃ?」
「そうだけど?」
「ずるいにゃ。にゃあのところは倍くらい取られてるにゃ」
・・・・・・もしかして店の言い値で食べているのではなかろうか?
「なあ、・・・・・・もうちょっと金が溜まったら2人で暮らすか?」
「急ににゃにを言いだすにゃ」
成り行きとはいえ、一応俺は責任を取るつもりでいる。
いつまで一緒にいられるかわからないが。
「・・・・・・にゃあはあの時死ぬつもりだったにゃ。金さえくれれば、にゃあのことをアキラが気にする必要にゃいのにゃ」
「いや、俺は繋がった縁を放すつもりはないよ」
「アキラは詐欺に引っかかるやつにゃね。にゃあが嘘ついてたら破滅にゃ」
俺に性善説の傾向があるのは分かっている。
だが人を信じて死ぬならそれでいい。
たとえ異世界であっても。
「・・・・・・ありがとにゃ。・・・・・・ところで支払いをじゃんけんで決めようにゃ」
「なんで? 割り勘でいいんじゃないのか?」
「タダでご飯を食べてみたかったにゃ。お人よしのアキラに負けるわけにゃいのにゃ」
そんな理由でやるのか。
「これと、これ、この3つでいいのか」
グー、チョキ、パーの3つを見せる。
「あってるにゃ、宝石、ハサミ、布の3つにゃね。宝石は布に負け、布はハサミに負けるにゃ」
若干違うものだがルールが同じなら問題なさそうだな。
「いくにゃ、じゃ~んけん」
俺はチョキ、クロはパーだった。
「にゃんでにゃ! 優しいアキラは負けとけにゃ」
「そういわれてもな」
「まあいいにゃ。2人分でもいつもの1食と変わらん値段にゃ」
別に何も言われなければ俺が勝手に全部出していたのだが。
余計なことを仕掛けてきたやつが悪い。
「ふ~、満腹にゃ」
「よかったな」
「毎日、店でこんなに食べたら借金で終わりにゃ」
本格的に一緒に暮らすのも視野に入る。
人が栄養不足で弱っていくのなんて見たくない。
雑談していると鐘が鳴る。
少ししたら人も増えるし、役所へ行くか。




