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2人でたらいなどを端に寄せて片付けてから、各々の寮の部屋へ戻る。
俺は、布袋に入ったお金を、小銅貨と中銅貨を数枚取り出してポケットへ入れる。
流石に全部持ち歩くのは危ない気がする。重たいし。
機会があれば、少額だけ持ち歩く用の布袋を買ったほうがよさそうだ。
服は・・・・・・寝巻同然の恰好だがまだ仕方ないのでこのまま行くことにする。
部屋の鍵を掛けて寮の入口へ向かう。
まだマレインは準備中のようで、俺は待つ。
「お待たせいたしました。では行きましょう。」
マレインの恰好は、先ほどからの寝巻のようなものから少し変わった恰好だった。
長袖ブラウスにロングスカートにケープ、昨日見たフマルのものと違うのはケープが長いことだろう。
これがこの世界の普段着なのかもしれない。
マレインと2人並んで歩き朝食を摂りに食酒所へ向かう。
仕事熱心で物静かな女性だ。特に会話もなく食酒所へ着いた。
木のスイングドアを開けて食酒所へマレインと2人で中に入る。
「勝手に座っていいんですか?」
「はい。テーブル席に座りましょう」
ほどなくウエイターがやってくる。
「ご注文は?」
「アキラ様は食べられないもの、苦手なものなどありますか? 軽めの朝食セットを頼もうと思っているのですが?」
「特に好き嫌いはないですね。強いていうなら肉が好きかな。マレインさんにお任せします」
「では朝食セットのウインナーを2つお願いします」
「わかりました」
ウエイターが注文を取って去っていく。
話題がない。とりあえず適当な話を振ってみよう。
「これから俺は何をすればいいかとか聞いていますかね? たぶん俺は無能力の勇者候補なんだけど」
「はい。能力がなさそう、というのは昨日アキラ様と別れた後、にラベンさんとフマルに聞きました」
「そうですか」
「今日の朝に聞きましたが、アキラ様のことをあまり公にしてもいいことがなさそうなので、勇者候補様が来た、などの発表等はしないことになったみたいです」
現状、特に俺は必要とされていないらしい。
民衆をむやみに盛り上げたり盛り下げたりはしない、ということなんだろう。
「今日は一応、武器を持ってもらおうかという話になっています。なんでも、武器を持って能力が発揮される可能性もゼロではないとのことで」
「ちなみにアキラ様は剣や槍、斧などを扱った経験はあるのですか?」
「まるで無い。というか俺のいた世界で持ったことのある人間は多くないと思う」
「・・・これは望み薄、かもしれないですね」
「ですね」
と話しをしていると食事が運ばれてきた。
木の器に金属のフォークとスプーン、昨日と同じだ。
ウインナー2本に目玉焼きに豆のスープにパン、それに350mlくらいのガラス瓶のボトルに入った水。




