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一通り食べ終わった。
食事時ともあって店が混雑してきたようだ。
そこそこ長く話したし、もう出たほうがいいかもしれない。
フマルも食べ終わってワインも飲み終わっていた。
「混んできているし、もう出ましょうか?」
「そうですね、また話しましょう」
木札を取って会計しようとしたら、フマルに手で制された。
「今夜は私が出します。一人でお酒に付き合ってもらったんですから」
「気にしなくていいといったのですけど」
「いいんです。これからお金が必要になることも多いと思いますよ? だからここは奢られてください」
そこまで言われたらお言葉に甘えよう。
「わかりました。次はしっかり自分の分は自分で払います」
「はい。そうしてください」
お酒が入って上機嫌のフマルはそのまま会計を済ませる。
店を出る。
「家まで送りましょうか?」
「平気ですよ、帰り道は明るい通りだけですし。そもそもアキラ様がついてきても一人で帰れないでしょう?」
言われてみればその通りだ。
そして通りもいつの間にか街灯がついている。
火はついていないが明るい。
「この灯りも魔石ですか?」
「そうですよ。夜になったら順次、魔法協会の人達がつけてくれるんです」
魔法の便利さを痛感する。電気や火がなくてもほとんどのことは魔法でできるようだ。
「それじゃあ、また」
「はい、また明日ですね。私は基本ギルドで受付をしているので。この時期は特に暇ですし話し相手になってください」
フマルと別れて寮の部屋へ戻る。
街灯の灯りだけで十分な明かりだ。
部屋の前に木の桶があり、中には服がたたんで入れてあった。
マレインがやってくれたのだろう。
2つ隣の部屋をノックしてみたが返事がない、まだ仕事か、留守のようだ。
礼は会ったときに言おう。
俺は部屋に戻り、桶ごと服を中に入れてベッドの横に置いた。
窓から入る明かりで部屋はちゃんと明るい、ランタンとかも必要ないかもしれない。
首から下げていた布袋に冒険者カードを入れておく。
これで身分証を携帯できている。
能力を聞かれてもこれを出せばいいだろう。
今日もいろいろあったなと思いつつ、眠りについた。




