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「この街が初めの街の勇者候補様ってのは初めてじゃないか?」
「そうですね。フマルも喜んでいましたよ。ただ・・・・・・どうやら勇者候補様であるアキラ様は能力をいただいていないようなのです」
「そんなことあるのか? なんのために来てくださったのかわからんじゃないか」
「まあいいか。もう魔王も討伐目前なんだろう?」
「他の冒険者からの報告では、私たちもそう聞いていますが。アキラ様、こちらに来ていただけますか?」
武器をしげしげと観察していたが、マレインに呼ばれたのでそちらへ向かう。
「こちら店主のガリバ様です。アキラ様の使えそうな武器を探してくれるそうです」
「ガリバだ。よろしくな」
「よろしくお願いします」
俺は少し頭を下げる。握手はしなくていいようだ。
もっともガリバ相手だと手が砕けてしまいそうだったから助かった。
ガリバは年のくらいは40くらいだろうか。俺よりは1周りくらい上に見える。
髪の毛は薄目の栗毛、同じく栗色の目だった。
「やっぱり勇者候補様ってのは、ほぼみんな黒色の毛の色なんだな。それに見てきたみんな線が細い。その腕で剣を振るえるのかってくらいだ」
その言葉を聞いて、おそらくこの世界に来ているほぼ全員が日本人なのではないだろうかと思った。
いろいろな世界から呼ばれているのであれば黒髪率が高いのは偶然とは思えない。
能力で強化されていれば、元の世界の見た目のまま力が強くなるようだ。
「アキラ様の冒険者カードを見せていただけますか?」
「あ。すいません。部屋に置いたままです」
「そうですか。あれは身分を証明するものでもあるので、これからはできるだけ持ち歩くようにしてください」
「気を付けます」
うっかりしていた。あれは俺の身分を証明できる大切なものらしい。
「ってことは能力の数値は分からないか?」
「一応覚えていますけど、たしか筋力は2でした」
「2! 女の魔法使いでもあり得る数値だぞ!?」
俺の筋力は頭脳派の女性並みに非力らしい。
ただ、ゲームなどでは強化した武器で殴る魔法使いがいる場合もある。この世界では珍しいのかもしれないが。
「うーん、2ねぇ。男だし、身長もある。とりあえずこの辺なんてどうだ? ブロードソード」
ガリバの持ってきたのは金属製のブロードソードだった。
柄を渡され俺は持ってみる、が、
重たい。非常に重たい。
10年以上前に体育の授業で持ったことのある金属バットより圧倒的に重たい。
剣先が地面につかないようにして持つのがやっとだ。
こんなものを相手の頭に振り上げて、切りつけることは現代日本に生きている人間のほとんどが出来っこないだろう。
「無理か。じゃあこっちはどうだ?」
なんとか剣をガリバへ返して次の武器を受け取る。
さっきのブロードソードよりは先へ行くほど細身だ。長さはさほど変わらない。
これも受け取った時点で無理そうだった。両手で構えるのがやっとという感じ。




