第四十四話 鬱の俺にはデキた妹です!
ライブは、いよいよ明日だ!
つまり、今日はしっかりと家で大人しく過ごせってことだな!
「あれ、お前どっか出掛けんの?」
「!うん、ちょっと……」
「ふぅん?帰りは?」
「ちょっと……分からないけれど……」
「まあ、お前もそこそこの歳だからそこまで心配はしてねえけれどさー、一応気を付けて行って来いよ?」
「ん。行ってきます」
たまたまリビングでインスタントコーヒー……ではなく!お湯で溶いて飲むホットレモンの粉が残っていたから用意してリビングあるおっきなテレビを付け時事的なニュース番組に目を向けていたものの(じゃっかん、お笑い要素が含まれているような番組だった)不意に、しっかりと着込み、マスクを付け、しっかりと帽子も被った様子でやって来て、キッチンに立っている母さんと話している麗奈がいた。母さんが『気を付けて行って来なさいね』と言っていた言葉が聞こえてきたものだから、何処かに出掛けるらしい。俺も『行ってらっしゃい』のついでに、何処に出掛けるんだろう?と考えていた。
メディア関連では、すっかりウイルス性の咳については取り上げられなくなってきてはいるものの現実の医療界では時期的な問題もあってインフルエンザが流行り出してきている。おかげで一番の被害を受けているのは内科や小児科辺りを担当している医院だったり、医師だったりしているのかもしれない。
そうそう俺が体調良くなったことは家族は一番に知ったのだが、その次には俺の代わりにいろいろと仕事面やらリモート朝会で頑張ってくれていたらしい近藤にもメッセージという形で伝えた。が、メッセージを送るや否や、すぐに近藤からは電話がかかってきて長電話をすることになってしまった。
『やーっと、よくなったかよ!良かったなあ!ライブ、明日だっけか?』
「おう!なんとかギリギリになったが、治してやったぜ!」
『でも、咳とかも大丈夫なのか?さすがに咳き込んでるようなヤツは会場入りなんてさせてくれないだろう?』
「ふふーん!ダウンしているときには、低ランクで遭遇しまくりのモンスターのごとく咳しまくりだったが、聞け!こうして話していても咳が出てくる気配すら無いだろ!?一気に、高ランクレアで滅多に落ちない貴重アイテムって感じになっちまったよ!」
『なんだ、そりゃ……』
さすがに俺も完全復帰した嬉しさで普段ならゲーム話のようなモノをすることは少ないのだが(俺は根っからのREONA愛だからだ)ついつい、興奮するあまりにどこぞのゲームの話っぽく話していけば当然ながら近藤は呆れていたようだった。
『つか、いよいよ愛しのREONAちゃんに会えると。ふぅん?いよいよ、ナマの顔が見られるってわけか。……和馬もいよいよ現実とご対面ってことになるんだな!まあまあ、そう気を落とさずにいろよー!?声優なんて、意外と顔出ししてみると思っていたよりも普通な顔をしているヤツらだっているんだろ?』
「お前には、ぜってー声優たちを語ってほしくねえ!つか、REONAはビジュアルはどうだって良いんだよ!絶対に性格が良い子だから!」
『はぁ!?』
現実みろみろ、という近藤の発言は初めてじゃない。何かとアニメやらREONAが担当したキャラクターグッズを買い占めている俺に対して現実を見ろ!って言ってくるんだが、俺はいつだって現実と向き合えている。それに、ライブでREONAを見たからって、例えどんな子(未だに年齢もはっきりとしていないため敢えてここでは『子』っていうことにしておく)だとしても真正面から受け止められる自信があるね!それに、ビジュアルが優先なのか!?だいたいビジュアルがどんなに良くても性格が最悪だったりしたらどうするんだよ!?その点、REONAは顔は見たことは無いが、SNSの発信内容からすれば絶対に優しい良い子だ!
俺がちょうど同じ時期にダウンしているとき、REONAは知り合いが体調不良になってしまってツラそうだからってことでファンの人たちに向けて応援してあげて、という発信をおこなっていた。知り合いが体調不良になったからっていちいちそんな発信をするか?身内、だろうか。それとも同じ声優職業辺りの知り合いだったりするんだろうか。ちょうど同じ時期に、体調不良を訴えている声優たちも多かったからもしかしたらよくよく調べてみればREONAの知り合いとやらが判明したのかもしれないが、俺もそのときにはダウンしていたので、それを調べてみる気にもならなかった。
『つか、麗奈ちゃんだっけか?一回会ったけれど、めちゃくちゃ良い妹ちゃんじゃねえか!私のときにも差し入れしてくれたんですよね?ありがとうございます!ってめちゃくちゃ頭下げられちまったよ!礼儀正しい妹持って幸せだねぇ、このこのぉ!』
「……礼儀、正しい……だと?」
意外だ。
つか、どうしても家族……兄妹っていう関係になっちまうから、普段からキツイお言葉だったり(キモイ、とかウザイとか)あれこれ口うるさく感じるときもあるんだが、外……っつーか、家族以外の前だとそんな良い子になっちまうのかよ!たまには、そういう優しさもお兄ちゃんにも向けてくれ!とも思ってしまう。が、今回のことで俺はだいぶ麗奈にはお世話になってしまった(主に食事面において)ので、たまーに具合が悪くなるのも悪くはないかなー……なんて思ってしまったのは、本気である。
『そそ。つか、お前には勿体無いぐらいデキた妹ちゃんじゃね?あ、でも和馬と何処となく似てるところはあったよなあ、さすがキョウダイ』
「ま、まあ口うるさいときもあるけれどなあ……意外と優しいところもあったりするし。一応、これでも家族だから似てるところがあっても不思議じゃねっつの!」
今回のことで分かったのは、麗奈はかなりの母さん似だと思う。言うこと言うことが、そのまんま母さんっぽかったし。父さんはどちらかと言えば物静かで(たぶん警察学校ではめちゃくちゃ厳しいんだろう……)俺の趣味も自由勝手にさせてもらえているが、ダウン真っ只中だったときにあれこれとスマホをイジろうものなら母さんと麗奈が二人して迫ってきたものだから、それはそれは恐ろしかった。
『そういや、今日は妹ちゃんは?』
「あー、ちょい出掛けてるってさ」
『マジか!ざーんねん。和馬の回復祝いに顔出してやろうと思ったのに、妹ちゃんいねえのかよ~』
「こらこら。麗奈に会いに来るつもりだったのか、お前は!?」
『ついでだよ、ついで。それに妹ちゃんぐらいの年頃の子となんて滅多に話さないだろ?ここぞとばかりに流行とか聞いておくのも悪くないじゃんよ』
流行だとかは、そこら辺のコンビニに売っている雑誌でも何でも目を通していけば即分かるだろうがよ。なんで、そこで麗奈と話すってことになるんだ!?まさか、コイツ……本気で麗奈に気があるとかってわけじゃないよな!?
社内恋愛……社内の身内恋愛なんてモノにでもなったら俺は、鬱が悪化する気がする……。近藤がいきなり大真面目な顔をしながら麗奈と一緒に挨拶にでもやって来たら!?……さ、最悪な図だな、それ……。だ、大丈夫。今のところ麗奈にはそれらしい付き合いの相手っていなさそうだし、近藤と会ったのも一回だけだろう。……だから、そういう挨拶をされるのもしばらくは無い……と思いたい。
でも、今日の外出は一体どんなヤツと出掛けるんだろう?同性の友達だろうか、それとも異性の……ちょっとは好意とかがあったりするヤツだったりするんだろうか。お兄ちゃんとしては、まだ少し早いと思います!!
復帰したら電話であれこれ盛り上がるんでしょうねえ!凄い長時間の電話になりそうな気が……(汗)
良ければ『ブックマーク』や『評価』などをしていただけると嬉しいです!もちろん全ての読者様には愛と感謝をお届けしていきますよ!




