交易所
(つд⊂)ゴシゴシ......(;゜д゜)!!
朝見たら、ブックマークがなんと二桁に......
感無量。。。
本当にありがとうございます!
「お、見えてきたな。あれが、目的の島だ」
ザエルが指さす方向に視線を向けると、そこには外周を船で一周しても半日とかからなさそうな、小ぶりな島が浮かんでいた。
波の音が少しずつ変わり、港のざわめきが風に乗って耳に届く。
島の様子は、港町と森が肩を寄せ合うように並び、 人工物と自然が境目なく混ざり合っていた。
近づくにつれ、島の住民の姿も見えてくるが、ほとんど人間はいない。
毛並みの異なる獣人、鉱石のような肌を持つドワーフ、 羽ばたくたびに光を反射するハーピー――
種族の豊かさが目に飛び込んでくる。
エルシアにも獣人はチラホラといたが、 あまり関わるタイミングが無かったため、こうしてまじまじと人間以外の他種族を見るのは今回がはじめてだ。
普段、獣姿の俺が言うのもなんだが、あの毛並みは触ったら柔らかいんだろうか……それとも固いんだろうか。
自身も似たような毛皮を持っているはずなのに、 どうしても動物好きの俺としては気になってしまう。
人間大陸とはまた違う、“ファンタジーらしさ”がこの島には感じられた。
*
「よし……っと。姉ちゃんたちともここでお別れか。世話になったな」
ザエルの言葉と同時に、船がゆっくりと揺れ、錨が海底に触れる音が響いた。
港の桟橋に船体が寄せられ、俺たちは静かに足を地に下ろす。
「いえ、こちらこそお世話になりました。 ザエルさん、みなさま、お元気で。あと、くれぐれも私たちのことは他言しないように……頼みましたよ」
ちらりと船員たちの様子を見やると、誰もがすごい勢いで首を縦に振っている。
ザエルが彼らに何を伝えたのかは知らない。
だが、どうやらあの騒動の後、彼らの中で話し合いがあったらしく、リューシャは“姐さん”として崇められ、 俺はその“姐さんすら逆らえない怖い存在”として認識されているらしい。
......あながち間違ってはないな。
他言したらどういう目にあうか分からない―― そんな恐怖を持っておいてもらった方が、都合がいいだろう。まあ、彼らは義理堅そうなため、そんな心配は不要かもしれないが。
軽い挨拶とともに、手をひらりと振って背を向けると、 リューシャが唐突に「行きたい場所があります」と言いながら歩き出した。
特に要件を告げることもなく、立ち並ぶ露店の横を黙々とすり抜けていく。その歩きには無駄が無く、まるで長年住んだ馴染みの町を歩くようにスムーズだ。
当たり前だが、俺たちのフード姿はやはりここでも目立つらしく、先ほどからチラチラと視線を感じる。
……いや、違うな。もちろんそれもあるだろが、理由はもう一つの方か。
今の時期にどうやってこの大陸に来たのか?という疑問だろう。
この島にいる以上、住人たちはレヴィウスの存在を知っており、 船が出入りする時期も把握しているはずだ。
それなのに、普段見慣れない怪しい二人組が突然現れたら―― 誰だって疑問に思うだろう。
「あいつらはどうやって来たんだ?」と。
いずれ気づくだろうが、俺たちが倒してきたなど知る由もないし、仮に話したとしても信じてくれるとは思えない。
そんな疑いと警戒の目を向けられつつ、リューシャの後に続くと、突然、ドーム型の大きなテントのような店の前で立ち止まった。




