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「マレインとアキラ様、これから武器屋と家具屋へ行くんですよね?」

「ええ、そうです。ついでにアキラ様が服屋へ寄りたいそうです」

「わかりました。ではこれで箪笥を買ってきてください。あ、アキラ様は服を買うお金って持って出てきましたか?」

「あ、足りないかも」


 そういえば服屋へ行くつもりではなかったから持ち合わせが足りないかもしれない。

 マレインは斜め掛けのカバンを受け取っていた。


「上着と小銭が入る、腰か首から下げられる感じの紐が着いた袋が欲しい、と思うんですけど・・・・・・」

「えーと多分その2つで中銅貨5枚くらいですかね」

「やはり、ちょっと足りないかもしれないので部屋へ取りに行ってきます」

「いえ、面倒ですしとりあえずギルドのほうで建て替えておきますので。お金はマレインに渡しておきます」


 フマルはカウンターの奥から革袋を追加でマレインに渡す。

 とりあえず建て替えておいてくれるらしい。

 それほどに親切にされるほど、勇者候補は信用に値するものなのか俺にはわからないが。


「では2人ともいってらっしゃい」

「行ってきます」


 マレインと連れ立ってギルドを出る。

 俺にはすべての場所がわからないのでマレインについて行くしかないのだが。

 外は相変わらず曇りだ。

 未舗装の土の道を、マレインについて歩いて武器屋へ向かっている。

 行き交う人はまばらで、昼間の街なのに活気があるかと言われれば微妙かもしれない。

 まれに獣の耳と尻尾の生えた獣人と思わしき人もいるが、そこは異世界らしい、気にしているのは俺くらいのようだ。


「マレインさん、この辺りの活気はいつもこのくらいなんですか?」

「そうですね、この区画に普段用がある人はそう多くはないので。大体は冒険者の方とかお役所に用がある人でしょうか」

「あと俺のいた世界にはいなかったのですが、ここでは獣の耳が生えた人たちも普通の人と同じなんですか?」

「同じ、というのがどのようなことを指すのかわかりませんが、見た目が違う以上の変わりはありませんよ」


 おおらかな世界なんだろう。

 この異世界には見た目や種族の差別もないらしい。しばらく歩いただろうか、武器と書かれた看板の下がった大きな店にマレインについて入る。

 入口のドアを開けると、チリンチリンと、鈴のような音がした。

 店の奥から店主であろう体格の良い男が出てくる。

 背丈はともかく、腕は俺の倍くらいの太さだ。


「こんにちは、ガリバさん。勇者候補様に武器を見繕っていただきたいのですが」

「マレインこんにちは。その方が勇者候補様なのかい?」


 俺は武器屋の中をぐるっと眺めていた。

 こういう場所特有の鉄の匂いがする、町工場と同じ、と表現して正しいかわからないが。

 木製のラックには剣や槍、様々な武器や盾などが剥き出しで並んでいる。

 木製ラックには値札もついている。

 値段は・・・・・・おおむね大銅貨5枚前後、高いようにも見えるが戦場では武器や防具の価値は命の価値だ。

 簡素な作り、雑な扱いから練習用にも見える。

 ガラスのケースにはいかにも高そうな深紅の鞘に金の握りの剣が入っていた。

 レンガの建屋の天井横などはガラスで採光している。

 食酒所よりは暗いが、晴れの日は光がよく入ってきて良い見栄えなのだろう。

 あいにく今日は曇りだが。


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