第四十八話 鬱になりやすくて陰キャの俺、ついにREONAが登場するが……
声優ライブは、そこそこに声優を知っている人、そしてファンからすれば楽しい会場になるだろう。
俺は……REONAが登場するのを今か今かと待ち望んでいた。
「!黒瀬さん。REONAさんの登場を待つ気持ちも分かりますけれど、今は他の声優さんたちも頑張ってライブを盛り上げてくれているんですから、多少は興味を持った方が良いんじゃありませんか?」
ライブを楽しみたい気持ちは、無くはない。でも、俺がここに来た理由は、REONAのご尊顔を堪能すること。そしてREONAの姿をこの俺の目にしっかりと映していくことだ。もちろん声優ライブって、ただ歌とかパフォーマンスだけをおこなっていくだけではない。ライブでおこなわれていく内容というものは声優たちのトークというものも意外と楽しめるものが多いし、一般人からは知ることが出来ない声優同士の掛け合いといったものもステージ上において目にしていくことが出来るというのはファンからすればとても嬉しいものになっていくだろう。
でも、未だにREONAの姿はステージ上には出てこない。本当に、ライブ終わり間際になってREONAは登場してくるんだろうか?
「一応、トークとかは聞いているって。それに、今日出演している声優たちは、どっちかって言うとあまり知らない人の方が多かったりするんだよなあ。もちろんREONAと共演している声優であれば別だけれど!」
「あはは、黒瀬さんはREONAさんへの愛が強い方なんですね!なかなか、そこまでREONAさん愛を口に出すのは勇気が必要で、僕みたいな人にはなかなか真似出来ないことなので凄く尊敬してしまいます!」
俺の言い方だと、どうしてもREONA以外のその他大勢の声優には興味が無い。つまり、どうでも良い時間ばかりを過ごしてしまっていることにじゃっかん退屈さえも感じてしまっているが、その分、この白井さんとのやり取りで退屈も少しは紛れるようになってきている。
白井さんはREONAファンだとは良いつつも、他にも気になっている声優が今回のライブにも出演しているということで、ステージにその声優が姿をあらわしたときには隣にいる俺なんてお構いなしに応援グッズを荷物の中から取り出してめちゃくちゃファンサを求めてアピールをしていた。大人しい人間かとも思っていたのだけれど、やっぱり自分の好きなことには正直で熱意というものがあるらしい。こういうヤツは、好意を持つことが出来る。うんうん、推しがいるヤツ、好きなヤツがいるって良いことだよな!
ライブも半ば……ぐらいは、過ぎただろうか。それでも、未だにREONAらしい姿はステージに上がる様子が見られない。本当に、終わり間際になってようやく姿を見せるスケジュールにでもなっているんだろうか?
でも、REONAはライブには出演をするってSNSで発信していたし、例えライブ終盤に登場するとしても俺は全力で待機しているからいつまでもREONAを待っているからな!
ここで、一旦ステージに立っていた声優さんたちも引っ込んでしまってライブの小休憩という時間に入ってしまった。俺は、特に何もすることが無く、今人気を高めて来ているらしい声優たちの歌だったり、トークというものをなんとなく耳にしていたものの、やっぱりどこか集中し切れていないところがあって早くREONAには登場してもらいたい。
「……REONAさん、なかなかステージに姿をあらわしませんね?」
「そうみたいだな。たぶんライブにもスケジュールっていうものがあるらしいし、それに合わせてREONAも登場する時間帯っていうものもあると思うけれど……REONAファンとしては、今すぐにでもそのご尊顔を拝見したい!」
「!あはは、分かります。REONAさんを求めて今回のライブに来た黒瀬さんみたいな人だったりしたら、他の声優は二の次で、どうしてもREONAさん早く早く!!!って気持ちになってしまっているんでしょう?」
「……よく、分かるなあ」
「そりゃあ、僕だってREONAさんのファンですからね。もちろん他の声優さんたちのパフォーマンスやトークも面白いと思って見て聞いていますけれど、本命はREONAさんですから。早く早く……と、どうしても考えちゃいますよ」
ほら、REONAファンはこうやってREONAの出番を早く早く!と望んでいるものなんだよ。俺が家庭の中でREONAって良いよなあ!最高だよな!と言っても家族たちはスルー。そして妹の麗奈からすれば『キモイ』ばっかりしか言ってくれない。凄い寂しいものがある。でも、今回のライブでたまたま隣の席になった白井さんとここまでREONAに関するトークで盛り上がることなんて想像していなかったからかなり嬉しい!
ライブも一旦小休憩に入ったことで会場も明るくなったから白井さんと連絡先の交換をすることにしてみた。いいか?REONAは新たな人との輪、人間関係を築いていけるものなんだよ。それだけREONAっていう存在は大きいってことなんだ。
REONAは今頃、待合室とかで自分の出番まで緊張しながら待っているんだろうか。それとも、スケジュールをしっかりと確認して、念入りに衣装とかを見直したりしているんだろうか。何にしてもライブに置けるプロの意識は感じられるので素晴らしいと思う。
「っと。ライブも後半になりましたね。そろそろREONAさんも登場してきても良い頃かと思うんですが……」
「はっきりとした時間が分からないっていうのも困ったもんだよなあ」
後半に入ると主に声優陣によるトークがメインとなっていった。最近関わるようになったアニメのちょっとした裏話のようなものだったり、NGがあったか無かったかといった話で会場中を盛り上げているようだ。
だが、そこにはまだREONAの姿が見えない……。彼女は、いつになったらステージに上がってくるんだろうか?と、考えていたときだった。
一人の、そこそこの有名な声優が改めて挨拶をするとともにマイクを手にしてステージの中央部分にやってきた。
『皆さん、ライブは楽しんでもらえていますか!?実は、今日のライブではスペシャルゲストとして今まであらゆる情報が秘密で公開されていなかったREONAちゃんもお呼びしております!』
その声優がREONAをゲストとして呼んだと耳にした会場中のファンたちはこれでもか!というほどに盛り上がりを見せ始めていた。やっとREONAの顔を見ることが出来る!REONAってどんな子なんだろう!?と気になっているファンたちは大勢いたんだろう。
『お待ちかねの皆さん!大変お待たせしました!!私たちとも共演することがある、REONAちゃんの登場になります!!』
きっとREONAは上座の方からやって来るんだろう。
会場中は、拍手だとか『REONAー、待ってたぞー!』といった声援で、REONAを呼んでいるようだ。もちろん俺も声を掛けてあげたかったものの、ちょいとばかし気恥ずかしくてそんな勇気を出すことは出来なかった……どうせ、俺は陰キャで鬱だよ……。
そこに、REONAらしき声が聞こえてきたものだからハッとしてステージを見上げた。が、そこには……。
「…………麗奈?」
アイドルっぽい衣装を着込んでファンたちに向かってあちこちに手を振り、めちゃくちゃアピールしているものの、その姿はどう見たって俺の妹の麗奈だった。長めの黒髪をツインテール風に結い上げていて、それでちょっと厚めのブーツ、そして全体的にチェック柄の衣装を着ている、妹の姿がステージにあった。
思わずぽかーんとしていると隣の白井さんから不思議がるように声を掛けられてしまった。
「黒瀬さん!REONAさんですよ!ほら、もっとグッズでファンサを求めないと!!」
「あ、あぁ。そうだな……」
バッチリと用意していた『REONAラブ』と書かれている内輪を手にしながら軽く声援を送っていくと、REONAはあちこちに向けてファンサをしていく。その姿は、慣れたアイドルのようにも見えてしまっていて、とても眩しい。アイツが……麗奈が、REONAだったのか!?
とうとうバレました!!お兄ちゃんの心境としては、これからどうなっていくんでしょうねえ!?(苦笑)
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