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 フマルが手を挙げて店員を呼び、注文し始める。

 6品くらい頼んだようだ。

 すぐに赤ワインのグラスと水の瓶2本がくる。


「では、アキラ様のこれからを神に願って乾杯しましょう。乾杯」


 フマルはワイングラスを少し持ち上げる。俺も水の瓶を少し持ち上げて真似した。

 グラスを軽くぶつけないのは傷ついてしまうからだろう。


「あ、すみません。そちらの世界にはこういった習慣はありませんでしたか?」

「大丈夫です、似たようなものがありました」


 フマルはワインを一口含んでいた。

 俺も瓶から栓を抜いて水を飲む。

 そこでウインナーとゆでたジャガイモの盛り合わせと小皿が2つ運ばれてくる。

 横にケチャップのようなものがついている。


「一応マレインから聞きましたが、武器を全く扱ったことがないというのは本当ですか」

「はい、剣と槍を持たせてもらいましたが危うく怪我するところでした」

「あはは、初めてでは危ないかもしれないですよね。この世界では、男性ならよほどのことがなければ小さい頃から木剣で叩いて遊ぶくらいしますから」


 現代日本では、今なら新聞紙ブレードですらやるか怪しい。

 大人なら真っ当に生きていたら尚更そんなことはしない。

 せいぜい日曜大工で金づちやノコギリを持つくらいだろうか。


「本当に魔物がいない世界なんですね。私には信じられません、この世界では常に魔物と隣合わせで生きている方々もいるくらいですから」


 小皿にウインナーとポテトを取り、ケチャップを少しスプーンでとってかけて食べてみる。

 ウインナーは前と変わらず美味い、ポテトだけではパサパサなのでケチャップがあってちょうどよい。

 すいとんのような団子が入ったスープと、ワカサギのような小魚のから揚げが届く。


「俺のいた世界は人間同士での争いはありました。ですが普通、一般人は戦いませんし近年は剣で戦うというのも聞かないくらいでした」

「人同士で争いですか・・・・・・魔物に支配されているとか、勝ったら報酬が出る、のではないのですよね?」

「俺の知っている多くの戦争は思想の違いから来ているものと、領土の取り合いですかね」

「ああ、領土の取り合いはどこの世界でも共通なんですね。もっともこの世界では領土の取り合いも大半は魔物が絡んでいるみたいですけどね」


 小魚のから揚げをフォークで刺して口に入れてみる。

 そのまま素揚げなのかワタのえぐみがキツイ。酒のつまみっぽい。


「この世界では、領土も魔物から攻め込まれて防衛することが大半で、逆に攻めるのは勇者様などが魔物に侵略された地を取り返すのが基本です。ただ・・・・・・一部の人間は魔物の味方をする場合があって、その時は人同士でも争いになる場合がありますね」


 魔物は敵、それはゲームと変わらないようだ。

 人は普通ならば結束しているらしい。

 現代も共通の敵が現れれば協力して戦うのだろうか? この世界と同じで正直怪しいと思う。

 すいとんっぽい団子を掬って口に入れてみる。鳥の出汁とトマト味っぽい。洋風すいとんだ。


「そうなんですか。ちなみに俺のいた世界には魔物と同様に魔法というものは存在しなかったのですけど」

「アイフェちゃんと会った時にそう言ってましたね。魔法がない、というのも私たちには信じられないですけど」

「その代わりなのか、技術の進歩がこの世界と比べても遥かに進んでいました」

「ホントに信じられませんね」


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