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だそうだ、もし世界が救われていきなり俺が消えたらこの子はどうなるのだろう。
そもそも俺は帰れるのか?
今更になって色々考え始める。
「アキラ様以外の勇者様たちは、この世界へ来る時に魔王との戦いが終われば帰れる、と言われているようですよ」
呼んだやつが消えていたら無理だったりしないよな?
「ちなみに今の戦況ってどうなっているんですか?」
「・・・・・・よくわかっていません。もうすぐ終わると言われて数か月経っていますから」
未定なことが多すぎる。
「ひとまず、金は貯める。急に俺が消えたら、部屋にあるだけすべてクロに渡すってことを頼んでおいていいですか?」
「もちろん構いませんよ」
「お願いします」
とりあえずこれからの俺の身の振り方は決まった。
できるだけ金を貯めて、来る時に備えることだ。
異世界へ来て数か月たった。
前よりだいぶ暖かくなってきた、この世界にも四季があるみたいだ。
春先のある日、
「外へ行ってみたいにゃ」
そうクロに言われる。
「街の外へか?」
「そうにゃ」
俺も入ってきたときの少し森を歩いただけだ。
外のことは全く知らない。
「街の外は危険じゃないのか? 魔物が出たり野生の獣が出るから一般人だと危ないと聞いたけど」
「そんにゃことにゃいはず、湖のほうは観光地にゃ」
そこへ行ってみたいというらしい。
「外へ出るのも金がかかるにゃ。にゃあも昔は馬車へ乗っていろんな場所へ行ってたんにゃ」
たまには違う景色を見に行くとするか。
「じゃあ明日にでも行ってみるか」
「うう、やっとこの仕事初めての休みが取れるにゃあ!」
おつかれクロ。
そういうわけでフマルに外へ出るのに必要なものを聞きに来た。
「北側の湖へ出てみたい? この前来た獣人の方と?」
「はい。もしかして仕事以外での出入りは難しいとか?」
「いえ、全然そんなことないですよ。街から発行された木簡さえ買ってあれば自由に出入りできますよ」
「もちろん例外もありますよ。犯罪者や冒険者、勇者様は門番の判断で制限されます」
それもそうだ。
危険な人物を外へ出すはずないし、冒険者は緊急時に出れないと困る。
あと異世界へ来たばかりの人間が持っているはずがないもんな。
「アキラ様は冒険者カードがありますからフリーパスですね。あとは連れて行く方の木簡を作ればいいです」
「もしかして、肌の色と耳とかで制限されたりします?」
「・・・・・・わかりません。犯罪歴がなければ大丈夫だとは思いますけど」
やはり勝手によくないレッテル貼りがされてるのか。




