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「こんにちは、アイフェさん」
「あ、こんちは。 アタシに何か用ですか?」
「街の地図が欲しいんだけど、魔法協会にあるってフマルさんから聞いて。アイフェさんなら案内してくれるだろうって」
「うん、地図は協会で扱ってる。それならアタシも協会に入ってるから連れて行ってあげる
よ」
「じゃあよろしくおねがいします」
今日のアイフェは初めて会った時よりも少し薄着だ。
ゆったりとしたローブではなく、黒い長袖のスウェットっぽいのを着ている。
「俺も一緒に昼食を摂っていいですか?」
「どうぞどうぞ」
「じゃあ向かいに失礼します」
「そんな丁寧じゃなくて構わないよ~。普通に喋ってくださいな。あ、店員さん追加で注文いいかい」
アイフェの向かいに座る。
アイフェが店員を捕まえてくれたのでいつもの肉ランチを店員に頼む。
「やっぱり男の人は肉が好きなんですね~。アタシは断然魚派なんだけど、この季節の魚が一番おいしい」
「そうなのか? また今度頼んでみるよ」
「うんうん、そのくらいで喋ってくれないとアタシが喋りにくい。アタシ、相手の年とか身分とかで話し方変えるのイヤなんだ」
そう言われたので丁寧に話すのはやめにする。
気になったことを振ってみる。
「アイフェさん、1人でテーブル席ってなんか食べにくくない?」
「むしろカウンターで食べられる人ってすごいよ、アタシは忙しく働いている店員が気になっちゃうし、なんか見られてるみたいで落ちつかなくて」
「俺は逆にここなら見て貰えてるっていうか、ここなら1人でもいいと許されてる気がしてカウンターにしちゃうな」
「あ~、わからなくはないけどアタシは何人でもテーブルがいいかな」
俺とはまるで違う感じ方だった。
これから人と食事の時は気を付けて席を選ぼう。
ランチを食べ終わって、2人で外に出る。
「それで地図が欲しいんだっけ、たしか中銅貨3枚くらいだった気がするよ」
「大丈夫、お金は足りてる」
結構高いな、500円くらいだと思っていたが念のため大銅貨を持ってきて良かった。
アイフェは胸元からチェーンのついた懐中時計のようなものを見てから、
「わかった、今日はちょっと時間があるから他のところも連れていってあげられるよ?」
「じゃあついでに雑貨が売っているところもいいかな」
「了解、まずは地図ね」
助かる申し出だ。それなら確実に地図を見ながら場所を確認できる。
歩きながらアイフェに尋ねる。
「さっき見てたのって時計? 俺は鐘と日時計はあると聞いてたけど」
「ああ、私たち魔法使いの冒険者は大概時計を持ってるよ。魔力をいれないと針が動かなくなっちゃうから、持つのは魔法使いの役目なんだ」
時計が普及していないのは魔力が必要だからか。




