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「あ、マレイン、今日はアキラ様がお昼を買ってきてくれたので大丈夫」

「聞きました。では私はこれから門のほうを回ってきます」

「いってらっしゃい」


 そうしてまたマレインはギルドを出ていく。

 またフマルと2人になる。上にラベンはいるが。


「門って結構な数ありますよね? 全部徒歩で回るんですか?」

「今日は3つか4つじゃないでしょうか。この街は通りが狭いので牛車や馬車は入れないことになっているんですよ。もちろん門壁の外までは来れますけど」


 まだ全部を見たわけではない。

 結構広い街だと思うのだが馬車とかは入れないのか。


「広いのに不便じゃないですか?」

「まあ・・・・・・そういっても決まりですからねぇ。私も馬車なんてほとんど乗ったことないですよ」


 自分の足が頼りになる世界、現代日本では考えられないだろう。

 どんだけ田舎でも自転車くらい走っている。

 日本は高齢者ドライバーが増えているようなのに、こちらはそれどころですらない。


「自分で歩けないような人ってどうなってるんですか?」

「身寄りのない方は、だいたい魔法協会の方や教会が保護しています。一定の生活は保障されていますよ」


 フマルはあまりいい顔でない。

 何かあるようだが、俺たちが気にしてもしょうがないのだろう。


「もし、記憶が無かったりしたら、俺もそこへ行っていたんですかね」

「おそらくは。黒髪なだけ、なにかしらしてもらえる可能性は高いでしょうけど」


 ようは記憶喪失の勇者として扱われた可能性が高いということだ。

 どちらにせよ俺は普通の勇者待遇にはならないのだ。

 他の世界から来た証明ができる環境になっただけよかったと思おう。


「そういえばこの世界って自炊しないんですか? 毎食食べに出るじゃないですか」

「しますよ。といっても1人暮らしだと外で食べたほうが楽だし安いですから。そもそも寮のような場所だと炊事できるところが無いですけど」


 暖炉の火のつけ方は教わったから、簡単なものなら部屋で作れると思ったが、


「基本的に店では小銅貨数枚で食べられますけど、材料から揃えると大変ですよ。鍋なんかも洗う場所が必要ですし」


 そう聞くと外で食べたほうが楽だな。

 元の世界では普通に料理していたから、そっちのほうが安上がりだと考えていたが、全部1から揃えるのはやめておこう。


「あと、米っていう食べ物ないですか?」

「わからないですね、少なくともこの街には無いと思います」


 仕方ないことだが、米がない生活を当分するようだ。

 パン食に慣れていかないといけないな。

 そう考えると早く帰りたくなってしまった。


「そんな顔になるなんて、よほど美味しいんでしょうね」


 顔に出ていたようだ。


「アキラ様は食べることが好きなんですか?」

「どうでしょう? 普通の家に育っていますから舌は肥えてないとは思いますけど」

「お酒はダメなんですよね?」

「好んでは飲まないですよ」


 飲めないから飲む気もしない。

 気持ちよくなる以前に気持ち悪くなるから。


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