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「だいたいいつもあんな感じなんですよ。まあ気前もいいし上司としては悪くないんですが」

「上の部屋は何があるんですか?」

「応接室ということになってはいますが、ぶっちゃけラベン様の私室みたいなものですね。用が無ければ呼ぶなとのことですし」


 緩い職場のようだ。


「あーあ、私もアキラ様の世界へ行ってみたいなー。このままギルドの受付なんてやっててもたかが知れてるじゃないですか。私も危険じゃない冒険がしてみたいですよ」

「旅行でもしてみたらどうですか?」

「この仕事、誰でもできるわけじゃないんですよ? 一応私、それなりに色々できる受付なんですから」


 特殊な技能が必要な仕事なのだろうか?

 俺には普通の受付にしか見えないが。


「あー、疑ってますね? アキラ様のいた世界じゃあ普通なのかも知れませんけど、文字の読み書きでも一般の方はできない方が多いんですよ?」


 顔に出ていたのだろうか。


「それに下の冒険者の方から聞いた情報をまとめて、上の冒険者へ依頼書を書いたりすることだってあるんですから。わかりにくいから絵付きで書け、なんてラベン様はいいますし」


 絵を書けなんて、確かに俺にはできそうにないかもしれない。


「マレインさんも同じ受付なんですか?」

「マレインは私よりも優秀なんですよ・・・・・・受付もできるんですが、体力もあるので外へ御用聞きしてもらうことのが多いですね」


 なんとなくそんな気はしていた。

 なんでもできるタイプらしい。


「今日も朝食を摂ったら、そのまま各所へ回っているんじゃないかな? 魔法協会、教会、門、そのほか商店なんかへ行ってるはずです。いろいろ聞いて、冒険者の派遣が必要かどうか聞いて回るんです」


 歩き回るのが仕事なのか。

 俺も前職では歩くのが基本、と言われて情報収集させられたものだったが。


「家事も一通り全部こなせるはずですし、裏方としても完璧です。正直なんでここで働いているのか不思議なくらい」


 だ、そうだ。すごいなマレイン。


「あれで魔力があったら今頃は上流階級の世界へまっしぐらだったんじゃないですかね」

「魔力の有無はそんなに大きいものなんですか?」

「そうですね、一家に1人魔法使いがいれば安泰と言われるくらいには。大きな魔力が扱えれば、本当に1人でなんでもこなせてしまいますから」


「魔石さえあれば、あとはそこに魔力を流せる人がいればいいですからね。例えば冬場でもいちいち暖炉に頼る必要なく過ごせます。暖かくなる魔石さえあれば薪も火打ち石も必要ありません。初期投資だけで済むんです」


 雪の日は薪の消費も多い、それが必要ないとなるとずいぶん楽なのは間違いない。


「火をつける、水を出す、風を起こす、そんなことは超上級の魔法使いにしかできませんが、魔石があれば魔力を送り込むことで、その魔石に対応した事象を起こすことができるんです」


 上級者ではないと火を起こすのも難しいらしい。

 唱えれば掌から火が出る、そんな世界ではないようだ。


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