表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

辺境伯令嬢の報復の流儀

作者: 麻の葉りり

親が見ていた中国ドラマ見て閃いた。


週間総合ランキング短編94位(12月2日)82位70位60位

日間総合ランキング短編57位(12月2日)←気付いた日

ありがとうございます!

誤字脱字の報告も感謝感激です!

どん バシャーン!! 


池に落とされた。このままでは溺れてしまう。

服のせいで体が重い。

なんとか顔は出せたが今度は石が降ってきた。

さっきわたくしを案内した令嬢が投げている。

とそこに「何をしている!?」

男の声と足音。令嬢は慌てて逃げる。

「アリシア嬢!?今助ける!」

体が引き揚げられる。

視線の先には第5王子のライ殿下。

「助けてくださり感謝いたします。何故ここに?」

「人疲れしたから休憩しにきたのさ。それよりも君は何故溺れていた?それとさっき令嬢が走り去って行ったようだがあの令嬢は?」

「リーナ殿下の取り巻きのカレン様です。殿下が呼んでいるから着いてこいと言われて着いてきたら

突き飛ばされました。石も投げておりましたわ」

異母姉上(あねうえ)の嫌がらせか」

「最近は酷くなってきて・・・。今日の建国祭が終わって片付けを済ませたら辞めますので、その前に色々としたいようです」

「ああ、そうなのか!おめでとう。

っと、このままでは風邪を引く。仕事も抜けてきたのだろう?早く戻ったほうがいい。

1人で大丈夫かい?」

「お気遣い感謝いたします。殿下とご一緒だとあらぬ疑いをかけられる可能性がありますので1人で帰ります。それでは」


殿下と別れて1人で歩いていると

「リリシアどこにいたのですか!探しましたよ。この忙しい時にまた仕事を放り出して何を・・・

まぁ!こんなに濡れて!一体どこで「リリシア!ちょうど良かったわ!あら?濡れているじゃない?

どうしたの?」

元凶のリーナ第4王女殿下が取り巻きを連れて現れました。

「・・・カレン様に殿下が呼んでいると言われてついて行きましたが池に落とされまして。

石も投げられました」

「まぁ!わたくし貴女を呼んだ覚えはなくってよ?それにカレンはずっとわたくしのそばにいましたわ。ここにいる皆様が証人です。ねぇ?」

そう言うと取り巻き達が一斉に頷きます。

「ほらね?リリシア酷いわ!侍女長!罰を与えておいて!


こんな使えない田舎の辺境伯家ごときが婚約者なんてルイン従兄上様(おにいさま)可哀想」

ぼそりと呟いた言葉を聞き取り巻き達もクスクスと笑う。

「リリシア、貴女は着替えてきなさい。話はそれからです」

侍女長に言われてその場を去る。


わたくしはリリシア・アデライン。王宮で上級侍女をしている辺境伯家令嬢。

幼少期に魔の森や隣国から民を守る辺境伯と繋がりを強くしておきたいという思惑で王妃の実家である公爵家令息と婚約が結ばれ(王子達は婚約者がいるか年が合わなかった)

公爵家で花嫁修行後公爵夫人から有能な上級侍女が1人辞め王妃が困っていると聞いて応募し仕事に就いた。公爵達には婚姻するまでの期間限定で、と条件付けられて。そして

就職してすぐにリーナ王女に目をつけられた。


この王女、容姿は可愛いが我儘で癇癪持ち。王女の身分を笠にきて学園では令息に媚を売り、気に入らない令嬢を取り巻きに命じていじめ、憂さ晴らししているらしい。

王宮でも目をつけた侍女や異母弟妹にも嫌がらせをする。ライ王子も嫌がらせの対象になっている。

仕事をしている所へやってきては仕事の邪魔をし仕事を増やし。茶会では取り巻きにわざとぶつからせて紅茶をこぼさせ、菓子を落とさせる。足をひっかけ転ばせて笑う。

第4王女付きの侍女は王女のせいでよく変わる。

行きたくない場所&お世話したくない王族No.1になっている。


今日の建国祭終了後の片付けが終われば辞める事になっているのでそれまでの辛抱だが、婚姻の日にちが近づくにつれ嫌がらせのレベルが酷くなり、つい先日は

取り巻きに呼ばれ仕方なくついていったら物置に閉じ込められ、毒蛇を放り込まれた。

(毒蛇はあっさり退治したが、脱出に手間取り遅刻したため侍女長に叱られた)

そしてさっきも。

(まさか憧れのルイン従兄上様(おにいさま)の婚約者だから嫌がらせしているなんて。

たかが田舎の辺境伯の娘ごときが、って

国を守る辺境伯家を侮辱するなんて。

婚約の意味が分かっていないようね。

確か婚約時に陛下が説明したはずだけれど、忘れたのかしら?)


あの後侍女長に叱られ、罰は(一応)与えられて自分の部屋の片付けをさせられていた。

辞める前に片付けの名目で部屋の確認をしてこい、

王女付きの侍女が荒らしているかもと心配された。

気に入らない侍女が辞める時によくやる事だそう。

幸い何もなかったが。

(本当なら片付けが終わったら荷物を纏める準備をするはずでしたが。

ただ辞めるだけ、泣き寝入りで終わらせるのは辺境伯家の流儀に反します。

報復させていただくとしましょう)

「よし、これで終わり」

片付け終わったわたくしは報復の準備をするためにある所へ向かった。


翌日

「お父様!!リリシアに罰を与えてくださいませ!!」

国王の下に突然リーナ王女がやって来た。傍らには王妃、そして向かい側にはリリシア。

「リーナ、先触れもなくやって来るなと言っただろう。なんだその格好は?

それにリリシア嬢に罰とは?」

リーナ王女のドレスは水に濡れ、あちこち土や泥にまみれている。顔も泥だらけ。

「いつものように庭園に入ろうとしたのですが何故かそこに続く扉が開かなくて・・・ようやく開いたと思ったら水がかかり、空から砂と泥と蛇が降ってきて、パニックになっていた所今度は紐に引っかかって転んでしまい近くの水溜まりに落ちました!!

あんな事をするのはリリシアの他にいません!」

「何故リリシア嬢の仕業だと?」

「それは・・・」

「リリシア嬢、リーナがこう言っているが」

その言葉でようやくリリシアに気付いた王女は

「リリシア!よくもわたくしをこのような姿にしてくれたわね!許さないから!」

指をさし喚く王女。

「わたくしが今までされた事をお返ししただけです。王女相手でしたので加減はしましたよ?」

王女がいつも入る庭園付近の扉に色々と細工をした。


「待てリリシア嬢、今なんと?

今までされた事の返しとは?」

「わたくしも聞きたいわ、リリシア。

リーナに嫌がらせをされていたの?」

「はい王妃様。勤めるようになってからほぼ毎日」

そう言って日記を数冊取り出して渡す。

「この日記にはいつ何をされたか事細かく記してあります」

ぱらぱらとめくる王と王妃。

だんだんと表情が険しくなっていく。

「我が娘がここまでしていたとは」

「毒蛇を放つなんて殺す気だったの?もし亡くなっていたら辺境伯家が黙っていなかったし、わたくしとヴェルデ公爵家も敵に回るわ!」

「ああ、昨日の建国祭の時には取り巻きの令嬢に池に付き落とされ、石を投げられました。ライ第5王子が助けてくださりまして無事でしたが。ここです」

「建国祭の日にそんな事をするなんて!恥というものはないの!?」

あまりの剣幕にうろたえる王女。

「それは、取り巻きが勝手にしたことですわ!わたくしは知りません!

お母様とヴェルデ公爵家を敵に回すとは?リリシアはルイン従兄上様(おにいさま)の婚約者でヴェルデ公爵家はお母様の生家ですが、今はまだ田舎の辺境伯家でしょう?辺鄙な所にいるだけの。

それより王女であるこのわたくしにした事は罰さないのですか!?」

「田舎の辺境伯家?辺鄙な所にいるだけ?お前は何を言っている?

彼らが命がけで戦い魔の森と隣国から我らを守っているからこそ王国の平和は保たれているのだぞ?

国の防衛の要である辺境伯家を馬鹿にしておるのか?

過去に辺境伯家を蔑ろにして滅ぼされた隣国の話は有名だぞ?

歴史でも習ったはずだ!お前はきちんと勉強していていなかったのか!

リリシア嬢との婚約は国と民を守る辺境伯家との繋がりを強固にする為にしたもの!

年齢や婚約者の問題でちょうど良い王子がいなかったから王妃の生家である筆頭公爵家のヴェルデ家と婚約を結んだのだ。

婚約発表時に説明をし、同時に愚かな事をするなと言ったはずだがな?それに

王妃もヴェルデ家もリリシア嬢を気に入っている。次期当主のルインもな。

敵に回るのは当然だ!宰相として私を支えてくれ、かつ王位継承権を持つ筆頭公爵家を敵に回したいか?母を敵に回したいか?」

「お母様を敵に?そんなのありえませんわ!それに

王位継承権を持っている事が何ですの?」

「王位継承権を持っていると言う事は、王を廃して王位につく事ができると言う事よ。

貴女は父親が自分のせいで王の座を追われ皆処刑されてもいいの?」

「処刑?そんな事」

「無能な王は処刑されるわ。お兄様はお優しい方だけどリリシアを気に入っているし、幽閉で済ませてくれるか・・・。

貴女のした事はそのくらいの影響を及ぼす可能性がある事よ。

とにかく侍女長達やライに話を聞かないと」

「そんな・・・あの踊り子の子供と顔を合わせるなんて・・・」

「ライは母違いとはいえそなたの弟だぞ。そういえば前からライを嫌っておったな・・・

ライにも嫌がらせをしていたのか?ああ、話を聞けば分かるな」

そして扉の外にいた騎士に侍女長やライ殿下を呼びに行かせました。

「そういえばリリシア嬢、どうしてこんな事をした?日記を渡すだけで良かったのでは?」

尋ねられたので答えます。

「やられた分はきっちり返せ、泣き寝入りはするな、という我が家の流儀に従いました。敵は徹底的に潰せ、念には念を入れろ、情けをかけるな戦場では死ぬぞ、祝い時には恥になるような事をするなという家訓もありますわね」

「なるほど」

「わたくしを罰しますか?」

「本来ならそうだが婚約の意味を分かっていなかったリーナも悪い。王侯貴族には婚約の意味を知らせた。愚かな事をせぬよう釘もさした。

そなたは不問だ。娘に代わり詫びよう。

すまなかった」

「ごめんなさいリリシア。わたくしが育て方を間違えたせいで」

「頭をあげて下さい陛下。王妃様も。

わたくしは怒っておりません。

ただリーナ王女の罰は厳しくして下さい。

被害者はかなりいますから」

「ああ分かった」

「ありがとうリリシア」


そうこうしていると侍女長やライ第5王子も呼ばれて事情を聞かれる。

そして王女の嫌がらせが明かされ、さらにライ王子からは学園での様子も報告された。

「気に入らない生徒の教科書を破る、制服を切り裂く、筆記用具を捨てる、取り巻きに呼び出させて噴水に落とす。

ある事ない事いいふらす。

茶会でもわざと偽の時間を招待状に書き遅れて来た令嬢を見て笑い、わざと紅茶をかけたり転ばせたり。酷いものです。

陛下、異母姉上(あねうえ)を退学処分にして下さい」

「この・・・卑しい踊り子の子供が!!」

「いい加減にせぬか!!実の弟にむかってなんという・・・。

もういい。リーナ、そなたは学園を退学せよ。

取り巻きの令嬢令息も達も全員退学。

沙汰があるまで自宅に閉じ込めておけ。

これから会議を開き、処分を決める」

「お父様!?」「連れて行け」

リーナ王女は連れて行かれます。

「侍女長もライも戻っていい」

「「失礼いたします」」


「リリシア嬢、帰りが遅くなってしまったな。

それに嫌な思いもさせた。

少し早いがおめでとう。ルインと幸せにな。

式には参列するが言わせてくれ」

「娘がごめんなさいね。それから今までありがとう。ルインと幸せにね」

「感謝いたします。お世話になりました。

失礼いたします」


王宮を出ると

「リリシア!」この声は・・・

「ルイン様!何故ここに?」

「なかなか帰って来ないのでね。迎えに来たよ。

仕事はもう終わった。色々大変だったようだね?」

「ご存知なのですか?」

「ああ、リーナ王女の取り巻きの父親が大騒ぎしていてね、その後娘に理由を聞いて愕然としていたよ。まさか君があそこまでやるとは」

「家の流儀に従ったまでです」

「成る程。さすが辺境伯家。怒らせると怖いんだな。気を付けないと」

「まぁ、失礼な!」

「済まない。さぁ、帰ろうか?」

「はい、ルイン様」

そうして馬車に乗り、公爵邸へ向かいました。


その後リーナ王女と取り巻きの令嬢令息は学園を退学。

令嬢令息は皆婚約破棄後廃嫡、修道院送り。

リーナ王女も王位継承権剥奪のうえ国で1番厳しい修道院へ送られた。


わたくし達はめでたく結婚。式には王や王妃、第5王子のライ殿下や侍女長も参列し、

仲睦まじく暮らしている。


         終

読んで頂きありがとうございます。面白かったでしょうか?

面白かったらブックマークやいいね、下の☆☆☆☆☆もよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
ライ王子が狂犬王女(笑)の学園での様子を報告している場面の台詞の一部なのですが、 「筆記用具を取り巻きに呼び出させて噴水に落とす。」 と書かれていらっしゃいますが、筆記用具は呼び出す物でしょうか?…
取り巻きに令嬢だけでなく令息もいたんですね。 令息令嬢たち、離れて行ったら何されるかわからない、狂犬王女に捕まらなければ、もっとまともな生活が出来ただろうに… 面白かったです!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ