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「久しぶり、肉2本と野菜1本、あと水をお願いします」
「はいよっ」
金を払ってお釣りをもらう。
昼だというのに俺以外の客はいない。
ふと俺は思いついた。
「なあ、ここを俺が手伝って、繁盛したら金をもらえたりするか?」
「繁盛するに越したことはないっすけど、今はギリギリでお金は出せないっすよ」
「初めの資金は俺が出すよ。ある程度・・・・・・そうだな、串焼きが売り切れるくらいになったら、そうしたら毎日売り上げの1割を俺にくれればいい」
「う~ん、どうするっすかねぇ」
迷っているようだ。
俺は出された串焼きを食べながら返事を待つ。
この串焼きならば稼げるはず。そう確信があった。
数日間で食べ歩きしたが、ここは特にいい店だ。
「じゃあコインで表が出たら手伝っていただきやす」
男は胸元からチェーンのついたコインを出し、チェーンを外して言う。
「女神様の顔が表っす」
男がピーンと親指で宙にコインを弾く。
地面にコインがパフっと着地した。
出た目は・・・・・・。
表だ!
「女神様のお告げでやすからね。手伝ってもらいやしょう」
胸元にコインを戻し、男に言われる。
「じゃあ、俺はアキラ、よろしく」
「あっしはダン、田舎育ちなんで喋りは勘弁してくだせぇ。よろしくたのんます」
こうして俺は露店の串焼き屋を手伝うことになったのだった。
俺はダンの串焼き屋を繁盛させるべく、色々考えてみる。
とりあえず競合店が近くにあるのかなどを見ておく必要がありそうだ。
味や量は問題なさそうなので、立地と宣伝の問題な気がする。
(ちょっと歩いて考えよう)
その日は辺りを見回して、戦略を練った。
翌日、昼前に屋台に着くと既にダンは店に立って支度をしている。
ダンは20歳くらいの短い茶髪で背の高い男だ、たぶん180㎝以上はある。
勝手な思い込みでしかないが恰幅の良い店主のほうが美味いものを出す、俺にはそんな刷り込みがされているようだ。
おそらく日々のテレビなどのせいかもしれない。
「やあ、これからよろしく。仕込みとかはないのか?」
「アキラ様、こんちはっす。仕込みは家族がやって持ってきてくれるんすよ。あっしは焼いて売るだけ」
「俺は店先で手伝うのはよくないよな?」
「まあ、雑用していただけるなら助かるっすけど。焼いて売るのは任せてほしいっす」
それならば俺が手伝う必要もないか。
余計な事をして味を落としては意味がない。
ならばやはり売れるようにするために、みんなにこの店の存在を知ってもらう必要があるようだ。
「この店は普段どのくらい客が来るんだ?」
「大体5人とかっすね。余った肉とかは夕方に家族が持って帰って食ってるはずっす」
たった5人しか来ない店か。




