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少し北側に戻り、通りを西に歩きはじめるとこの辺りは多少は見たことのある景色がある。
たしか武器屋はこの通りをさらに中流区側の北へ行くとあったはずだ。
この通りには肉屋や青果店など食べものが多い、西側は農業地帯らしいので運送が楽な場所で売っているのだろう。
ギルドのある南西の区画には様々な、買い物以外のことをする店があるようだ。
例えば銭湯、両替所、街の出入り用の証明書の発行場所? 民間の医者っぽいものなど。
俺の怪我は癒してもらったので来ることはなかったが、普通はこういった場所に掛かるのだろう。
そこらへんの南西区画は北西の中流区と違って全体的に店そのものの面積が広い場所が多く感じる。
(まあまあ遠いか・・・・・・)
西門へ着いた。
そこから南西門へと向かってみる。
途中の門壁付近に食べ物の露店があるようだ。
ちょうど腹も減ってきたし、ここで何か食べていこう。
看板を見ると串焼き屋らしい。
注文してから焼いてくれるようだ。
カウンターへ座って何があるか聞いてみる。
「豚串が一本小銅貨2枚、野菜串が小銅貨1枚ですぜ」
「じゃあとりあえず両方1本」
「まいどっ」
小銅貨3枚を先に払う。
「水もありますか?」
「小銅貨1枚で2本っす」
追加で1枚払う。
常温の水入り瓶が2本出てくる。
1本はカバンへ入れ、もう一本を開けて飲む。
カウンターの向こうからジュウジュウと肉の焼ける音と網焼きのいい香りがしてくる。
期待できそうだ。
「おまちどうっす」
何かの葉っぱの皿に乗った肉串と野菜串が置かれる。
肉も野菜も思っていた1.5倍くらい大きかった。
長さ20㎝くらいの木串にこれでもかと大きい肉と野菜が刺さっている。
肉は豚バラ肉だろうか、脂身と赤身が半々くらい。
野菜はくし切りのタマネギとカボチャ、それにキノコが刺さっている。
「いただきます」
肉から食べてみる。
程よく脂が落ちていてとても美味い。塩加減もちょうどいい。
野菜も食べる。
脂っぽい口にいい感じにタマネギでさっぱりする。カボチャもほっくり、ねっとりとして美味しい。キノコもコリコリしていていいアクセントだ。
店の男にじっと見られていた。
「何か?」
「いや、勇者様っすよね? こんなところで食事するんすね。普通、勇者様と言えばお金持ちっすから上流区で食べるものだと思ってやしたから」
「まあ、俺は来たばかりの勇者候補だから」
そういって胸元から出した冒険者カードを見せてやる。
露店の男に見せるくらいいいだろう。




