変化再び
とりあえず、一旦、主な人間大陸編はここで終了です!
プロットもまとまってない中、日々、自転車操業のごとく、考えてよくここまで頑張ったと自分を褒めてやりたい...笑
所々、変なところがあるかもしれませんが、細かい所は雰囲気でお願いします笑
俺たちは騎士団へ戻り、彼らはエルミナに状況を報告した。話し合いの結果、明朝に出発することが決まる。
狙ったわけではないだろうが、グランツが提示した期限内に俺を都市の外へ連れ出す形になったため、これで彼も文句はないだろう。
──翌朝。
陽も登りきらぬ時間帯に、エルミナ、ゼンベル、アイナと共に都市の入口へ向かった。
すでに待機していたリューシャの姿を見つけるや否や、エルミナが子供のように目を輝かせて駆け寄り、勢いよく走っていく。
その様子に、リューシャは少し鬱陶しげな顔をしながらも、黙って応じていた。
普段とはあまりにも違うエルミナの姿――
まるで憧れの異性に再会したかのような態度に、ゼンベルとアイナは目を丸くする。
昨日の報告時も、リューシャの話題になると彼女は明らかに機嫌が良かった。
どうやら幼い頃、エルミナはリューシャに助けられたことがあるらしく、それ以来彼女に強く憧れているようだ。
「リューシャのような、強くてかっこいい女性になりたい」
――そう決意し、騎士副団長まで昇りつめたのだという。
その報告を受けたとき、さすがのリューシャも驚いたらしい。
今では、エルミナの言葉遣いや振る舞いが彼女に似てきていることもあり、完全に心酔しているようだった。
「……エルミナ副団長。そろそろお時間が」
あまりにもいつもと違う上司に気まずさを覚えたのか、ゼンベルが控えめに声をかける。
「ああ、すまない。私としたことが……リューシャ様にお会いできて、気が昂ってしまった」
ようやく話を切り上げたエルミナの姿に、リューシャは安堵の息をついた。
「エルミナ……相変わらず、私の真似事をしているのか。そんな言葉遣いでは婚期を逃すぞ」
「リューシャ様、ご心配には及びません。しばらくそのような予定はございませんので」
そういう意味ではない、とばかりにリューシャは頭を抱えるが、どうやら会話がかみ合う気配はないと悟ったらしく、話題を変えた。
「それで……そちらの籠は神獣様なのは分かるが、そちらの娘が持っている黒いローブと靴は何だ?」
エルミナとアイナを交互に見ながら、リューシャが問いかける。
その質問に、アイナが首を傾げつつ答えた。
「いえ……私も何が何やらさっぱりでして。
昨夜、眠っていると、女性のような声で“明日、黒いローブと靴を持っていくように”って聞こえてきて……てっきりエルミナ様からの指示かと」
「なに?私はそんなこと頼んでいない。
アイナが持っていたものは気になっていたが、私もリューシャ様からの依頼かと……」
ふたりが顔を見合わせるも、互いに身に覚えがない。となると、自然と全員の視線が、俺へと向いた。
……俺は昨日の夜、考えていた。
この姿で歩き回るのは、果たして大丈夫なのか?と。
今になって思えば、エルシアの人々が受け入れてくれたのは、少し特殊だった気がする。
何も知らない者から見れば、俺はただの“魔物”にしか映らない。
逆に俺を見て何かに気づく者は、神話や伝承を知る者。
そのどちらも、穏やかな結果をもたらすとは限らない。
……となると、面倒ではあるが、人型で歩いたほうがまだマシだろう。
結論として、今回は人型で同行することを選ぶことにした。もちろん、状況に応じていつもの姿に戻すこともあるだろう。
エルフの国では、むしろ獣姿の方がふさわしい気もする。
そうした考えから、昨日の晩にアイナに魔法を使って語りかけ、衣服と靴を持ってきてもらっていたのだ。そして、予定通りの展開になった今、俺は改めて神力を発動する。
「……皆の者、聞こえますか?」
突然発せられた天の声に、その場の全員が身構えた。
「身構える必要はありません。私は、そちらにいる白き獣、アスト――と呼ばれていた存在の“主”です。まずは、彼を籠から出してあげてください」
俺が考えた作戦。
それは、“神と俺は別存在”という説を提示し、アストが神の指示に従って動いている――と見せかけること。
これなら、俺=神と直結せず、何かあっても「神の命に従った」というアリバイが作れる。
我ながら、完璧な作戦だった。しかもご丁寧に魔法では無く神力まで使うという徹底ぶり。
「籠から出したアストはある場所でとまります。衣服を彼の前に置いたら、即座にその場を離れてください。
――決して、見てはなりません」
某昔話じみたセリフだなと思いつつ、できるだけ威厳に満ちた声で語りかけた。
声の主がアストの名を知っていること。
魔法でも無い謎の力で天から響く神のお告げのような声。
それらの要素が信憑性を与えたのか、彼女たちは素直に指示に従ってくれた。
そして俺は、建物の陰まで移動すると魔法を発動し、すぐに衣服を着用。
さり気ない感じで、静かにそっと姿を現すと、その瞬間、全員が唖然とした。
突如現れた“人の姿”――その圧倒的な美しさに、言葉を失うほどに。
アイナなどは口を開けたまま、ただ見つめていた。
「驚かせてしまい、申し訳ありません。私はアスト。神の命により、こちらの姿をとりました。以後、よろしくお願いいたします」
できるだけ丁寧に深く頭を下げながら、顔を上げると――心なしか、女性陣は皆、わずかに顔を赤らめていた。
……え、これやっぱり、今からでも“そういう展開”あり?
思わず、そんなことを思ってしまった。
次は、閑話として簡単な振り返りと登場人物紹介します!
挿絵も一部入れてますので、イメージの補完として是非ご覧ください(^^♪




