宜しくお願い致します
「あの、瑠花嬢
聞いても良いのか分かりませんが…」
「何でしょうか、礼央様?」
なんだか恐る恐るといったような雰囲気だ。
これから、何について質問されるのでしょう?
今のうちに、疑問は聞いて欲しいですね。
これは、お見合いみたいなものですから。
「侯爵家の一人娘で、婿入りした方が次期侯爵という話なのだと思います」
「ええ、そうなる予定です、私は一人娘ですし、父には嫁入りした妹しかおりませんから」
「婚約者候補の方は、
いらっしゃらないのですか?」
「ああ、婚約者候補はいましたよ」
「過去形………?」
「彼からは、先日、婚約者候補を辞退するというご連絡のお手紙がありました」
「今は、いないのですね?」
「ええ、今はいませんね」
突然に、王太子殿下からの指名とはいえ、他に婚約者候補者がいる場合は、そちらの方が優先されますからね。
しかし、今は、雨宮様が突然辞退したために、私に、婚約者候補はいません。
タイミングとしては、最適でしたね。
「ちなみに、どなたが、婚約者候補として候補にあがっていたのでしょうか?」
「侯爵位、雨宮家の次男、彼方様です」
「雨宮家…? 文官の家系の…?」
「そうです、その雨宮家でございます
父同士が同僚だから、という理由で婚約者候補でしたが、彼は、婚約者候補を辞退しました」
「その理由は…?」
「南方の男爵領主、茅野家のご息女、奈津子様と恋仲になったようです、真実の愛に目覚めたのだと、手紙に書いてありました」
「真実の愛??」
「お会いしたことがないので、それ以上は詳しくありませんが、緋奈からの情報に寄りますと、お身体の弱い方なんだそうです」
「そうでしたか………よく分かりませんね」
「私も、よく分かりません」
念の為、我が家の執事の中でも、調べ物に特化して長けた執事に調査を依頼しております。
そちらの方と上手くいかなかったから、婚約者候補に戻る、と言われても困りますから。
たまに、いるんだそうですよ?
そういう気質の殿方が。
「瑠花嬢が宜しければなのですが
正式に、私と婚約して下さいませんか?」
「礼央様と………」
「7歳も離れておりますから、この度の婚約が、政略結婚となったとしても、婚約者の男として未来の婿として、瑠花嬢をお守りいたします」
「はい、私の婚約者になって下さいませ」
「瑠花嬢! ありがとうございます!
正式に、入沢伯爵家から、瑠花嬢のお父上に、久遠創一様にご連絡致しますね?」
「ええ、礼央様
宜しくお願い致します」
「こちらこそ
宜しくお願い致します」