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「これからどのくらいの間ここにいるのかわかりませんが、私たちはアキラ様をできるだけサポートします。たとえ冒険者としての仕事ができなくても関係ありません。それを忘れないでください」

「マレインさんにも、同じようなことを言われました」

「たぶんアキラ様は街から出ることなく、その間に他の勇者様が魔王を討ち果たしてくれるでしょう。ですが街を黒い髪の方が歩いていたらそれは勇者なのだと、みな思うのです。今は何もないですが、魔物が出たりすればアキラ様に期待がかかる可能性もあります」


 勇者だと誤解されても気にするなと言ってくれているようだ。


「そんなことになっても、私たちは決してあなたを戦いに出すようなことはしないので安心してください」

「わかりました」

「せめて私たちにできることは、たった一人で何も持たずにこの世界に来たアキラ様を孤独にさせないようにしよう。そういうことになりました」


 なんというかとてもありがたいことだ。

 俺がなにもできなくてもそれでいいと認めてもらった。


「なので時が来るまでこの街での暮らしを満喫してみてください。私たちはそれに協力します」


 そこでちょうど食酒所へ着いた。


「さて、ここまで難しい話だったかもしれませんが、少なくとも私たちギルドはアキラ様を歓迎します。では夕食にしましょう」


 フマルからそう言われテーブル席に座る。


「えっと、アキラ様はお酒は飲めますか? 葡萄酒と蒸留酒がありますが」

「実はお酒には弱くて、一口くらいなら平気だと思います」

「そうですか・・・・・・」

「フマルさんが飲むのなら俺のことは気にしなくて構いませんよ」


 俺はほぼ下戸だ。

 缶ビール1本すら飲み切れるか怪しいくらい。

 仕事終わりの飲みが嫌で、企業勤めを選ばなかったくらいには苦手だ。


「じゃあ少し飲ませてもらいますね、アキラ様は苦手な食べ物はありますか? 特になければ私が頼んじゃいますけど」

「生魚が少し苦手ですね、あと虫」

「生魚ですか? それなら大丈夫です、私たちは生で魚を食べることはしないので心配ないと思います。虫も普通はよほどでないと食べませんね」


 よかった。生魚はともかくイナゴやら蜂の子は食べないらしい。

 ちょっと生理的に受け付けないのだ。


「アキラ様のいた世界は虫を食べることは日常的にあったということですか?」

「いや、ごくごく稀に食卓に出ることがあったので。こっちでの日常だったら無理だなと」

「そういうことなら問題ないかと。はい、注文お願いしま~す」


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