突然、何を!
「殿下………!」
「煌一様………!」
「殿下、急にいなくならないで下さい!」
「煌一様の身に何かあったのかと……!」
「えっ!? ああ、ごめんごめん、誰が来てるか気になってしまって、見て回ってたんだよ」
慌てたように、2人の青年がやって来ました。
一人は、黒の短髪に焦茶の瞳の厳つい青年で、もう一人は、金の長髪に薄緑の瞳の青年です。
彼らは、おそらく、王太子殿下の護衛騎士なのでしょう。しなやかそうに見えて、かなり鍛えられた身体付きなのが見てとれます。
素人の目から見ても、鍛えているように見えるなんて、凄いことですね。
「護衛騎士様でしょうか?」
「きっと、護衛騎士様ですね〜」
「ああ、王太子専属の護衛騎士なんだ」
「いきなりで、状況が読めないのですが………
殿下の護衛騎士の一人、高樹伯爵家の次男坊、高樹護と申す者です」
「護の兄の満は、僕の執事なんだよ」
「はい、兄上は護衛執事、弟の私は護衛騎士と、兄弟揃って、王家にお仕えしております」
厳つい黒髪の青年は、高樹伯爵家の次男坊。
彼のお兄様の名は、確か、父から聞いたことがございます。王家の執事でありながら、戦いも出来る、優秀なお方だと。
来年あたりに、伯爵位から侯爵位になる予定の家だと思われます。
なるほど、この方は、満様の弟君なのですね。
「私は、煌一様の護衛騎士の一人、入沢伯爵家の長男、入沢礼央と申します」
「入沢竜治様のご子息ですね?」
「はい、確かに、父でございます」
金髪の青年は、入沢伯爵家の長男だそうです。
王都立騎士団長、入沢竜治様のご子息なので、お名前だけ、お聞きしたことがありますね。
どちらのお方も護衛騎士の紋章を見せながら、自己紹介をして下さいました。
「冨沢侯爵家の一人娘、冨沢千沙子です〜
髙樹様、入沢様、宜しくお願い致します〜」
「久遠侯爵家の一人娘、久遠瑠花と申します
高樹様、入沢様、宜しくお願い致します」
「うん、彼女達はね、機織り業の経営をしている富沢陸殿のご息女と、宰相閣下の補佐官をしている久遠創一殿のご息女だよ」
「ああ、そうでございましたか
こちらこそ、宜しくお願い致します」
「こちらこそ宜しくお願い致します」
高樹護様は、厳つい容姿の割に、真面目な護衛騎士様といった雰囲気で、護衛騎士の中では、よくいる気質の方ですね。
入沢礼央様は、ちょっと、何を考えているのか分かりにくいですけれど、王太子殿下を慕っておられるようでございますね。
「ねえ、千沙子嬢、瑠花嬢、もし良かったらね、彼らの婚約者になってみないかい?」
「彼らの、婚約者に、ですか………?」
「煌一様、突然、何を!」
「えっ!?」