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「フマルさんはどこへ?」

「フマルも朝食です、終わったら私が入れ替わって朝食へ行きます」


 朝は入れ替わりで朝食を摂らなければならないのか。

 繁忙期はさぞ大変な仕事場なんだろう。


「何か手伝えることはないですか?」

「特にありませんね。今は依頼も来ていませんし、誰も依頼を受けていないので報告にも来ないでしょう」


 本当に暇な時期なんだな。


「一応ですが何かあると困るので私が受付にいますが、雪の日には人も来ないでしょう」


 とりあえず俺も暇だった。

 部屋に戻ってもやることはなさそうだ。


「開いている椅子に座っていてもいいですか?」

「構いませんよ」


 許可を貰って、誰もいない暖炉近くの椅子に座ってみる。

 暖かい、眠くなりそうだ。

 ドアが開いて冷気が入ってくる。

 フマルが戻ってきたようだ。


「寒いっ、はいマレイン交代」

「わかりました、行ってきます」


 フマルはカウンターへ行きマレインと入れ変わる。

 と、カウンター裏へ行ってシャコシャコという音がしばらくした後戻ってきた。

 歯を磨いていたらしい。

 受付は接客もする仕事であるから身だしなみは大事なのだろう。

 たとえ誰も来なかろうと。


「あ、アキラ様は今日はそこにいる感じですか?」

「仕事の邪魔になりますかね?」

「いいえ、むしろ誰も来ないと思うのでお互いの暇潰しに話でもしましょ」


 早々に仕事放棄の宣言をしてくる。

 せっかくなので聞きたいことはすべて聞いてしまうか。

 椅子を少しずらしてカウンターのほうに向ける。

 フマルと雑談の開始だ。

 さて何から聞いてみよう。

 考えているとフマルから先に質問がくる。


「アキラ様のいた世界について聞いてもいいですか?」

「そうですね・・・・・・この世界と違うところはたくさんあるんですけど、例えば魔法や魔力といったものは無いというのが常識でした。」

「じゃあ暗くなったら寝る、寒かったら厚着をしたり暖炉に寄ったりするだけということですか?」

「いえ、魔法や魔石のではなく電気や電力といった力を主に使っていました。この電気を利用して魔法というものがなくても、たぶんこの世界以上に便利な暮らしをしていました」


 俺の知識では正確に伝えるのが難しいと判断し、とても簡単な説明になってしまった。


「もっとも、暖炉はありますし布団もあります。ただ、この世界と同じで暖炉よりも優れた暖房が誰でも使える状態で普及していました」

「私たちのこの世界では魔法はありふれたものですが、誰でも使えるわけではありません。電気というものは誰でも使うことのできる大きな力ということですね」

「そうです、まあ使った分だけお金はかかりますけどね。誰でも使えますが、誰でも簡単に作れるわけではないんです」


 そこは魔法と大きく違う点だと思う。

 大量の電気は基本自分で作れない。

 ゆえに様々な工夫をして大きな電力を分け合って使っている。


「個人の魔法、みんなの電気といった感じですね」

「そんなところです。では俺からも質問します、この街は何という街なんですか? 俺はまだ街の名前も知りません」

「この街はテブル、という街です。王都などとは遠く離れた辺境の街、と言っていいでしょう。王都はオリエントというところにあります」


 さらにフマルから街の説明を受ける。


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