56
「まあ普通っすね。もう一回先行の選手が今度は赤いボールを投げるっす。できるだけ白いボールに近づけて投げるのが定石っすかね」
もう1度、今度は赤いボールを赤い腕章をつけた選手が投げる。
今度も下手投げで赤いボールを白いボールギリギリ数センチくらい右に付けた。
またモニターに赤いボールの位置を示した赤い石のような表示がされる。
「次は後攻の青の選手が青のボールを投げるっす。最終的に白いボールに近いほうのボールがあるほうの勝ちなんで、相手のボールを吹き飛ばすのもありっすね」
そうダンが言っていると、そのとおりに青い腕章の選手は灰色の線ギリギリから上手投げで、思い切り赤いボールめがけて青いボールをぶつけるように投げる。
すると赤いボールははじけ飛び黒い領域に吹き飛ぶ。
青いボールは白いボールから左下15㎝少々くらい離れた黄色の領域内で止まる。
さっきとまた同じでモニターに青い石のようなものが白い石ときちんと同じ位置関係で出て、赤い石は消える。
この光景を見ていて思いだした。
俺はテレビか何かでこの競技のようなものを見たことがあった。
当時はカーリングのような競技だなと思ったのを覚えている。
「6球ずつ交互に投げて、全部投げ切ったとき、白いボールに一番近いほうが得点を得るっす」
「もし一番近いボールが赤で、次に近いボールも赤なら2点っす。色が違うのにあたるまで得点っすね」
「それを3セットやって得点が多いほうの勝ちっす。同点だと勝ち越しするまでやるっす」
テレビでみた競技とは若干ルールが違う気がする。
賭け用のルールなのかもしれない。
「あとは客用に5点差以上つけて勝つと元の倍率から2倍になる賭け方があるっす」
「今、赤の選手が5点差つけて勝てば2.6倍になる。そういう賭けも方がある、でいいのか?」
「そうそう5点差なんてつかないっすけどね」
勝ってかつ5点差以上つければ倍付、うまく賭けるとすぐ3倍くらいになるのか。
「掛け金は中銅貨1枚からできるっす。たぶんあっちの人らは平気で銀貨を賭けてるっすよ」
ダンは逆側を顎で指す。
1試合に10万円単位で賭ける人種もいるってことだ。
小市民である俺たちにはせいぜい大銅貨、だいたい1万円が限界なのにな。
暫く眺めていると6球ずつ投げ終えたようだ。
モニターに白いボールから他のボールまでの正確な距離が表示されている。
モニターに精巧な線が引いてあるのはこのためだったらしい。
手で測る必要がないのか。
1セット目に勝ったのは赤で、1得点だった。




