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「魔石が人工量産できるなら安くて大きな力が使えないのか?」

「そうでもないんだ。時計とか小さな力でいいものならともかく、組み合わせる必要のない単一で使う魔石でも、列車の動力に使うような魔石は天然じゃないと効率が違いすぎて作るととんでもない金額だし、交代人員も大量に必要だから普及しないんだよね」


 そんな会話をしていると、紙を手にした受付の人が戻ってくる。


「はい、街の地図です。中銅貨3枚ですよ」


 俺はカウンターに1枚大銅貨を置き、おつりの中銅貨7枚を受け取る。


「よく見たらお客さんて勇者様じゃないですか、アイフェさん?」

「ん~と、この勇者様、この街が初めてだからちゃんと地図持って歩きたいんだって。あとこの人が来たのは秘密ね」

「よくわかりませんが、わかりました」

「ついでにちょっと案内してくるから。ちゃんと講義までには戻るから」


 そういって2人で魔法協会を後にする。


「これでようござんしたか? 勇者様?」

「ありがとう。余計なことを言って期待させるのも問題なんだろ?」

「そういうこと。黒髪は目立つけど、何も言わなければ街に息抜きしに来た勇者様でしかないんだよ」


 事情を知っている人が隣にいてよかった。

 俺一人では質問に答えるのも苦労したかもしれない。

 どこまで話していいのかわからなかったし。


「じゃあ、雑貨屋に行こうか。あ、地図を見ながらアタシを案内してみたりする?」

「流石に無理。地図をなぞりながら向かってくれると助かる」


 俺は地図を見ながらついて行く。

 そんなやりとりをしながら雑貨屋へ向かう。


「中流区のところでいいよね? まさかそんなにお金持ってないだろうし」

「あんまり高くないとこで頼む。正直収入がないからある程度節約していきたい」

「そうだよねー、いきなり異世界に一人ぼっちでしょ? アタシじゃあ適応できる気がしないよ。今ここの通りね」


 アイフェは地図を指して現在位置を教えてくれる。

 さっきは下流区の東にいたらしい。

 向かう先は中流区、つまり北西あたり。

 

「遠くないのか?」

「大丈夫、こっちに近いところだから」


 ついて行くと見覚えのある景色になった。

 武器屋や家具屋へ行くときに通った気がする。

 あれは中流区への道だったようだ


「何買うんだっけ?」

「コップと歯ブラシ、あと髭剃り」

「う~ん髭剃りはあるかなぁ??」


 フマルも髭剃りは髪と一緒にしてもらうと言っていたな。


「自分で髭剃りはしないものなのか?」

「うん、アキラ様みたいに数日でそんなに長くならないから」


 アイフェの足が止まる。

 目的地に着いたようだ。


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