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第四十六話 鬱の俺……いざ、行かん!!

「行ってきます!!」


 俺は、これから戦争に行くよ。……声優ライブという名の。

 昨夜は早めに寝付いたものだから、早めに設定しておいた目覚ましにもきちんと反応して起き上がることが出来た。もちろんREONAのボイスを入れた俺特注の目覚ましとなっている(単にアニメとかでREONAが担当していたキャラクターが発していたセリフをあれこれと繋ぎ作った目覚まし風セリフにしているだけだが、なかなかに器用なことをしたもんだと自分でも思っている)。

 朝食もしっかりと食べ(普段はトーストにインスタントのコーヒーを飲み干すぐらいだけのものだが、今日は違う!そこには目玉焼きというものを焼いて、ついでにハムも焼いた、ハムエッグというものも付けてあげた)頭を活性化させるために、コーヒー(こちらはもちろんいつもと同じようにインスタントのモノになってしまったが、それでもじゅうぶんだろう)を飲むと体も頭も改めて一気に目覚めたって感じがする!


 忘れ物は無いだろうか。

 昨夜、寝る前にも一応荷物のチェックはしたつもりだったが、会場に入ってしまえば家に戻って来るなんて時間は二度と出来ない。あれこれと必要なモノ、として財布の中身もチェックしていくとライブがおこなわれる会場の開場時間までは、まだまだたっぷりとあるものだからゆっくりとリビングで寛いでニュースを見ていた。そこに母さん登場!


「あら。和馬も早いのね。麗奈はもう出たわよ?あなたはまだ良いの?」


「え、麗奈もういないのか!?」


 はやっ!!つか、一体何時に家を出たんだ、アイツ!?そんな朝早くから今日は何をしに行くんだろう?今日もまた友達と遊びに出歩くんだろうか、それとも学校でトラブルでもあったんだろうか。何にしても、今朝は早くから出掛けるってことは母さんには知らせていたようだから母さんはそれほどびっくりしていなかったけれど、一体なんなんだ?


「……なあ、麗奈ってなんでこんな朝早くに出掛けて行ったんだ?母さん、何か知ってる?」


「!や、やあねぇ。知らないわよ~。これは女同士の秘密ってことにしているんだから~」


「なんだ、そりゃ?」


 多かれ少なかれ母さんは麗奈の朝早くから出掛けているという理由を知っているらしい。が、どんなにたずねていっても『約束だもの~』と言われてしまって教えてくれそうになかった。……ちぇー、なんだよ。少しぐらい教えてくれたって良いのにさー。

 っと、そろそろ開場時間も近付いてきた感じだな。よし!と軽く手のひらでパンパンと両頬を叩くと気合いを入れた。普段の仕事でもここまで気合いを入れたことなんて無いから、多少は痛かったけれど、でもその分じゅうぶんに気合いは注入された気がする。

 リュック、そして財布にスマホ……忘れものは、無いはず。改めて財布の中身をチェックすると、あれこれとグッズを買い占めるにはじゅうぶんなだけの金を用意しておいたから多少ぶ厚く感じるが、金は多くあっても全然困ることは無いのでこれぐらい余分に用意しておくぐらいがちょうど良かったりするもんだ。


「よっし!母さん、俺、行ってくるよ!」


「……ライブ、だったわよね。気を付けてね?気になる子が出るんでしょう?楽しんで来なさいよ!」


「おう!」


 残念ながら父さんの姿は無く(どうやら警察学校の方から連絡が入ってしまったとかで朝早くからそっちの方へと向かってしまったらしい)挨拶することは出来なかったが、俺はリュックを背負って母さんに振り向きつつ、爽やかにニカッと満面の笑みを向けていった。母さんも普段から俺のREONA病を知っているから、『REONAがライブに初めて出るんだってさ!すげぇ、楽しみなんだけれど!くぅ~っ、めちゃくちゃ可愛い子とかだったりしたらどうしよ!?めちゃくちゃファンが増えるんじゃね!?』って熱く語っているから今日ばかりは呆れた顔は一切することなく、『気を付けてね』と送り出してくれた。


「えーっと……会場には……電車かバスか……どっちも混みそうだな……混雑を考えると、電車に乗った方がスムーズに行くかな?」


 今日は、休日。もちろん交通機関も混む日だ。ここでバスを選ぼうものならば、混み具合によっては会場入りに手間取ってしまうことも考えられる。そうすると、いつも同じ時間帯に活動している電車を使った方がまだマシに進むんじゃないだろうか。……どうか、途中で事故とか起きませんように!!

 会場近くの場所まではなるべく行ける所まで電車で向かい、そこからは徒歩だ。駅からさほど離れているってわけじゃなかったし、そこそこにデカい建物が駅前にあるんだが、そこで本日のライブがおこなわれるらしいから電車を使う人間にとっては非常にありがたい。そして、電車に乗ってみて分かったことなのだが、如何にもオタク系……っぽい人間が集ってきているのが目に見えて分かった。なんて説明するべきだろうか……手にしている荷物にもデカデカと目立つ装飾だったり好みのキャラクターとかのイラストやらグッズをぶら下げている見た目。そして不健康そうな身体つきをしているので、普段は一体何をしている人間なのか?と不思議に思ってしまうが、このようなザ・オタク系人間と俺は同じように見られているんだろうか?俺も応援グッズとかはリュックには入れているものの服装とか、見た目とかは別にそこまで痛々しい……感じでは無いと思いたい。ごくごく普通のサラリーマンの休日といったところだろうか。でも、あのオタク系もきっと今日のライブに向かうのかもしれない。お気に入りの声優が出演しているとかだろうか。もしも近くでオタ芸とかを見てしまったら、ついつい見入ってしまうかもしれない。でも、あくまで遠目に、だけれど……。


 事故が起きる気配も無く、会場がある駅まですんなりと到着!そこで俺は下車したのだが、視界に入れていたオタク系人間も同じ駅で下車したっぽい。どうやら歩いて行く方向からしても同じ会場に向かっているのは確実そうだな。……あまり、同じような目で見られたくは無いけれど……。


 ピコンピコン!!


「っと。こんなときに、REONAか?」


 歩きスマホは何かと危ないことを知っているから一旦、道の端に寄ってスマホをチェックしていると案の定REONAからのSNSの発信が入ってきていた。


『みなさーん!今日は待ちに待ったライブ当日ですね!来て一緒に楽しむのはもちろんのこと、帰るまでが遠足とも言いますから帰りもどうか気を付けてください!!』


「!はは、遠足と同じふうに考えてんのかよ」


 でも、REONAらしいと言えばらしいのかもしれない。楽しむときにはめちゃくちゃ楽しむけれど、帰り道だとか、混雑気味になる帰りに事故などに遭わないように気を付けるよう言ってくれるREONAってやっぱりめちゃくちゃ良い子じゃねえか!?


 一旦スマホをポケットに入れると、ちょっと余裕を持って会場近くに到着した。早くもオタク系人間の彼は、約束でもしていたのか複数のオタクと待ち合わせをしてオタクの輪を広げている。あれこれ盛り上がっているらしいが、そこに踏み込んで語るような熱意というものは俺には無いからなあ……俺は、REONA一筋だし!!

 開場時間を迎えると俺や、他にも待っていた人たちがぞろぞろと会場入りしていった。もちろん何かあってからではまずいので貴金属類がないかどうかの検査を受けていった。そして、さっそく俺が足を運んだのはグッズ売り場だった。REONAに関するモノ、REONAに関するモノ……とグッズの端から端まで目を光らせていくものの、コレといったモノが見当たらない。あれ?REONAって今日のライブに出演するんだよな?他の声優のグッズはいろいろ有る。が、REONAに関してのモノが見当たらない……これ、どういうことだ?

 いざ!会場へ!!

 あー……そういう系の、如何にもな恰好というか雰囲気を醸し出しているファンの姿ってあったりしますよね(苦笑)


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