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第四十九話 鬱のお兄ちゃんは知りませんでしたが!

 愛しのREONAがついにステージに上がってきた!

 だが、……何処をどう見ても、その姿は……俺の妹の、麗奈だった。

『初めまして!REONAです!普段、SNSの発信ぐらいしか出来ていませんが、多くのコメントをいただきありがとうございます!!メディアなどにおいても顔出しをしていないので、今日が初めての顔出しとなりました!素顔を見て、ガッカリしてしまった人も多いかもしれません。それでも、これからも私含め、多くの声優仲間への応援をしていただけると嬉しいです!!』


 あちこちに移動をしては、下から上まで視線を向けて手を振り、そして事前に考えていたであろう挨拶をしていくものの、会場中からは『ガッカリなんてしてないよーっ!』『むしろ、めちゃくちゃ可愛いよーっ!』『REONAーっ!』と、しばらくはREONAの名を呼ぶファンたちで会場中が一体となった気がした。

 そのなかで、俺たちの近くに歩いてきたREONAが、ふと視線を下げて俺や白井さんたちの辺りに視線を向けた……ような気がした。すると、未だにぽかーんとしている俺と目が合ったような気がしたんだが、ステージ上のREONA……麗奈は、少しばかり眉を下げて苦笑いしつつもすぐに満面の笑みを浮かべてあちこちに手を振ってくれている。なかには、ファンサを求められて『投げキッス!』なんてシロモノもこなしていたんだが、そんな技術、いつの間に身に付けたんだ!?


「!い、今、REONAさんこっち見ませんでした!?めちゃくちゃコッチに視線が向けられていましたよね!?」


 隣では、白井さんがめちゃくちゃ興奮していて、俺に話し掛けてきてくれるものの俺としては今それどころではない。

 今まで何年もの間、REONAにマジラブしてきたと思っているんだ!?俺がギリ高校生のときにREONAを知ったんだぞ!?ってことは、そのときから……下手をすればそれよりももっと前から麗奈は声優の卵として一生懸命にレッスンとかをおこなっていたってことなのか!?そして、デビューを果たしてアニメに出まくって、それを俺はめちゃくちゃ興奮しながら一人喜んで、そして家族中にも『REONAって最高なんだよ!』って熱く語っていたというのに……その場には麗奈だっていたというのに、麗奈は知らぬフリをしながら俺を『キモイ』とかって言い続けてきたってことかよ!?

 なんで……なんで教えてくれなかったんだよ!?俺がめちゃくちゃREONAにマジラブだったっていうことは麗奈だって知っていたじゃないか。それなのに、自分はアニメなんかにも興味が無さそうな顔をして、普通に過ごしていたのに。ちょっとは暴露してくれたって……だって、俺たちは家族だろ!?


『REONAチャン、REONAチャン!実は、発表があるみたいですよーっ!!ね?』


『あー、はは。発表っていうほどのモノでもないんですけれど……実は、冬に劇場公演される予定のアニメに出演が決まりました!実は、もう既に収録は終えているのですが、タイトルはまだ打ち明けることが出来ないので冬を楽しみにしていてください!』


『え、冬!?もう、間近じゃん!どんな内容ですか!?』


『内容をここで話せるわけがないじゃないですか!敢えてテーマみたいなモノを言うのであれば……青春、でしょうか。冬に青春モノって意外かとも思うかもしれませんが、それがそれが出演させていただいた身としてもかなりの完成度になっていますし、原作本も読ませていただいたんですが、原作にも忠実で最後にはビックリドッキリと感動を皆さんにお届けすることが出来る作品だと思います!』


 冬アニメ、しかも映画か……。

 それは是非とも観に行きまくらないと!でも、REONAが麗奈だったってことには未だに実感がわかなくて、それよりも信じられない気持ちでいっぱいで胸が苦しい。日頃感じている鬱が悪化したんだろうか……。


「え、映画アニメ!これで更にREONAさんの活躍が世に出回りますね!!」


 白井さんは冬が楽しみですね!とノリノリである。


 それからは、REONAも交えた声優たちのトークショーをメインにおこなわれていった。もちろん、味変ならぬ、雰囲気を変えるってことで曲を持っている声優たちは歌ってみることで、ちょっと気分転換にもさせていたし、トークだけでは満たされないという会場中のファンたちの心もじゅうぶんに満たしてくれていたんだろう。

 更に言えば、声優たちは、さすが声を出すことに慣れているのか歌もそこそこに上手いと……思った。えっと、名前は誰だったっけ?でも、REONAとは気さくに話しているようだったし、そこそこに仲は良さそうだ。


 一応、言っておくけれど今回の声優ライブには男女の声優が出演している。その、ほとんどが若手(年齢的に)と言える声優たちではないだろうか。REONAももちろん若いし、他の顔ぶれを見ていけばだいたい同じ世代ぐらいなんだろう。だからこそ、和気藹々とした雰囲気でトークも出来ているのかもしれない。


「皆さん、仲良いんですねぇ。さすが同業者。でも、さすがにREONAさんの歌は聞け無さそうですねぇ……それが少しばかり残念ですね……」


「……REONAって歌なんて歌っていたっけか?さすがに、この場で……」


 他の歌手のカバーならまだしもREONAが歌っている曲というものには出会ったことが無い。だから今回はREONAはトークで終わるんだろうと思っていた。が、とあるアニメのオープニング。それは、魔法少女系作品の有名なオープニングだったわけだが、なんとそれをREONA……麗奈が歌うらしい。


『言っておきますけれど、上手くは無いので!さすがに音痴……とまでは言いませんが、歌を歌っている先輩からすればまだまだ歌の実力は劣っているので、どうか寛大に受け止めてください!』


 マジか!

 誰かと一緒に……とかじゃない。REONAが、麗奈が、アイツが一人で過去作の有名なオープニングを歌っている!

 しかも、上手くは無いとか言いながらめちゃくちゃ音楽には合っているし、音痴なんてモノからは程遠いだろう。めちゃくちゃ上手いんじゃないか!?しかも自分が出演していたアニメ作品の有名な曲だったってこともあるんだろうか。思い入れっていうものも強いらしく、めちゃくちゃ熱意を込めて歌っているようだった。

 この分だと、REONAオリジナルの曲が世に生み出されるのもそう遠くない話かもしれない。

 もちろんREONAが歌い終わったと同時に会場内は拍手喝采。なかには『アンコール、アンコール!』とまで言い出すファンたちもいたようだったが、さすがにそれには応えることが出来なかったようで、『ごめんねー!』とアンコールを飛ばしていた方向に向けて手を振ってあげていた。


 歌とか……いつの間に練習していたんだよ。

 お前、ついこの間までウイルス性の咳で、めっちゃくちゃ咳き込みまくっていたじゃないか。それに、その後は俺の食事の用意とかもしてくれていたし……歌なんて、一日でも歌わずにいると本来の実力を取り戻すまでにかなり時間が必要になるんじゃないのかよ?

 知らなかった……知らないことが多すぎた。

 それに……妹が、俺の最愛の声優だったなんて……俺は、お兄ちゃんは……知りませんでしたが!!

 俺に遠慮した?俺の強すぎるREONA愛に、打ち明けることが出来なかったんだろうか?それよりも父さんや母さんは知っていたんだろうか。……そうだよな、学校とかの問題もあっただろうし、きっと父さんや母さんは知っていたんだろう。でも、俺があまりにもREONA、REONA!ってうるさかったから言えなかった……とか?

 でも、知ったら知ったで俺はどうしたんだろう?というか、REONA愛を……これからどこに向けていけば良いんだ!?麗奈的には『リアコじゃん』とかって言っていたけれど、このリアコの気持ちどうすれば良いんだよ!?実の妹だぞ!?


 あれこれ悩み考えまくっていたらライブはいつの間にか終わっていた。

 白井さんも『お疲れ様でしたね~。あ、グッズ販売にはREONAさんのグッズも出るそうですからもちろん黒瀬さんも行きますよね!』と後片付けをしつつ、一緒になってグッズ販売コーナーへと向かって行った。

 身内が、実の妹がマジラブの対象だった……。リアコだった……。さて、この想いをどうしよう……ある意味羨ましい悩みでもあります!!


 良ければ『ブックマーク』や『評価』などをしていただけると嬉しいです!もちろん全ての読者様には愛と感謝をお届けしていきますよ!

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